Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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四 地球生態系との共存  

「宇宙と人間のロマンを語る」チャンドラー・ウィックラマシンゲ(池田大作全集第103…

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4  人口爆発と途上国への援助
 池田 世界人口が地球の資源で支えうる限界に近づきつつあるということですが、博士はどのような見解をおもちですか。
 博士 世界の総人口は現在五十億を超えています。西暦二〇〇〇年までには六十億以上になると推定されます。現在の趨勢を見れば、世界人口は三十年ごとに倍増すると推測していいでしょう。ということは、二〇三〇年までには百二十億の大台を超えることになります。これは重要な数です。なぜなら、それはたぶん、地球が養うことのできる絶対的な限界に近い数だと思われるからです。
 地球の生物圏は本来、私たちの食物連鎖の出発点である藻類や植物が日光を利用することによって維持されています。百二十億の人間を適度の健康状態で生きつづけさせるだけでも大変なエネルギーを必要とします。ですから百二十億という数は、人類が存続できる絶対的な限界に近いものといっていいでしょう。もちろんこの計算は、資源が均等に分布していると想定したうえでのことです。
 だが、これは現実とはまったく違います。現実の世界では、世界人口のうち餓死寸前の人々の占める割合が、西暦二〇三〇年には現在よりもさらに増えるだろうと予想されます。このように見通しはまことに暗澹たるものです。
 池田 かつてローマ・クラブの創始者アウレリオ・ペッチェイ博士は、人口問題には深く浸透した産児の習慣、人間としての権利と義務の複雑な絡みあい等の難問がつきまとっていることを示されたうえで、次のように述べていました。
 「これらの複雑な要請があるからといって、現今の世界的な難局の中で人々が自ら採用しあるいは支持している、啓発的で効果的な家族計画や人口政策の必要性が排除されるわけではありません。そしてまた、これらの要請を口実に、どんな種も自らの生存が脅かされうるところまで増殖することはできないという、絶対的な生命の法則が忽せにされてもなりません」(アウレリオ・ペッチェイ、池田大作『二十一世紀への警鐘』読売新聞社)
 私も全面的に同意しました。私は、あらゆる人間の行動は生命の尊厳に立脚しなければならないという理念に立っておりますが、受胎前に出産をコントロールする家族計画は、生命の尊厳に背くものではないと思っています。
 博士 家族計画によって人口を抑制するために、もっと効果的な方策を考案し、全世界的な規模で、おそらくは強制的に実行しなければならないでしょう。
 世界の人口を制限するためには、すべての人の一致協力が必要です。それ以外に考えられる施策はみな、はなはだおぞましいものばかりです。もちろん将来、流行病(たとえばエイズ)によって人口が抑制される可能性もありますが、それは歓迎すべきことではありません。
 もう一つ学界等で論じられている可能性があります。それは、私たちは思い切って宇宙に進出し、そこに自給自足のスペースコロニーをつくる以外にないだろうということです。私に言わせれば、これはたんなる空理空論であり、厳しい現実との対決から逃避しているにすぎません。
 池田 さらに私は、人口爆発がつづいている地域が発展途上国であることを考えると、これらの諸国の貧困の解決のために先進諸国の援助が急務だと思います。
 発展途上国における貧困が労働力確保のために子供を必要とし、多産多死の状況が貧困を加速するという悪循環を断ち切らなければなりません。これらの諸国が豊かになるための援助――それには財政・技術・教育等が含まれます――が、結局は人口爆発をしずめる有効な手だてとなるはずです。

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