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日蓮大聖人・池田大作

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3 仏教教団の存在意義  

「東洋の智慧を語る」季羡林/蒋忠新(池田大作全集第111巻)

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3  衆生平等のオアシス
 池田 「チャンダーラ」というと、当時、最も差別されていた人々でした。
 集団で社会から隔離された生活を強いられたチャンダーラが、仏教教団に入り、数年で修行を完成した例が『マハーヴァンサ』という仏典に出てきます。
 仏教教団は、当時の社会において、悩める人、抑圧された人々にとって「オアシス」のような存在だったのでしょう。
  バラモン教は賎しい種姓出身の者が、バラモン教徒になることを固く禁じただけでなく、彼らがバラモン教の宗教儀式や祭紀にかかわることを、厳しく戒めました。
 釈尊は、これとは逆のやり方をとり、種姓制度に反対し、衆生平等を訴えました。そしてまた、すべての人々に、種姓、男女を問わず、僧団に加入したり、仏教に帰依したりすることを許したのです。
 バラモン教の種姓制度の提によると、チャンダーラは、賎民で「不可触民(the untouchable)」であり、バラモン教を信奉する社会では、彼らは道を歩くにも二本の木を打ち鳴らしながら歩かなければなりませんでした。高貴の種姓がその音を聞いて彼らの影を避けられるようにするためにです。
 なぜなら、彼らの影すらも不浄なものとされ、高貴の種姓の体が汚されるとされたからでした。
 しかしながら、このような、いわゆる「賎民」であっても、仏教に帰依し、修行得道できるとしたのです。
 この点からも、釈尊が創始した仏教は、間違いなく、当時、正統な地位にあったバラモン教に対する抵抗、挑戦であり、広大な民衆を拠りどころとした”革命運動”であったことがうかがえます。
  生まれや部族を超えた釈尊を取り巻く集いのようすが、ヤメールとテ一クラの言葉からうかがえます。
 もちろん、彼らはそれを「仏の言葉を汚す」行為と嫌ったのですが。
 池田 仏弟子たちが使っていた「自分の言葉」が、バラモン出身の者の目から「仏の言葉を汚している」と見えたことは、「仏の言葉」がエリートよりよりも民衆に広まっていた事実を裏づけるものとも考えられますね。
  そうです。そのとおりです。

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