Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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香港の大空 世紀に轟け 人生の讃歌、皆が仲間 人間共和の大行進

2000.2.21 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

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1  私は讃嘆する。
 この大宇宙と大自然と一体となりて、天地と大海に生き抜く至福の香港の青空!
2  「毎日、そして一瞬一瞬が、私たちにとっての新たな出発である」とは、インドの哲人政治家・ネルーの有名な言葉である。
 今、君も、私も、世界の偉大な焦点の地盤、香港の大地の上に立っている。
 君の魂の泉にも、私の魂の底なき泉にも、同じ同志の歌がある。
 その歌は、人生の讃歌であり、創価のスクラムの歌であり、生命の勝利の音楽である。
 我々は、虚しき人生の不幸と決別して、一生涯にわたる、新しき生命の福運の王者になるために生きているのだ。
3  私は、本来の偉大な力を発揮する。
 君もまた、本来の偉大な使命を発揮したまえ!
 そして共に、黄金に輝く私たちは、ため息の人生から、本来の権利の人生を、勝利の権利の人生を歩みゆこう!
 その誇り高き使命を抱ける、憧れの大地。これが、我々の香港だ!
4  我らの足元には、鎖もない。泥沼もない。
 全世界の人びとよ!
 私たちのこの香港を見よ! と、私は叫びたい。
 この我らの舞台には、閉ざされた屋根は、まったくない。
 この舞台から、さまざまな青春の価値を見つめながら、君は、どこまでも自分らしく、深い哲学と楽しい物語を築いていってくれたまえ!
 わが町には、不幸の門を突き抜けて、常に新しい花輪に包まれた、親しき人間と人間の祝典の道があるのだ。
 彼方では、琴の調べが詩情豊かに聞こえてくる。
 また彼方には、生きゆく力を、勇敢な腕で叩きゆく銅鑼と鐘の響きが、たくましい。
 香港よ!
 私は香港が大好きである。
 みなの心が燃えている。
 みなの心が挑戦している。
 世界が老いても、香港の世界は常に若い。
5  たそがれの雲が墨絵のごとく描き出され、そこには、東の風が、また南の風が、静かに強く吹いている。
 そして竹薮の中から風笛を吹きながら進んでいく、希望と使命の大行進の姿があるように、感じられてならない。
 それを見つめている、また、待っている花々の群れ、緑の木々、大喜びの青草の、生命と生命の舞いゆく姿が楽しそうだ。
6  雨になると、きっと梢は威勢よく、ひそやかな森の中で、音を立てながら賑わい、語り合っていくにちがいない。
 もしか雷雲が来れば、巨人の生命のように、すべての地上の高い木も、美しい花も、けなげな草も、乱舞しながら、喜び勇んで、雨の中で、平和を満喫する。
7  天然の大屏風のような八仙嶺に抱かれ、青き海原を望む香港総合文化センターには、「環境教育センター」も併設されており、豊かな二十一世紀への大自然が、大切に丹念に保護されている。
 その調和と共生の広場を、香港の友は、いつも、またいつも、真心込めながら、わが宝の庭として、整備してくださっている。
 私は感謝にたえない。常に、頭が下がる思いがする。
8  わがセンターの近くの静寂な入り江には、海に遊び、天に舞う、真白き天女のごとき白鷺が、あちらにもこちらにも、楽しそうに飛び回っている。
 ここに、平和がある。
 ここに、幸福がある。
 ここに、生命の舞がある。
 その彼方には、私たちが「日中友好」への、永遠に消えることなき歴史的第一歩を印した、深セン<土へんに川>特区の見事なる高層ビルが、長者のごとく立ち並んでいる。
9  二年ぶりの香港――。今回(二〇〇〇年)、私は、ランタオ島の北側に誕生した新空港に初めて降り立ち、「ニュー香港」の象徴である壮麗な「青馬大橋」を渡った。
 住宅街や学校の建設も目覚ましい。
 この春節(旧正月)の期間、香港への人の往来は、七百万人を超す新記録であったという。
 アジア全体を襲った不況の影響を受けながらも、街を歩く人びとに、暗い表情は一つも見られない。
 私たちが確信していたように、無限の活力みなぎる香港は、返還後も、ますます繁栄し、安定している。
 明るく、希望と自信に満ちた″世音″を観じ、私は、本当に嬉しく安堵した。
10  古くからの香港SGIの友は、みな、お元気で、大富豪の境涯で、福徳に包まれている。
 日蓮仏法の説く「冥益」という因果の理法が、いかに偉大であるか!
 わが人生の歓喜の勝利の日々を創れ!
 わが人生の賢き生活の軌道を守れ!
 今日も、朗らかに胸を張れ!
 たくましく胸を張れ!
 勝利のために、胸を張れ!
 君も私も、三世永遠に「桃園の盟友」であるからだ。
 一人も負けてはならない。
 断じて負けてはならない。
 断じて勝ちゆくところに、人生の人生たる誓いがある。確かな証がある。
 御義口伝には、「久遠とははたらかさず・つくろわず・もとの侭と云う義なり」と説かれる。
 人間は、人間以上には、絶対に偉くはなれない。
 「仏」といっても、あくまでも人間である。
 気取らない。飾らない。威張らない。
 みな尊厳であり、みな平等であり、みな仲間である。
 これこそ、わが香港家族の、世界一の人間と人間の共和と共存の理想郷なのである。
11  若き香港の学友よ!
 若き香港の哲学者よ!
 若き香港の求道者よ!
 若き香港の広布の英雄よ!
 「生きている限りは学ぶべきである」――
 これは、古代ギリシャのアテネの政治家であり、将軍であった、ニキアスの言葉とされる。
12  二十六年前の一九七四年、私が初めて、香港大学や香港中文大学を表敬したころは、知性輝く瞳の学生部員は、まだ、ほとんど、いなかった。
 時は移り、時は来り――
 今では香港のすべての大学で、わが学生部の英才が、勉学と母校愛と社会貢献の連帯を、生き生きと広げている。
 創価大学に留学してくれた青年指導者たちも、各界の中枢として光り始めた。
 香港創価幼稚園も、開園から八年――。
 アジア社会からの信頼は、あまりにも大きい。
 二十一世紀の香港を、世界第一の「教育の港」「人材の城」に! これが、私の夢であり、ロマンであり、決意である。
13  いつまでも若々しい、方召麐ほうしょうりん<鹿の下に吝>先生とも、今回、再会を果たすことができた。
 この偉大な芸術のお母さまは、以前、私に、唐の詩人・高適の一詩を認めてくださった。
 それは、奇しくも、私が「戸田大学」の漢文の授業で、直接、師匠から学んだ一節でもあった。
 すなわち、外敵の蹂躙をはね返し、自分たちの愛する国土を厳として守り通した、人びとの勝利の「歓びの歌」「歓びの舞」を描いた詩であった。
14   到る処 ことごとく逢う 歓洽かんこうの事
  相看る 総て是れ 太平の人
 (どこに行っても民衆の慶祝の行事に出会い、喜びうち解けている姿が見られる。太平の世の到来を、心から歓んでいる人たちばかりである)
15  勇猛に戦い、そして堂々と勝ちゆく人生は、なんと愉快なことか!
 香港には――
 臆病な退転者は、一人もいない。
 卑劣な反逆者も、一人もいない。
 邪悪な破壊者も、断じて寄せつけない。
 何があっても、我々は負けない。
 歴史の審判は、明確に我々の勝利を綴り残している
 「法妙なるが故に人貴し・人貴きが故に所尊し
 我々は、妙法とともに不滅であり、幸福の君主である。
 今いる、この複雑な社会で、栄光と勝利という無上道の人生を、断固として飾りゆくことが、決定しているからだ。
 私が、初めて香港の大空を仰いでより、まもなく四十年。
 次回は、二十回目の香港訪問の旅と、皆さま方が言っておられた。
16  ――これは、常々、私が愛し、心に響かせてきたマハトマ・ガンジーの言葉である。
 「我々は、どんな困難や挫折に見舞われても、真実の探求を、決して諦めてはならない」(″Truth is God,″ Navajivan Publishing House)
 「人間の強さとは、肉体的な能力によるものではなく、不屈の精神力によるものである」(″The Collected Works of MAHATOMA GANDHI,″ Publication Division, Ministry of Information and Broadcasting, Government of India)

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