Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第二節 生老病死の深淵を探る  

随筆「私の人間学」(池田大作全集第119巻)

前後
26  例えば旅客機が飛行していく。到着までには、気流をはじめ多くの気象状況等の「変化」に、すばやく対応していく必要がある。あらゆる変化を見きわめ、逐一対処しながら、悠々と目的地への進路を進んでいかねばならない。
 それと同じく、人生も変化に次ぐ変化である。無常である。何人も、肉体的、精神的に変化していく。環境も変わる。家族も社会も変化する。時をとどめられるものは何ひとつない。そうした無限の変化にも最も的確に、最も価値的に対処し、最高の幸福の方向へと飛行していく。そのための原動力が信仰である。
 そして、これこそ正しき「常住の法」に基づいた人生の生き方である。すべての変化を、よき方向へ、よき方向へと、リードしていける力が妙法にはある。
 人生は、はやい。逡巡したり、愚痴や他者への批判に、いたずらに時を過ごし、また自らの怠惰に負けてしまったりしているうちに、あっというまに人生は過ぎ去ってしまう。大切な一日一日である。
 フランスの大哲学者パスカルは、人生の真実相から目をそむけることになるすべての営みを、「慰戯」と呼んだ。「慰戯」とは、単なる気晴らし、娯楽の謂であり、人生の構築に何ら資することのない無価値の行為のことである。また、ソクラテスは、人間が、その本来性を開覚するためには「自己に関する無知」から脱出しなければならないと考えた。不幸の根源が「自己に関する無知」から生ずるという人生への卓見である。
 どこまでも現実のまっただなかで、逞しく生きぬきながら、同時に「大宇宙」を仰ぎ、「永遠」に思いをはせる広々とした境涯で、一日が千年にも千劫にも通じるような、悔いなき一生を送っていきたいものである。

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