Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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21世紀の宗教革命の雄・秋田 ″吹雪に胸はり いざや征け″

1999.98.17 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

前後
1  戸田第二代会長の指導は、常に峻厳であられた。
 しかし、弟子が大きく成長していく姿を見て、気分が良い時は、呵々大笑し、本当に嬉しそうにされる人柄であられた。
 とくに、青年に対する指導は、温かくも、厳しかった。
 「増上慢になるな!」
 「嘘をつくな!」
 この二点は、非常に激しく、厳格であった。
 青年が嘘をつくと、
 「嘘つきは誰にも相手にされない。青年は、人びとから信頼され、信用されることが最大の財産である」と、戒められた。
 さらにまた、幹部になったり、議員になって、傲慢になった人物に対しては、「この崇高なる仏法の世界を見下ろすとは、何事か! どんなに社会的に有名になっても、折伏し抜く闘士、仏法を行じ抜く英雄の心を失えば、一つも偉くない。君らは畜生根性に成り下がったのか!」と、烈火のごとく叱った。
 「瞋恚しんには善悪に通ずる者なり」――怒りは善悪に通ずるものである――と、御聖訓にある。ゆえに、叱咤は、日蓮大聖人もなされておられた。「悪」に対しては、これを怒り、憤ることは、正しいのである。
2  戸田先生は、いつも、「『嘘つき』と『増上慢』を、真の和合僧から叩き出していくことが、より広宣流布を早め、より真実のスクラムと団結を勝ち取ることになる。これこそが、皆が納得と満足をして、前進することができる世界なのだ」と、烈々たる口調で語っておられた。
 なればこそ、先生の、増上慢の輩に対する熾烈な闘争は、内外ともにわたって、火を吐く戦闘の様相を呈していた。
 師が身をもって教えられた、この学会の大闘争精神を、永久に失ってはならない。
3  私が、厳寒の秋田へ、皆の喜びを胸に描きながら、活発な励ましの指導をしようとして、忘れ得ぬ「雪の行軍」を敢行したのは、一九八二年(昭和五十七年)の一月十日のことであった。
 ここ秋田も、九州の大分と並んで、聖職者の仮面を被った坊主による、冷酷な迫害の黒い吹雪が荒れ狂った。
 人を救い、世を救うべき聖職の僧が、純真なる信徒を苦しめ、供養を搾取し、奴隷のごとく見下すなどという不条理は、断じて許せない。また、許してはならない。
 蓮祖の宗教革命も、そこから始まった。今、我々の宗教革命も同じ方程式である。
 「法師の皮を著たる畜生」どもの、信徒を食い物にした罪は、いかなる罪よりも極悪である。
4  十年ぶりの秋田は、一面の銀世界に包まれていた。
 空港から秋田文化会館へ向かう途次、雪の街角のそこかしこに、物陰に隠れるように、何人もの同志が佇んでおられた。
 私が車を止めてもらい、ドアを開けると、ようやく駆け寄って来られる。その場で、寒さも忘れての懇談、記念撮影……。
 それは、道中九カ所、千人の同志との感激の″雪の街角座談会″となっていった。
 ――なんと健気な人たちであろうか! この人たちを絶対に裏切ってはならない! この人たちの幸福のために戦っていかねばならない!
 どんな迫害を乗り越えても、この方々を守っていかなければならない!
 私の胸に、熱い、熱いものが流れた。
5  仏法は勝負である。勝つか負けるか、中途半端はない。断じて戦ってきたから、学会はすべてに勝ってきたのである。
 「日蓮が弟子等は臆病にては叶うべからず」である。臆病では、人生は勝てない。法戦も勝てない。
 正義が負けたら、永遠に人類史は暗闇となる。
 「正義によって立て! 汝の力二倍せん」と、ある哲学者は叫んだ。
 秋田の同志も戦ってきた。ありとあらゆる中傷非難の歴戦を乗り越え、勝ち越え、栄光の自分史を築き上げた。
6  秋田指導の四日目(一月十三日)の午前と午後、私は、魔僧の最も激しい弾圧を忍んだ大曲・能代などの同志と、雪中の記念撮影を行った。
 会館隣の沼田児童公園を使って、三千人の撮影会であった。
 そこには、迫害の嵐を耐え抜いた魂の勝者の涙があった。「私は戦い抜きました!」と、無名の英雄の笑顔があった。
  ♪君も征け 我も征く
   吹雪に胸はり いざや征け
   地よりか涌きたる
       我なれば 我なれば
   この世で果たさん 使命あり
 私たちは「人間革命の歌」を心の底から大合唱した。
 そして、五月晴れのような万歳の声が、千年の未来にも轟けと、秋田の空に鳴り響いた。
 雲一つない青空も、雨も、そして″どか雪″もある、天の多彩な演出の、秋田の六日間であった。
 「二十一世紀の秋田」の土台を固める六日間であった。
7  ″二十一世紀の宗教革命の雄″――豪胆と誠実と真面目なる魂の秋田の友は、今、決然として頭を上げた。
 断じて、増上慢の仏敵には、負けてはならぬ。
 強くなれ! 強くあれ!
 それが、勝利者の実像であるからだ。
 さあ、偉大なる秋田の青年たちよ! 団結せよ! 立ち上がれ! 断固として、勝利を勝ち取れ!
 君たちのあとに、日本国中の青年が立ち上がるだろう!

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