Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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七 二十世紀の技術の成果について  

「宇宙と人間のロマンを語る」チャンドラー・ウィックラマシンゲ(池田大作全集第103…

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2  知性輝くネットワークの拡大
 池田 こうした技術革新がどこまで世界を変えていくと博士はみていますか。
 博士 通信の動向がいつかは行き着く当然の結果として、人間社会は知性をもった一つの巨大な生き物のように機能し始めるにちがいないと思っております。
 個々の人間と下等動物を区別する最も重要な特性は、結局のところ、脳と神経系にあるのではないでしょうか。これによって人体の各構成部分が相互にすばらしく効率的な交信を行い、迅速に情報処理をしているのです。それと同様に、電子技術によって相互に連絡のとれた人間社会とそうでない社会とでは、前者のほうが比較にならないほど効率的で強力なものになると考えてよいでしょう。
 池田 そうしますと、今後、ますます各個人が対等の立場で、そのような緊密で有機的な社会に参加していけるように保証していくことが、重要になってくると思われます。個人個人が必要な情報をもち、それを急激に変化する社会の中で共有できることが大事です。一人ひとりが大事なのです。
 博士 こうしたさまざまな進展は、将来、必ずやいっせいに開花するにちがいありません。それもおそらく比較的近い将来のことでしょう。
 これについて思いだすのは、アメリカの小説家ナサニエル・ホーソーンの小説『七破風の屋敷』の中の一節です。これは、前世紀、一八五一年に書かれたものですが、次のように記されています。
 「電気の力によって、物質界が、あっという瞬間に数千マイルにわたって震動するひとつの偉大な神経となったということは、事実でしょうか(中略)いや、むしろ、このまるい地球そのものが、巨大な頭、知性に満ちあふれた頭脳にほかなりません!」(大橋健三郎訳、『世界文学大系』25に所収筑摩書房)
 池田 一八五一年といえば、まだ、電磁場の基本法則であるマクスウェルの方程式が見つかる十年も前ですね。そして、ハインリッヒ・ヘルツが電波の存在を実証し、電波を送ることによって、数千マイルにわたって電気の力を伝え、その力で物質を振動させることができたのは、はるかに後のことです。このようなときに将来の地球の姿を見ている作家の眼力には驚きます。
 今や地球上には情報のネットワークが張りめぐらされ、まさに地球そのものが複雑多岐で高度の神経系を備えた生き物のように活動しています。やがて来たるべき世紀には、この惑星から宇宙空間へと、知性に輝くネットワークを広げていくことでしょう。
 博士 私は、二十一世紀がどのようなすばらしい通信技術を提供して、どのような世界が現出するか、胸をわくわくさせて待っております。

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