Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第十九章 共生の哲学――意識の転換うな…  

「太平洋の旭日」パトリシオ・エイルウィン(池田大作全集第108巻)

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5  他者を思いやる思想的基盤の確立を
 エイルウィン ご指摘のとおり、文明の発展が自然から人間を遠ざけるにつれ、人間生活は本物を見失って人工的なものになってきました。
 私自身の個人的な経験から分かることは、自然との接触は、山や海から自宅の庭にいたるまで、私が生きていくうえで不可欠なものであり、私の肉体を勇気づけてくれるだけでなく、精神をも蘇生させてくれるということです。失っていた快活さや情熱を取り戻し、無力感を自信と楽観主義に変え、神を身近に感じるのです。
 池田 必要とされているのは、思想的基盤の確立だと考えます。技術や知識も大事ですが、それらを生かす人間の「知恵」と「精神性」が求められているのです。次の千年を展望し、これから続く世代のために、人類は共生の哲学を確立しなければなりません。
 “人間対自然”という課題では、人間社会のあり方自体が問われます。“人間対自然”は、“自己対他者”に通じます。他者の生存の権利を脅かし、欲望の奴隷になるような行為は、人間の内から外へ向けられたもので、自然環境に対しても同次元です。“内なる環境”が“外なる環境”の支配、収奪、破壊へと進むことを直視すると、人間自身の内面世界こそ問われるのであり、つまるところ他者の苦を同苦できるかどうかという問いが、一人一人に突きつけられるのです。     

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