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日蓮大聖人・池田大作

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パラグアイ・国立イタプア大学「名誉博士… 学べ! 鍛えよ! 君には無限の可能性が

2005.4.29 スピーチ(2005.4〜)(池田大作全集第98巻)

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2  学生部、未来部の皆さんは、親孝行の人であってください。
 今はまだできないけれども、いつかは必ず偉くなって、お父さん、お母さんに楽をさせてあげるんだ。立派になって喜んでもらうんだ――そう決意できる人は強い。親孝行をしようという心が、自分自身を成長させるのです。
 また皆さんは、ご両親に感謝の言葉を伝えていける人であってほしい。心で思っていても、それだけでは伝わらないものです。だから、勇気を出して、劇を演じるようなつもりで、心の思いを言葉にしていくのです。
 ″きょうは、私が食事の用意をしますから、ゆっくり休んでいてください。いつもありがとうございます″″しっかり勉強していますから、心配しないでください。将来、必ず力をつけて、世界中、旅行に連れて行ってあげますから″等々――なんでもいいのです。
 お父さん、お母さんにとって、皆さんの真心の言葉が、どれほどうれしいか。また、皆さんも、どれほど気持ちがすっきりするか。どうか、聡明で朗らかな家庭をつくっていける諸君であってください。
3  戦う青年がいちばん美しい!
 南米の心臓部パラグアイ共和国の尊き先人たちは、こう語りました。
 「勇敢なる人間は、戦いによってみずからを高める」(Miguel Angek pangrazio, Arriero Porte, Editorial El Lector)
 そのとおりです。青春も戦いです。精神の闘争のない青年は、伸びない。勝てない。
 確固たる哲学をもって、正義のために、人生のために、勇敢に、真剣に戦う青年ほど、美しいものはありません。
 創価大学をはじめ、百三十大学の学生部の皆さん! 南米からの優秀な留学生の皆さん! そして、未来部の皆さん! 学生部・未来部の合同大会の開催、本当におめでとう!
 また、関西創価学園の皆さんも、遠くから、ご苦労さまです。
 さらに同時中継で結ばれた八王子市の東京牧口記念会館には、大好きな滋賀県の同志が集ってくださっています。本当に、ようこそ! ありがとう!
 本日の集いを記念して、参加者全員のお名前を、永久に学会本部に保管していくことを提案したい。そして三十年後、一人一人が、どうなっているか。どれだけ立派に成長しているか――それを目標として、また楽しみとして、大いなる未来へ、希望をもって、ともどもに出発してまいりたいと思いますが、いかがですか!(拍手)
 未来は、すべて皆さんの胸中にある。地球の未来も、世界の行方も、だれかが、どこかで決めるだろうと思つてはいけない。全部、諸君によって決まるのです。諸君の手にかかっているのです。
 私は、皆さんの力で、もう一度、世界中から信頼され、敬愛される日本をつくっていってもらいたい。また、あらゆる差別や紛争のない「平和と共生の二十一世紀」を築いていってもらいたい。
 そのためにも、今は、自分の土台をつくる時です。徹して学ぶ時です。また、もっとも身近な家族を大切にし、友人をたくさんつくっていく時です。そう心に決めて、挑戦また挑戦の青春を飾ってください。
4  「逆境に挑む力が人間を飛翔させる」
 私は、幾多の世界の指導者と、お会いしてきました。なかでも、青年を心から愛する真実の大教育者と語りあうことこそ、何ものにも代えがたい喜びです。
 きょうは、はるばる遠くから、尊敬してやまないゴンサレス総長、アグエロ副総長をお迎えできました。懐かしきパラグアイの同志もお越しくださいました。私たちは熱烈に歓迎申し上げたい。(拍手)
 貴・国立イタプア大学は、二十一世紀を「人間主義の時代」と意義づけ、その大建設へ、先頭に立って邁進してこられました。私は、貴大学の崇高なる教育理念を深く銘記しながら、「名誉博士」の栄誉を謹んで拝受させていただきました。厚く厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 貴大学とともに、「人間主義の時代」を切り開いてこられた″偉大なる魂″こそ、貴国が誇る大文豪のロア=バストス先生であります。
 先生は、この四月二十六日、八十七歳で逝去されました。私とトインビー博士との対談集も読んでくださり、深い理解と共鳴を示してくださっていました。私も心から追善をさせていただいております。
 ロア=パストス先生は、かつての軍事政権と、ペンの力で勇猛に戦いぬいた言論の大英雄です。権力の弾圧によって、じつに四十年以上という長きにわたり、国外への亡命を余儀なくされました。どれほどの苦労を味わわれたか。しかし信念を貫いた。偉大な人生です。
 こういう先達がいることを、皆さんは知ってください。
 もっとも善なる人がもっとも妬まれ、もっともおとしいれられる。これが、人間の世界の方程式であり、残酷な世界のあり方かもしれない。しかし、人生の勝利、信念の勝利のために、正義の魂は、絶対に屈しない。
 ロア=パストス先生は、巌窟王のごとく語られた。
 「鳥が大気の抵抗に逆らって飛び立つように、逆境に挑む力とそが、人間を飛翔させるのだ」(Madama Sui, Grupo Ilhsa S. A.)
 至言です。人生観の極致の言葉です。すべてに通じる根本の哲学です。
 ロア=バストス先生は、迫害を耐えぬき、世界の文学史に不滅の「人間讃歌」を、厳然と残していかれた。パラグアイではあ、その偉大な生涯に、国をあげて哀悼が捧げられています。政府は、三日間、喪に服すことを発表したと、うかがいました。
5  若さは無限の宝
 私が戸田城聖先生に初めてお会いしたのは、十九歳のときでした。きょう、参加された皆さんと同じ年代のころです。
 この中に、十九歳の方はいますか?(元気な返事とともに、会場から何人かの手があがった)
 どうか、今の決意を、一生涯、忘れないでください。
 皆さんは、若い。若いことは、本当にすばらしい。皆さんの目には、壇上に座っている先輩が立派そうに見えるかもしれないが、じつは先輩たちのほうこそ、皆さんの「若さ」を、心の底から、うらやましく思っているのです。皆さんの、心の宝は無限です。本当にすごい未来を持っている。皆さんの未来は、「財宝」であり、「勝利」であり、「幸福」に輝いているのです。
 私が戸田先生と出会ってから、今年で五十八年。さらに、創価学会の第三代会長に就任してからは、満四十五年。
 仏法で説かれる「悪口罵詈」「猶多怨嫉」の難を受けきりながら、すべて勝ち越えることができました。そして、世界に、人間主義の平和と文化と教育の連帯を築き上げてきました。
 これらは、同志の皆さんのおかげであり、私の最大の誇りです。(拍手)
 今、この誇り高き使命と信念の道を、すべて託しゆく後継者こそ、学生部の皆さんであり、未来部の皆さんである。きょうは、このことを、高らかに宣言しておきます!
6  忘れもしません。五十年以上前、戸田先生が第二代会長に就任してまもなく、男子青年部の結成式が行われたときのことです。(一九五一年〈昭和二十六年〉七月十一日)
 その日は、強い雨が降っていました。場所は、西神田にあった、小さな学会本部の一室。その部屋に、約百八十人の青年部員が集いました。
 祝辞に立たれた戸田先生は、開口一番、こう言われた。
 「今日、ここに集まられた諸君のなかから、必ずや次の創価学会会長が現れるであろう。必ずや、このなかにおられることを信ずるのであります。その方に、私は深く最敬礼をしてお祝い申し上げたい」
 さらに戸田先生は、お話の最後でも、「今日は、この席から、次の会長たるべき方にど挨拶申し上げ、男子部隊の結成を心からお祝い申し上げる」と、深々と頭を下げられたのです。
 多くの参加者は、″戸田先生は、いったい何を言っているのだろう″と思いました。その真意がわかる者など、ほとんどいませんでした。
 当時は、牧口初代会長の門下生をはじめ、多くの年配の幹部もおりました。しかし、戸田先生は、あえて青年部の会合で、「この中から次の会長が現れる」と、宣言されたのです。
 そして、私ただ一人が、戸田先生のお言葉を深い誓いの心で受け止め、生命に刻みつける思いで聞いていたのです。
7  悩みに負けるな! 努力の人が偉大に
 皆さんは今、さまざまな悩みがあるのは当然だろう。しかし、悩みのない人などいません。生きているかぎり、必ず悩みはあるものです。悩みは、貴重な建設の力であり、勝利の原動力です。
 偉大な人間になればなるほど、悩みも大きい。世界をどうしていくのか、人類をどう幸福にしていくか――偉大な悩みは、偉大な人間の条件です。
 悩みがあるからこそ、強くなれる。悩みがあるからこそ、人間が大きくなる。真剣に悩むからこそ、脳も大いに刺激され、心も成長していくのです。皆さんは日々の活動のなかで、人々のために悩み、祈り、行動している。なんと、尊いことであろうか。
 私が語りあった、アメリカの世界的な医学者は、「脳は使えば発達するし使わなければ衰える」(ルネ・デュポス『人間であるために』野島徳吉・遠藤三喜子訳、紀伊国屋書店)と、明快に断言しております。(=デュボス博士とSGI会長は、一九七三年十一月に会見している)
 なかんずく、人のため、法のため、社会のため、今、苦しみ、もがきながら、努力しぬいたことが、どれほど大きな力となることか。結局、自分も得をするのです。
 仏法では「未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」と説きます。未来を知りたいのならば、現在の自分自身の人生のあり方、人間のあり方を見よということです。
 ところで、この中に、お母さんのいない人はいますか?(何人かの手があがる)
 すべての方にお題目を送ります。
 つらいこともあるでしょうが、朗らかであってください。自分も、きょうだいも、ほかの家族も、朗らかに生きぬくことです。それが聡明な生き方であり、その生き方を教えているのが仏法です。悲しい姿を見せてはいけない。「一人立つ」ことです。そして、「勝つ」ことです。
8  今から、ちょうど五十年前の出来事です。九歳の少年が、一家七人で、日本から新天地のパラグアイへ移住しました。神戸を船でたって、大波に揺られながら、約八十日問。移住地に到着したのは、一九五五年の四月のことでありました。
 ところが当時は、まだ開拓が進んでおらず、電気や水道もない。家や道路も、ありませんでした。しかし、もう後には戻れない。この地で生きぬく以外にない――壮絶なる開拓の戦いが始まりました。
 お父さんが大けがをするなどの不幸も続き、言葉に尽くせぬような苦労をした。″もうだめだ″と、あきらめそうになったこともありました。しかし、少年はくじけませんでした。くじける人間は、意気地なしです。歯を食いしばって、お父さんやお母さんを支え、励ましていきました。
 子どもが親を励ます――もっとも美しい姿です。
 さらに、幼い弟や妹たちを、いろんな工夫をして、護りに護りぬきました。その一方で、″自分はまだ若い! 勉強だ!″と、夜学に通いながら、学問を身につけた。
 さらに、″「仏法即社会」だ。強く生きるために、正しき信仰の道を、真面目に歩み通していこう!″と行動した。
 そうやって、第二の祖国となったパラグアイ共和国に貢献し、深く、広く信頼される存在となっていきました。この五十年前の少年こそ、きょう、ここに列席されている、パラグアイSGIの理事長なのであります! 理事長に、大きな賞讃と感謝の拍手を贈りたい。(拍手)
9  大誠実を貫いた人が必ず勝つ
 ともあれ、誠実ほど強いものはない。今は、ずる賢い人間が多くなってしまった。
 しかし、結局は誠実にかなわない。たとえひとたびは光が当たらなくなったように見えても、最後は誠実が勝つ。地道に、粘り強く、大誠実を貫き通した人が、必ず勝つのです。
 私は、これまで大勢の人生行路を見てきた。世界の多くの指導者とも語りあってきました。その経験からも、そう断言できるのです。
 ロアリパストス先生も、喝破しておられる。
 「どんな″ずるさ″や″ごまかし″をもっても、裏切りや不誠実な行為を隠し通すことはできない」(Contravida, Alfaguara)
 そのとおりです。残念ながら、どこの世界でも、卑劣な裏切り者や、不誠実な恩知らずがいるものです。
 そうしたずる賢い連中に、決してだまされてはいけない。また、負けてはならない。
 青年ならば、透徹した知性の眼で、悪を厳正に見破っていくことです。
 青年ならば、烈々たる執念の闘魂で、悪を徹底して打ち破っていくことです。
 「痛快な破邪顕正の言論こそ、われらの特権である」――皆さんは、そう自負してください。頼みます!
 貴イタプア大学の近くを流れる大河パラナ川には、世界最大の水力発電所があります。琵琶湖の二倍の面積を持つ巨大なダムには、二九〇億トンもの膨大な水が蓄えられている。じつに一二六〇万キロワットという世界一の大発電を、堂々と成し遂げているのです。
 きょう集まった若き皆さん方も、学びに学び、鍛えに鍛えて、満々たる英知と実力を蓄えてください。社会に希望の光彩を放ってください。
10  明日、四月三十日は何の日か。パラグアイでは「教育者の日」とされています。
 偉大な教育者である貴大学の先生方への最大の尊敬をとめ、教師を讃える貴国の詩の一節を朗読させていただきたい。
 「善と正義の勝利を、教師は心から願う」
 「(=教師は)理性と良識を盾とし、真実を剣として、高邁な使命を果たしゆくのだ」(Marceline Perez Martinez, ″Maestro″, Carlos R.Centurion, Historia de las letras paraguayas 2, Editorial Asuncion)
 ここに教育者の理想の姿が謳われていると思うが、どうでしょうか!
 「パラグアイ」には、「大河の集まる国」との意義があると言われます。貴国の大河のごとく、私は、いちだんと大きな人材の流れをつくりたい。
 大切なのは「人材」です。財産ではない。名声でもない。未来を築く力は「人材」しかないのです。皆さんは、人類の「善と正義の勝利」の大海原へ、どうかたゆみなく、自分らしく、走りぬいてください。
 ともかく動くことだ。学ぶことだ。語ることだ。そして戦って、断固として一人一人が「勝利博士」「幸福博士」「大勝利の哲人博士」となってほしい。
 そのことを誓いあって、私の御礼のスピーチを終わります。ありがとう!
 (創価国際友好会館)

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