Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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チェコのビロード革命の中心者 ハベル大統領

随筆 世界交友録Ⅰ Ⅱ(前半)(池田大作全集第122巻)

前後
3  「右か左かではなく、ウソか真実か」
 大統領は、青年へのアドバイスを求める私に語った。
 「まず『人間と人間が尊敬しあうこと』です。第二に『人類を愛すること』です。第三に、人間同士が、この共通の世界の中で『平和』と『調和』を大切にすることではないでしょうか」
 一語一語、かみしめるような口調であった。とても日本の政治家からは聞けそうにない言葉だと思った。
 この人間主義を愚直に、誠実に実践しようとして、氏は投獄されたのである。
 八九年の東欧革命を、多くの人は、東の社会主義に対する西の資本主義の勝利と受けとめた。
 しかし、その本質は、人々の生き方の革命であった。人権抑圧の社会に、「もう我慢しない」と立ち上がった人々の「魂から恐れをしめ出した」革命であった。
 氏は「社会主義か、資本主義か」と論ずること自体、前世紀の臭いがすると言う。今、問題は正か不正か、真実かウソか、人間か非人間かである、と。全地球的に「意識革命」が必要なのだ、と。
 その意味で、私たちは問いかけるべきではないだろうか。
 繁栄する日本などの資本主義国が、はたして思いやりのある「人間の顔」をしているのかどうかを。
 チェコの人々と比べて、今、いかなる崇高な「希望」を胸に抱いているのか、と。
 (一九九四年九月二十五日 「聖教新聞」掲載)

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