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学徒  

小説「人間革命」7-8巻 (池田大作全集第147巻)

前後
24  東大法華経研究会の、戸田の最後の講義には、山本伸一も同席していた。
 講義が終わった時、戸田は、学生たちに遺言を託すように言った。
 「もし、これから先、わからないことがあったら、この伸一に聞きなさい。わかったね」
 多忙極まる戸田が、何ゆえに、わずか数人の学生を相手に、難解極まる法華経の講義を始めたかというと、広宣流布を実現していくうえでの学生層の存在と役割を、早くから意識していたためといってよい。妙法を受持した学生の、二十年、三十年先の未来の活躍が、彼の脳裏には、まざまざと描かれていたのであろう。
 その学生たちの育成は、また、伸一の使命でもあった。
 その後、彼らは、戸田からバトンを受け継いだ伸一によって育まれ、社会の要となり、あるいは学会内の中軸となって、広宣流布推進の原動力になっていったことは言うまでもない。
 戸田は、生意気で逸脱しがちな学生たちに、彼らの生涯の原点を、忍耐強く刻み込んでいったのである。
 彼の人知れぬ努力のすべては、五七年(同三十二年)六月三十日に行われた創価学会学生部五百人の結成への基礎づくりであった。

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