Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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東北の新しき春 創価の青葉城に勝鬨響け!

1999.2.10 随筆 新・人間革命1 (池田大作全集第129巻)

前後
1  春近し。雪なお深き、東北の里にも、静かに、また確実に、新しき春の足音が高まってゆく。
 その希望の曲とともに、私の胸には、尽きせぬ泉のごとく、詩情があふれてくる……。
 われらの新鮮な心は、今日も、太陽に堂々包まれ昇っていく。
 われらの労働が花咲き、充実の汗に踊る時、そこには、新しき雅楽の音がある。そして、新しき花があり、葉があり、幹がある。
 東北こそ、「冬は必ず春」という法則の劇が、あらゆる栄光の衣装を着て、勝鬨をあげゆく象徴の国土である。
 人も、自然も、その厳粛なる試練と慈悲を、どこよりも深く知っている。
2  多くの、多くの人間の運命は暗い。
 しかし、創価には、喜びを、決意を、真剣を歓迎する、誠実な幸福の香りが、あの地にも、この地にも、光り輝いている。
 妙法は、帝王であれ、農夫であれ、病者であれ、皆、平等である。
 そこには、寂しさもなく、孤独もない。空虚な栄華もなく、絶望の断崖もない。
 妙法は、ひたすらに、あなたに吹きそよぐ、幸せな春の曲である。
 暗闇に別れを告げる、新しき、また美しき、若者たちの宮殿の世界である。
3  あなたは、一面の銀の大地を踏みしめて進む。
 あの地、この地の、平凡な自分の家も、同志の家も、窓辺で振ってくれる手は、無上の最高のご馳走である。
 そこには、幸福という人間の真髄の響きが漂う。
 われら広布の英雄には、妙法の長者には、大地も永遠の宝土であり、寒き海辺もまた、三世の陽気な楽土である。
 われらが眺める星は、不屈の意志の星と映り、消えることのないその光は、自身の胸の中に昇る。決然と、決然と、穏やかに――。
 冷たい夜空にも、一番星の夢は輝き、耐え抜いた一日の栄光と崇高の風が暖かい。
4  嵐よ、勝手に吠えろ!
 吹雪よ、笑うなら笑え!
 かえって、私の心は躍る。
 私たちには、幾千万の諸天と諸仏の加護がある。
 われらには、名聞名利の位の高下もなく、大小もない。
 一心に、妙法の人生に生きる「尊極の宝塔」として、恐れなくそびえ立つ。
 吠え騒ぐ風よ! われらを非難しても無駄である。汝自身の本性を知るがよい。
 その弱さ、迷妄、嫉妬、卑しき心の毒気を!
 仏法は「現当二世」と説く。
 ゆえに人は、この世に生まれた時から、新たな人生の旅の、出発の連続である。
 その生命の出発を勇敢に勝ちゆく人は、死ぬ時もまた、永遠の勝利の人となる。
 汝自身の、見えない厳しき掟を知らねばならない。
 その眼に照らせば、悪は、ことごとく思い上がりであり、嫉妬であり、愚かさなのである。
 まぶしい太陽に遇って消えゆく、はかなき残雪にすぎない。
5  幸福の源泉である、至善至高の妙法こそ、何ものも勝るものはないことを知れ!
 頑昧迷路な横着者には、たとえ幸福の泉はあれども、その水は汲めない。穴の開いている桶であるからだ。
 誰が見ていなくとも、あの友のために歩いた、雪原の一本の道は、永遠の喜びと安穏の王宮へと通じている。
 広宣流布という、われらの奉仕は、そのなかに幸福という至善の光を浴びて、さらに、さらに、光輝ある勝利の大地へと、顕現していくのである。
6  ――長い冬を耐え抜いた、東北の同志を思うと、私は、いつも、いつも、飛んでいって励ましたい気持ちである。
 ともあれ、二月は、戸田先生のお誕生の月であり、ご存命であれば、明十一日で九十九歳となられる。
 先生とともに歩んだ一日一日は、私の黄金の歴史であり、栄冠である。
 東北にも、幾度か、先生のお供をさせていただいた。
 四十五年前の春、青葉城(仙台城)址にご一緒して、広布の大ロマンをお伺いしたことは、あまりにも懐かしい。
7  「創価学会は、人材をもって城を築いていくのだ!」とは、先生のご遺言である。
 「仙台城」は、かつて「千代城」と呼ばれていた。
 この東北の天地に、千代、万代に絶対に崩れぬ、創価の模範となるべき、厳たる人材城を築きゆけ!
 それが、恩師の深き期待であり、叫びであり、遺言であった。
 自然も、人生も、厳しき冬を越えてこそ、春は美しい。
 苦難に鍛えられてこそ、金剛不滅の土台は築かれる。
 今、わが東北は、完璧にできあがってきた。
 わが創価の城に轟く勝鬨に、私の心は熱くなる。

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