Nichiren・Ikeda
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日蓮大聖人・池田大作
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夕張
小説「人間革命」11-12巻 (池田大作全集第149巻)
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山本伸一が北海道から去った七月三日、炭労問題への社会の関心は、依然、大きなものがあった。炭労が申し込んできた七月四日の対決討論は、いつの間にか、彼らが勝手に引っ込めてしまって消えていたが、世間は、そんなことで承知するはずもない。
マスコミは、この点を追及して炭労に迫った。七月三日付の「北海道新聞」には、全国炭労事務局長談として、次のような言葉が掲載になった。
「いまとなってみれば、真向からぶつかり合うのはむしろ逆効果だと考え、冷静に対処する方針にした」
炭労の中央部は、この時点で方向転換を余儀なくされていた。創価学会に対する攻撃的な姿勢は、くるりと変わって、「冷静に対処する」などという守勢に変わったと見なければならない。
彼らも、組合が宗教に介入することは、法に反することを悟ったのであろう。してみると、炭労の創価学会への対決策というのは、不当な圧迫であり、一種の嫌がらせであったという以外にない。
札幌の北海道放送(HBC)の企画で、この三日の夜、「放送討論会・炭労対創価学会」のテレビ放送が行われた。生放送である。
炭労側の全国代表は、北海道炭労委員長と北海道炭労事務局次長で、創価学会の代表は、理事の一人と北海道総支部長であった。司会は「北海道新聞」の論説主幹であった。
六月二十九日の「紙上討論会」と同じように、両者の主張は平行線をたどった。かなり激しい応酬もあり、司会者までが興奮して、その立場を忘れるような場面もあった。しかし、もはや、炭労としては、基本的に後退の姿勢に変わっていたので、竜頭蛇尾に終わらざるを得なかった。
それからしばらくは、この対決の問題をジャーナリズムが取り上げ、一般紙やラジオ、週刊誌などが、連日のように騒ぎ立てた。
要するに、結果としては、天下の炭労の思い上がった弾圧攻勢を、若い創価学会が、見事に打ち破っていたのである。しかし、それは、権力の魔性が牙をむいて襲いかかろうとする、ほんの兆しにすぎなかった
炭労問題は、これで一応のピリオドが打たれたが、さらに大きな権力の魔性との闘争が、今、始まろうとしていた。
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