Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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2 「教養」という人間力  

「新しき人類を」「学は光」V・A・サドーヴニチィ(池田大作全集第113巻)

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11  最高の研究者は同時に善き教師でもある
 池田 さて、総長がご指摘のように、大学院生が、その先生を指導教員に選ぶかということは、日本でも、学生にとって、大きな意味を持っていることは確かです。
 大学院は、研究者である教員と、学生との共同体の中で真理を探究するという課題を担っています。
 最高の研究者は、同時に善き教師でもあります。優れた研究者は、ときに、教授法の面で、不器用なところがあったとしても、学問の精神との接触を可能にしてくれるに違いありません。
 善き指導教員や優れた研究者は、彼ら自身の存在が、生きた学問にほかなりません。学生は、こうした指導教員との交わりをとおして、学問というものが、いかにして根源的に存在するのかということを学びとっていきます。
 「学問の師匠こそが、衝撃を弟子の中に呼び覚まし、弟子を学問の源泉へと導く」とは、前述のヤスパースの言葉です。彼はまた、「自ら研究する人だけが、本質的に教えることができる」とも述べています。
 研究に情熱を燃やす学生たちは、善き学問の師匠と出会い、教育されることを誰よりも強く欲しているのです。
 サドーヴニチィ 現在、ロシアでは、「大学院制度はすでに時代遅れとなった、修士課程で充分だ」という声が聞かれます。私は、この考えには賛成しかねます。大学院は、次世代の研究者、そして大学の教員を養成する機関でありつづけるべきです。少なくとも、我がモスクワ大学は、国内の他大学の範であるとの自覚のままに、従来どおり、大学院で磨かれた若き俊才たちを毎年教師に迎えつつ、力ある教授陣を確保していく方針を今後も堅持していくつもりです。

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