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日蓮大聖人・池田大作

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4 鳩摩羅什訳の『妙法蓮華経』  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

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2  漢訳本の決定版
  『法華経』が、中国仏教史と中国文化史において及ぼした影響は、きわめて広く、深く、長いものでした。ですから、特定のある一つの時代、ある一つの場所を取り上げて、くわしく紹介することはできませんし、またその必要もないと思います。
 ここでは、私自身が、比較的注意を払い、研究する価値があると思う問題だけをあげてみたいと思います。
 池田 ぜひとも、拝聴させてください。
  まず、第一点です。
 全体的にみると、『法華経』は中国に最も影響を与えた仏教経典であり、このような影響は鳩摩羅什が翻訳した『妙法蓮華経』によってもたらされたものです。
 現存する漢訳仏教経典の古写本の数量については、いまだに厳密な統計ができていない状況ですが、われわれは少なくとも、漢訳『法華経』は、最も古写本の多い漢訳仏教経典の一つであると言うことができます。
 しかも、漢訳『法華経』の古写本のなかでは、間違いなく、鳩摩羅什訳の『妙法蓮華経』が絶対的多数を占めています。
 少し前になりますが、私は、現存する最古の木版本の漢訳仏教経典も、やはり『妙法蓮華経』であることに気がつきました。
 池田 その最古の木版経典とは、どのようなものですか。
  聞くところによれば、その刊行された年代は、則天武后の周朝の中期、すなわち六九五年から六九九年より前の時期であったはずだということです。
 これは、以前に最古のものであると公認されていた、唐時代の咸通九年、すなわち八六八年に刊行された『金剛般若経』の木版本よりも、さらに約百七十年も古いものです。
 池田 そうなのですか。
 ところで、なぜ『法華経』がそれほど多く、書写されたり、出版されたりしたのでしょうか。
 前章で蒋先生が述べておられるように、『法華経』に”書写の功徳”が説かれているから、との説があります。たしかに功徳を期待する面もあったでしょう。
 それとともに、信奉者たちが”『法華経』を広めたい”と強く願ったことも大きな理由ではないか、と考えます。この点、蒋先生はどうお考えですか。
  おっしゃるとおりです。『法華経』の信奉者たちが皆、”『法華経』を広めたいとの強い願いをいだいていたことも、『法華経』が頻繁に書写されたり、出版されたりしたおもな理由の一つだったと考えられます。
 池田 ほかには、いかがでしょうか
  『法華経』の中国に対する影響の大きさは、粱の慧皎えこうによって書かれた『高僧伝』等の中国仏教史についての古典籍からもうかがえます。
 また、古代中国人の手になる『法華経』を説明、解釈したおびただしい著作からも考察することができます。

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