Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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アーリア人の宗教的発展  

「内なる世界 インドと日本」カラン・シン(池田大作全集第109巻)

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2  カラン・シン 地理とか気候とかの要因がアーリア人に大きく影響していったことは間違いないと思います。しかし、私の見解では、アーリア人の宗教が多神教から呪術信仰へと移行したというのは正しくないと思います。事実、先にも申し上げましたように、彼らの宗教はさまざまな神々に象徴される諸現象・諸力の背後に、それらを統合する存在のあることをなによりも強く認識しておりました。したがって、彼らの宗教を多神教と呼ぶことはまったくできないわけです。
 あなたが“呪術的信仰”と呼ばれたものは、おそらく、アーリア人が、当時インド原住民の間に栄えていたにちがいない多数の土着信仰から吸収したものに源をもっています。つまりアーリア人やインダス川流域住民のほかにも、どちらかというと原始的で、文化水準の低い多くの部族集団が住んでおり、これが何世紀かの間にアーリア文明に吸収されていったにちがいありません。
 彼らはさまざまな種類の災厄、たとえば天然痘のような悪性の疫病や、その他、当時、治療法の知られていなかった諸々の病気を避けようとして、多くの呪文やまじないを唱えたにちがいありません。『リグ・ヴェーダ』よりもずっと後代に編纂された『アタルヴァ・ヴェーダ』には、まじない文句が豊富に見られますが、これはたんなる偶然とはいえないことです。

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