Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

自然を守る学会の心 鳥よ、緑よ、生命よ輝け!

1998.2.1 随筆 新・人間革命1 (池田大作全集第129巻)

前後
1  白雪の世界は、心を清らかにする。
 軽やかに、白鳥が湖面に遊ぶ。喜びの翼を広げ、舞い征く姿は、絵のように美しく光る。
 ″白鳥の湖″として、有名な新潟県の瓢湖ひょうこには、この冬も、およそ五千羽の白鳥が飛来したという。
 一九七一年(昭和四十六年)の五月。私は、数人の友達とともに、瓢湖のほとりに立った。
 ほとんどの白鳥は北へ帰っていたが、一羽の母鳥が雛鳥を連れて、水面を静かに泳いでいた。
 思わず、持っていたカメラを向けた。この白鳥たちを、この自然を永遠に守りたいとの願いを込めて――。
2  その心に応えてくださったのが、地元・水原白鳥本部の有志の皆様である。
 青年部を中心に、「瓢湖を守る会」が発足。
 四季を通じて、定期的に、湖の周囲の清掃を行うなど、黙々と、環境保全に取り組んでこられた。
 地域の方々の信頼も厚く、昨年の「文化の日」には、水原町から感謝状もいただいたとうかがった。
 厳しき雪国のこと。地元の方々のご苦労がしのばれるが、華麗な白き翼の舞は、詩人の心を夢の国へと誘ってくれる。
 私の創作童話『雪国の王子さま』も、そうしたロマンから生まれたものである。
 私は、これまで瓢湖を訪れること三度。傷病の白鳥の″保護収容舎″や、羽を休める″休養島″も寄贈させていただいた。
3  私の師である戸田先生が、幼少期から青春期を過ごされた北海道。その北の大地の一角に、「釧路市丹頂鶴自然公園」がある。通称「鶴公園」である。
 五八年(昭和三十三年)の開園で、本年で四十周年を迎える。
 開園の前年、絶滅の恐れのある、特別天然記念物のタンチョウを保護しようと、公園開設の寄付を募った。
 それを聞くと、戸田先生は言われた。
 「大事なことだよ。人間は、自分たちが地上の支配者であるかのように思い上がり、自然を破壊していけば、大変なことになる。自然を守ることが、人間を守ることにもなる」
 人間と環境の不二なる連関を知る仏法者としての、信念の言葉であった。
 先生は、その寄付にいち早く応じられた。金五十万円。公務員の初任給が、一万円もしない時代である。
 公園開設の当時、絶滅の危機に瀕していたタンチョウも、今日では、道東で六百羽ほどの優雅な姿が確認されている。
4  初代会長牧口先生は、大著『人生地理学』で、人間と環境との密接不可分なる関係を説かれた。そこには人と自然との融合、共生への思想の光がある。
 自然を愛する心、自然を守る行動――それは、学会の尊き伝統となってきている。
 私は初の海外指導の折、南米のブラジルを訪問したが、ここにも、今、その伝統が受け継がれている。
 ブラジルSGIは、九二年(平成四年)に「アマゾン自然環境研究センター」を設置。アマゾナス州環境科学技術局、創価大学自然環境研究センターと共同で、「熱帯雨林再生プロジェクト」を推進し、植林など、環境保護の運動を積極的に進めてきた。
 自然を守るための意識啓発の展示活動も、ブラジル国内はもとより、南米各国で開催。大変な好評を博した。
 こうした活動が高く評価され、環境保護の″偉大な象徴″として、マナウス、サンパウロ、リオデジャネイロの各市議会等からも、顕彰されている。
 こよなく大自然を愛された恩師も、この地球市民としての栄誉を、心から喜ばれているにちがいない。
 美しき自然を、守り、育むものは、人間の豊かなる精神の沃野である。人の心の浄化が、鳥を、緑を輝かせる。
 やがて、雪どけのころには、別海の北海道研修道場内に広がる″悠久湿原″にも、タンチョウのつがいが、仲の良い姿を見せるという。
 春近し。詩人の胸は躍る。

1
1