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日蓮大聖人・池田大作

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詩情の韓国・済州島 麗しき同志の前進に 栄光燦たれ!

1999.5.24 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

前後
1  空が光っていた。
 海が光っていた。
 自然も、街も、輝いていた。
 島の中央にそびえる漢拏ハルラ山の裾野は、緑のガウンに包まれ、光の詩を奏でていた。
 わが憧れの済州(チェジュ)島は「麗しき宝の島」であった。
 詩情の島であった。
 人を詩人にする島であった。
 苦難の嵐を越えて、晴れ渡る空のごとく、美しき心と心を結ぶ「平和の島」であった。
2  五月十六日、私は、済州島を初めて訪問した。前日に、待ちに待った「韓日友好の碑」(福岡研修道場内)の除幕を見届けて、一年ぶり三度目の訪韓である。
 今回、私は、お招きをいただいた国立済州大学から、栄えある「名誉文学博士号」を授与された。十七日のことである。お元気な趙文富チョームンブ総長と、済州大学の、大海のごとく寛大なる友情に、改めて衷心からの感謝を記しておきたい。
 しかも、ご多忙のなか、わざわざ、慶煕キョンヒ大学学園長の趙永植チョーヨンシク博士、忠清チュンチョン大学の鄭宗澤チョンジュンテク学長が祝福に駆けつけてくださったのである。深きご厚情に、涙あふるる思いであった。
 かつて、傲慢な日本は、人倫を踏み外し、この「文化の大恩人の国」「師匠の国」を蹂躙した。その韓国から、こうした栄誉をいただくことが、どんなに重大な意味をもつものか、私はよくわかっているつもりである。
3  式典には、済州島の友をはじめ、わが韓国SGI(創価学会インターナショナル)の同志の代表も参加され、喜びをともにしてくださった。さらに、韓国民団(在日本大韓民国民団)の大阪府地方本部等からも、三人の代表の方が参列されていた。
 済州チェジュ島と日本の縁は深い。
 古くは、七世紀、済州島が「耽羅タムラ国」であった時代から、日本との交流は始まっていた。そして今日、在日韓国人の約二割の人が済州島の出身といわれる。
 なかでも、関西とのつながりは強く、わが関西文化会館にほど近い生野区、東成区を中心として、多くの方々が大阪に住んでおられる。″常勝関西″の、偉大な同志も、大勢活躍されている。
 一九二二年、済州島と大阪を結ぶ、定期船の直通航路が設けられた。これが、済州島出身の方々が関西に多くおられる契機となったようだ。
 もちろん、日本の植民地支配を背景にしたものであり、以来、「在日」の方々が歩んでこられた歴史は、どれほど苦渋に満ちた幾歳月であったことであろうか……。
 ともあれ、私は、この度の栄誉は、言語に絶する苦労を重ねてこられた、韓国と「在日」の同志の皆様とともにお受けしたものと思っている。
4  今、済州島は、美しき緑と花の競演のなかにあった。
 しかし、国花・無窮花(ムグンファ)の高貴な彩りを見るには、厳しい夏を待たねばならない。
 炎暑の逆境に耐え、人びとの心を励ますがごとく、咲き誇るその姿は、あまりにも気高い。
 しかも、夜明けに咲いて夕べにしおれる「一日花」でありながら、夏から秋まで、日々新たに咲き続ける。
 ゆえに、無窮花には、不屈の韓民族の魂が込められ、「生命力の強さ」「根気強さ」「勤勉さ・進取性」等を象徴しているともいわれる。(李相煕著『花から見た韓国文化』参照)
5  無窮花のごとく――それは、愛する韓国の友の、忍難と勝利の歴史と二重写しになる。
 皆様が、どれほど厳しき冬を耐え抜いてこられたか!
 歯を食いしばり、社会に根を張り、信頼と幸福の種を蒔き続けてこられたか!
  永い冬を耐えたわたしは
  草のように甦える。
  愉しげなひばりよ
  どの畝からも歓喜に舞いあがれ  (「春」伊吹郷訳、『空と風と星と詩』所収、記録社)
 ″青春詩人″尹東柱ユン・ドンジュの、この詩のごとく、韓国の同志は、堂々と勝ってきた。
 不屈の魂で、世界のSGIの希望の花園となった。
6  現在、韓国SGIの本部には、″非暴力の勇者″ガンジーの像が設置されているが、「韓国のガンジー」といえば、独立運動の父・安昌浩アンチャンホ先生である。
 その先生が、一九一三年に、独立の担い手となる人格修養団体「興士団」をつくられた時、最も重視されたことの一つが「団結」であった。しかも、正義を目的とした、不変にして不壊(ふえ)の団結を謳い、それを「神聖団結」と呼んだのは有名である。
 我らの立場でいえば、「異体同心」である。広宣流布という大目的への、金剛不壊なる信心の団結である。
7  さらに、安昌浩先生は、常に教えておられた。
 「百回話すことよりも一回示すことがもっと有効でしょう。『務実力行むじつりきぎょう』する一人の人が『務実力行』を話す百人よりももっと強い感化力があります」(李光洙『至誠、天を動かす』興士団出版部編、具末謨訳、現代書林)「務実力行」とは、″真実まことに努めよう″″行につとめよう″という意味である。
 口では立派そうなことを言いながら、人にやらせるだけで、自分は何もしない。何も行動しない。そんなリーダーの「嘘」ほど、皆の信頼を破壊し、団結を破壊するものはない。
 反対に、率先垂範の一人立つ賢者があるところ、必ず、広宣流布の大波が起こっていく。
 これが「人間革命」の原理である。
 その雄々しき獅子と獅子のスクラムゆえに、学会は断固として強いのである。
 韓国の大発展は、誠実を貫き、苦難の嵐を耐え抜いてこられた勇将たちの栄冠なのである。これこそ「世界の模範」であると、心から称えたい。
8  御聖訓には「心清ければ土も清し」と仰せである。日々、勝利の笑顔にも似た、済州島の晴れやかな空を見上げつつ、私は、心で合掌せずにはいられなかった。
 わが愛する同志に幸福あれ、栄光あれ、無限の前進あれ!
 いかなる波浪があろうとも、韓国と日本の、平和と友情の不滅の虹の橋よ、二十一世紀の大空に、満面に笑みをたたえながら架かりゆけ!

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