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日蓮大聖人・池田大作

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後記 「池田大作全集」刊行委員会

提言・講演・論文 (池田大作全集第150巻)

前後
2  二十七年前、第一回配本となった第一巻は「論文編」であった。そして、完結となる第150回配本の本巻も「論文編」である。いずれの巻にも「平和提言」等が収められているが、そこには、ただ自己の安穏のみを願うのではなく、人類の幸福と平和を願い、そのためには迫害も恐れないという、「立正安国」への勇敢な精神が脈々と流れている。日蓮仏法は「『立正安国論』に始まり、『立正安国論』に終わる」と言われるが、本全集は、その真髄の哲理に則り、変革の行動を促している。
 当初、『池田大作全集』は全75巻の予定で発刊が進められていた。しかし、名誉会長の執筆活動が多岐にわたり、その膨大な著作は予定の分量では収まらなくなったため、全150巻へと拡充することとなった。その分野は論文編、対談編、随筆編、講義編、日記編、詩歌・贈言編、小説編、挨拶編、教育指針編、対話編、メッセージ編、スピーチ編となり、全集の巻数として、143巻のゲーテ全集(ワイマlル版)など古今東西の全集と比較して、世界最大級の個人全集となった。
 名誉会長は、書斎にこもって執筆を旨とする、いわゆる文筆家ではない。その著作活動や数々のスピーチ、講演などは、平和・文化・教育という多次元で展開される広宣流布運動の指導者として、各地を東奔西走する日々の活動の中で、あるいはその間隙を縫ってなされたものである。その言々句々は、人類の未来を展望した啓発に満ちたものであるとともに、目の前の一人を励まし、断じて蘇生させるのだとの気迫と深き確信にあふれでいる。だからこそ、多くの人々の胸を打たずにはおかないのである。
 大河の奔流のごとき、これらの言論を貫いているもの――それは軍国主義に抗して殉教した先師牧口初代会長と、戦後の焼け野原に一人立ち、広宣流布と世界平和への道を開いた思師戸田第二代会長の理念と構想を断じて実現せんとの、名誉会長の弟子としての師弟不二の誓願であり、不惜身命の魂である。
 本全集はまた、自らが第二次世界大戦の惨禍を体験した一人として、悲惨な戦争を二度と繰り返してはならないとの深い決意に立ち、各国の指導者や識者と対話・交流を重ね、国家や民族の差異を超えて世界に友好の道を開いた、二十世紀、二十一世紀の偉大な指導者の闘争の足跡である。そしてさらに、生命尊厳の仏法の哲理を基盤として、「自他ともの幸福」の実現を目指すとともに、良き市民として社会の繁栄、世界の平和に貢献するという最高の「人の振る舞い」を示した、実践の哲学の集大成でもある。
 名誉会長の「死闘」といってもよい間断なき行動により、今やSGIは百九十二カ国・地域に広がった。日蓮大聖人の仏法は「世界宗教」へと飛翔する時を迎えている。
 「根ふかければ枝しげし源遠ければ流ながし」。この『池田大作全集』が、百年先、二百年先の読者にとっても、人生の苦悩を開き、時代の闇を照らし、平和実現への偉大な智慧を授ける不滅の拠り所となることを確信してやまない。
 終わりに、長期にわたる発刊を温かく見守り、全集を愛読いただいた読者の皆様に、最大の御礼を申し上げるものである。なお、本巻の巻末に、読者の便宜をはかり、「全150巻 収録一覧」「全150巻 目次総索引」を収録した。
  2015年5月3日

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