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日蓮大聖人・池田大作

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5 「科学主義」の蔓延  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

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2  「天人合一」思想の宣揚
  救う方法はあるのでしょうか。当然あります。私の考えでは、その方法とは、東洋文化の総合思考モデルをもって、西洋の分析思考モデルを救うことです。
 まず初めに、中国人、東洋人の哲学思考にのっとり、そのなかでも最も主要な「天人合一」の思考にのっとって、大自然と交流し、徹底的に悪行を改め、善行に努め、根本的に方法を改めることです。
 こうして初めて、人類は幸福に生存し続けていくことができるのです。
 大自然に対する破壊を抑制し、大自然からの報復と懲罰を避けようとすれば、必ず東洋の「天人合一」によって、自然を征服する考え方ややり方を改めなければなりません。
 われわれはまた、宗教に対するのと同じように、「天人合一」の思想を宣揚し、この思想が深く人心に浸透し、自覚的に遵守するようにさせなければなりません。西洋に対して宣揚するだけでなく、東洋に対してもしかりです。
  季先生が指摘されたように、「科学主義」はないがしろにできない問題です。
 「科学主義」という問題を把握できたならば、人類社会の致命的な疾病、あるいは最大の時弊に対して診断をくだしたことにひとしくなります。
 「科学主義」という疾病は、すでに全世界に蔓延してしまいました。その症状は、科学を万能とし、理を重んじ、文を軽んずることです。
 中国を例にあげれば、科学は、すでに深刻なまでに人々に誤解されています。
 「科学」という言葉を乱用する現象は、普遍的に見られ、社会、とくに大学のなかで、理を重んじ、文を軽んじる現象は、今に始まったことではなく、目下ますます激しくなりつつあります。
 もはや難病となってしまったと言えるでしょう。「科学主義」という難病を治す処方筆は、人文精神を大いに発揚しながら、正しい価値志向をもつ思想で、人間を教育し、社会をコントロールしていことです。
 具体的に言えば、季先生がおっしゃったように、「われわれはまた、宗教に対するのと同じように、『天人合一』の思想を宣揚し、この思想が深く人心に浸透し、自覚的に遵守するようにさせなければならない。西洋に対して宣揚するだけでなく、東洋に対してもしかり」ということです。

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