Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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五 アショーカとスリランカ  

「宇宙と人間のロマンを語る」チャンドラー・ウィックラマシンゲ(池田大作全集第103…

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5  平和と人間愛が実現
 博士 今話されたことについては、私もまったく同じ意見です。アショーカとその統治に関する情報のほとんどは、四冊の本――(一)『阿育王伝』(アショーカ・アヴァダーナ)、(二)『島史』(ディーパヴァンサ)、(三)仏音の律蔵の註、(四)『大王統史』(マハーヴァンサ)――に収まっています。
 後の三つはスリランカの経典で、パーリ語の学者たちによって広く研究されています。アショーカの治世のことや統治の様子については、多くの詳細な知識が得られています。アショーカの王としての権力は絶大でしたが、その支配は仏教の〈法〉の慈悲の力を反映していたと思われます。アショーカの統治は、かつて広大なインド亜大陸で、種々の人種的・社会的集団が仏教の世界観によって統合された、一つの明確な実証なのです。この点は、先生がいみじくも指摘されたとおりです。
 また、著しい繁栄と卓越した彫刻作品、優れた文官行政に王の統治の特徴があったことも注目に値します。ここに仏教による平和と人間愛が実現しました。しかも、物質的繁栄を犠牲にすることなく達成されたのです。これがアショーカの治世に実現していたことであるとすれば、将来、同じような現象によって全世界が一つになりうるという希望があります。
 池田 アショーカが国王の立場で仏教の平和思想を具現化していった方向性とは、時代も環境も違い、また次元も異にしますが、いま私どもも仏法を基調とした平和・文化・教育の運動を、民衆の側から起こしています。これも、全人類にとっての確固たる平和勢力を民衆の大地に築いていきたいとの念願からです。

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