Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

東洋の復興と英知の回復  

「内なる世界 インドと日本」カラン・シン(池田大作全集第109巻)

前後
2  カラン・シン この対談のなかで繰り返し述べてきましたが、たしかに人類は今、かつてない最大の挑戦を受けております。世界の諸地域での小規模の紛争はさておいて、核兵器の拡散や長期化する米ソの対立は人類の未来そのもの、いやそれどころか地球の全生物に対して深刻な脅威をあたえております。この脅威の本来の性格からいって、インド、中国・日本を含む東洋の国々は否応なしに同じ危険にさらされています。
 現代は、東洋の英知が人類の状況にふたたび創造的転回をあたえることのできる時でありますが、それを進めるうえで基本とすべき三つの主要な路線があります。
 第一に、核の拡散に対するアジア諸国の態度を明確にする必要があります。十分起こりうることと思うのですが、もしアジアにおいて核兵器競争が始まったならば、私たちはもはや核軍縮について西洋諸国に説教する立場ではなくなるでしょう。
 この問題については世論を糾合し、アジアの諸国民に最低限の生活を保障するという緊急課題が、軍事支出の新たな急増によって脇のほうに追いやられてしまうことのないようにしなければなりません。
 第二に、アジアのさまざまな共同体相互の間に問題が生じた場合は、アジア地域みずからのイニシアチブによって、それを平和裡に解決することをめざさなければなりません。このことはアジアの貧困改善に、大いに必要とされる資源の解放という点からもよいことであり、さらにまた、西洋諸国に対するアジアの立場を大きく強めることにもなるでしょう。
 第三に、アジアは、米ソの和解をもたらす手助けをするために、できればいくつかの西洋諸国と共同してイニシアチブを取っていく必要があります。最近の、中東アジアの六カ国がイニシアチブを取って開催された「南アジア諸国連合首脳会議」は、この方向に向けての一つの好ましい進展です。
 これら三つは、本質的にはそれにかかわる国家の任務ですが、アジアの諸国民が植民地時代に弱体化してしまった相互理解の絆をふたたび築くことも必要です。たとえば数世紀にわたる外国による支配のために、インド・日本の両国民はアメリカのことは知っていても、たがいの国のことはあまり知っていません。私たちが行ってきたこのような対話は、両国民の相互認識と相互理解に多少とも貢献するものと考えてよいでしょう。
 結局、この地球上のすべての人間のなかにこそ新しい意識の砦を築かなければなりません。私たちの対話のなかで明らかになったさまざまの理念が波及効果をもたらし、二人がともに信奉する新たなグローバリズム(世界主義)の構築に役立つことを願いつつ、この対話を終えたいと思います。

1
2