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日蓮大聖人・池田大作

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第四章 テレビ時代を生きる子らへの願い…  

「子供の世界」アリベルト・A・リハーノフ(池田大作全集第107巻)

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4  文明の危機を警告する「生きる力」の衰弱
 リハーノフ 進歩はしばしば退化と堕してしまうことがあります。
 たとえば、モスクワでは、学校生徒のほぼ四人に三人が、標準体重よりもかなり下回っています。これは、食事の摂取量が足りないために起こったものです。
 また、九〇パーセントの子どもが何らかの病気にかかっています。
 これはすべて、国の改革が行われている時期に起こっていることなのです。いったいだれのための改革なんでしょうか。わかりません。わかっているのは、この改革が子どものためのものではないということです。
 池田 もしかすると、こうした子どもたちの「生きる力」の衰弱は、現代文明の危機を知らせる“坑道のカナリア”であると言えるかもしれません。
 子どもたちの生きる力を、どうつちかっていくか。たとえば、卓越した教育者であった牧口会長は、“半日学び、半日働く”「半日学校制度」を提唱しました。
 この学習生活を半日とすることは、創価教育学で説く合理的な教育方法によれば可能だというのが、牧口会長の主張でした。そして残りの半日、子どもたちが自主的に生産や社会活動に汗を流すのです。いわば、“学び、働く”ことによって、全人的な、生きる力の旺盛な成長発達を図ろうとされたのです。
 それゆえ、当時のいたずらに知識を詰め込むだけの、子ども不在の教育制度を厳しく批判し、それに起因する子どもたちの「心身の不均衡」「運動神経の萎縮」といった弊害は、現実社会に積極的に参加し、実地の経験を積むなかで解消できると訴えたのです。
 どこまでも、子どもたちが心身ともに健全に育ち、幸福に生きぬく力、希望の社会を切り開いていく力を育んでいく教育を、私どもはめざしていかなければなりません。
 リハーノフ 同感です。私も同じように警鐘を乱打し、教育のあるべき責任と使命を訴えていかなければならないと思っています。

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