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日蓮大聖人・池田大作

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6 西洋の思考に変化の兆し  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

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2  「知」のパラダイムの転換
 池田 現今、西洋においても、「知」のパラダイム(枠組み)の転換が起きつつありますね。たとえば、「機械的世界観」から「生命的世界観」へ、「要素還元主義」から「全包括主義」へ、「不連続な自然観」から「連続的自然観」へなど、いずれも、東洋の総体概念に親しい方向性をもっております。
 そして、社会、経済、科学、技術等の多くの分野で、エコロジー、ゆらぎ、自己組織化、ホロン(個であると同時に全体としての性格)、ホメオスタシス(恒常性)、シンビオシス(共生)など、万物の「共生」を志向するキーワードが用いられ始めました。
 新しい「世界の秩序」も、現象がはらむ統一性と多様性を同時に理解できる総合思考モデルを根本に構想していかなければなりません。
 私たちは、一見、矛盾する要求に応じていかなければならないのです。すなわち、一つの地球文化を築く一方で、多様なる地域文化を発展させていく必要があるのです。
 情報と資本のグローバル化が急速に進行する現在の世界は、西欧的な価値にもとづく単一性が強まり、同時に、そうした流れに乗り切れない国々や地域が疎外され、差異が分裂を引き起こしています
 しかし、どの文化も、異文化と出合うなかで、新しい創造を行ってきました。
 とくに近代においては、「欧化か、土着か」「進歩か、伝統か」といったジレンマに真摯に対峙することが、文化創造の主たる原動力となってきたのです。
 その意味では、「文明の衝突」という事態は、あらためて驚くようなことではありません。とくに東洋は、そうした衝突を乗り越える豊饒な「智慧」を培ってきたのです。

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