Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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広布の華・芸術部 化の天使 人生の名優たれ

2000.3.8 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

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1  見たまえ!
 聞きたまえ!
 人間の魂よりの叫びを。
 人間の血管の鼓動から迸る生命の舞を。
 自身のありとあらゆる宝を振りかざし、私は舞う。踊る。そして、歌う。
 そのなかには、希望がある。
 建設がある。権利がある。
 民衆と語る言葉がある。
2  我らの芸術には――
 大地を満たす足跡がある。
 大空を満たす乱舞がある。
 芸術に優る戦いはない。
 その戦いは――
 「幸福」の戦いである。
 「平和」の戦いである。
 「歓喜」の戦いである。
 芸術は、完璧な、人間と人間、群衆と群衆、国家と国家を結ぶ、壮大なる翼であり、万人が渇望せる勝利の完全な足並みである。
3  深刻な悪徳を倒せ!
 傲慢な権力を倒せ!
 陰険な野獣どもを倒せ!
 私は光る。私は挑む。
 私は吼える。私は勝つ。
 私は、すべての存在を幸福にする宿命の力を持っている。
 大勢の人の前で、詭弁もなく、見栄でもなく、策略でもなく、人間を閉じこめておく狂気から、一人も残らず、解き放ちゆく力の動作を、振る舞う。
 ――これが、芸術に生き抜く心だ。
4  芸術は、あらゆる人間が賛同し、全員一致の心の昂揚が、空高く翔びゆく力を与える。
 その舞台では、孤独の人も、悩める人も、願望を持ちたる人も、皆、芸術という魂に包まれ、燃え上がる火となる。
 有名な御書には、こう仰せである。
 「各各なにをかなげかせ給うべき、迦葉尊者にあらずとも・まいをも・まいぬべし、舎利弗にあらねども・立つてをどりぬべし、上行菩薩の大地よりいで給いしには・をどりてこそいで給いしか
 人生とは、万般にわたって、いかなる難をも乗り越え、前に前に舞いながら、勝利、幸福、栄光へと進んでいく生命である。
5  創価学会に、芸術部が結成されたのは、私が第三代会長に就任し、学会がいよいよ「文化活動の推進」を高く掲げた、一九六二年(昭和三十七年)のことであった。
 梅花は早春の風に匂い、桜の蕾がふくらみ始めた三月八日、その偉大な使命を象徴するかのように、わが「花の芸術部」は発足した。
 その時、集い来りし一期生は二十人。以来、三十八年を経た今日、全国には七千人に上る、「文化の天使」「芸術の戦士」の崇高なる陣列ができた。嬉しい。実に嬉しい。
6  私は、今も熱い感動をもって思い出さずにはいられない。
 一九七〇年(昭和四十五年)といえば、私の会長就任十周年であった。
 しかし、このころの学会は、大木も倒れんばかりの激しい嵐の渦中にあった。
 私自身も、社会の非難の集中砲火を一身に浴びていた。
 幹部の多くが確信を失い、崇高な使命に生きる誇りも、喜びもなくしていった人もいた。
 私との共戦を叫び、広宣流布の大理想を語ることさえ憚るような、身は落ちねども心は落ちた、浅ましき時代であった。
7  そんな暗雲を破って、赫々たる希望の太陽が昇った!
 「人間の歓喜」をテーマに、十月の六日から三日間、日本武道館で絢爛華麗に開催された、「’70東京文化祭」である。
 それは、美しき音と光の、生気躍動する、人間の凱歌の大舞台であった。出演者と観衆が一体となった、人間と人間、生命と生命の花の共演であった。
 この民衆の歓喜の祭典を担い支えてくださったのが、「ヤング・パワー」をはじめとする、大勢の芸術部員であった。
 「今こそ、私たちが立ち上がろう!」
 「学会の真実の姿を、天下に示すのだ!」
 偉大なる芸術部の闘士は、決然と頭を上げて、叫んだ。
 そして、多忙な日程をこじ開け、「プロだから」という傲りも捨て、真剣に、練習に駆け付けた。額に銀の汗を流し、頬を金の涙に濡らしながら、素人の出演者と共に、新しい「生命の世紀」の文化を創らんと敢闘した。
 その懸命にして誠実な生命の輝きと、信仰の輝きに、全出演者が奮い立った。
 ああ、途方もなく光りきらめく、堂々とそびえ立った、文化祭という人間の勝利の宝塔よ!
 私は最終公演を拝見し、美事な人間讃歌の黄金の天舞に、心からの拍手を送った。
8  一週間後の満月の夜、私は、芸術部の代表の皆様と、聖教新聞社の屋上で、共に月天子を眺めながら、文化と民衆が勝利する広宣流布の未来を語り合ったことが懐かしい。
 その時、私は、感謝の思いを込め、また、皆様の栄光を祈り念じて詠んだ。
  天空を
    狭しと光れ
      月天子
9  法華経には、「妙音菩薩」は、相手に合わせて、ある時は梵王、帝釈、またある時は転輪聖王、長者、宰官、あるいは童男、童女……と、三十四身という多様な姿を現じながら、人びとを救うと説いている。
 まさに「名優」「名女優」を彷彿させる、人生の戦いの深き哲学である。
 皆様よ、堂々と生き抜け!
 堂々と舞いゆけ!
 堂々と勝ちゆけ!

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