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日蓮大聖人・池田大作

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ブラジル婦人部・東北・北陸・信越合同研… 闘争のなかで自分を磨け

2004.8.21 スピーチ(2004.1〜)(池田大作全集第96巻)

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1  人生は挑戦!困難は成長のチャンス
 有意義な夏季研修会の開催、本当にご苦労さまです。
 信越の皆さまには、たいへんにお世話になっています。
 陰に陽に研修を支えてくださる皆さま方のご尽力に、心から感謝申し上げたい。
 また東北、北陸の皆さま方も、ご苦労さま。
 新出発を祝して、いくつか句を贈りたい。
 〈東北の友へ〉
  人材の
    大東北は
      勝利山
  勝ちまくれ
    破邪顕正の
      青葉城
  
 〈北陸の友へ〉
  北陸の
    世紀 築かむ
      師弟山
  常楽の
    功徳と勝利の
      故郷城
2  ブラジル婦人部の皆さま方も、はるばると本当に、よく来てくださった。お会いできて、うれしいです。皆さん、たいへんに懐かしい方々ばかりだ。
 あらゆる困難を毅然と乗り越えて、日蓮大聖人の御遺命である世界広宣流布の栄光の歴史を、見事に築いてくださった皆さん方である。
 私は、永遠に皆さんのことを忘れない。ともに戦った同志を断じて忘れない。
 私と妻は、皆さま方のご健康とご長寿を、そしてまた、ご一家の無窮の繁栄を、毎朝毎晩、真剣に祈っている。これからも必死に祈ってまいる決心である。
 「道のとをきに心ざしのあらわるるにや
 ――日蓮大聖人は、仏法のため、遠く歩みを運んできた女性門下の信心の「志の強さ」を、こうたたえておられる。
 広宣流布のために、労苦を惜しまず、勇み動かれる皆さま方の功徳は、無量永遠である。
 無数の諸天善神が、身に影の添うがごとく、皆さま方に寄り添い、たたえにたたえ、護りに護りゆくことは、経文に照らし、御聖訓に照らして、間違いない。
 どうか、お帰りになられたら、ご家族の皆さま、ブラジルの愛する同志の皆さま方に、くれぐれもよろしくお伝えいただきたい。遠方から、本当にご苦労さま。ありがとう!
3  吉川英治「苦労のない青年は不幸だ」
 恩師の戸田先生は、いつも青年に、本を読め、名著を読めと勧められた。読まないと、厳しく言われた。低俗な雑誌などを読んでいると、烈火のごとく叱られたものである。
 そのなかで、『三国志』『宮本武蔵』などで知られる、作家の吉川英治氏の作品を夢中になって読んだ日々も懐かしい。
 その氏が、ある裕福な青年に、こう語ったことがある。
 「君は不幸だ。早くから美しいものを見過ぎ、美味しいものを食べ過ぎていると云う事はこんな不幸はない。喜びを喜びとして感じる感受性が薄れて行くと云う事は青年として気の毒な事だ」(復刻版・吉川英治全集月報「吉川英治とわたし」〈講談社〉のなかで岡副昭伍氏が紹介している)
 今も私の胸に焼きついて離れない言葉である。
 人生の土台を築く大切なときに、何もかも恵まれ、ちやほやされて、何ひとつ不自由がない。苦労がない。そういう人生は、ひとつも幸福ではない。いちばん不幸だ。偉大な人間が育つはずがないのである。
 苦難がないことが幸福なのではない。
 苦難に負けず、たとえ倒れても、断じて立ち上がり、乗り越え、勝ち越えていくところに、人生の真の幸福があり、喜びがある。
 人生は、戦いである。
 人生は、挑戦である。
 人生は、鍛錬である。
 困難を避けて、人生はない。いかなる試練に直面しようとも、「さあ戦おう!」「成長するチャンスだ!」と勇んで立ち向かっていく、「強い自分」をつくるのが日蓮大聖人の仏法である。
 この「戦う魂」を持った人が最後は勝つのだ。
4  陰で頑張る人を私はたたえたい!
 「忍耐は、歓喜へのカギなり」とは、ブラジルに伝わることわざである。
 皆さんは、みずから望んで仏法求道の研修会に参加された。
 世間では、多くの人が休暇を楽しんでいるときに、皆さんはあえて「鍛錬の道」「向上の道」を選ばれた。その心が尊い。
 御聖訓に仰せのとおり、広布に徹する皆さま方を、大聖人が抱きかかえて守ってくださることは間違いない。
 表舞台で華やかに活動している人よりも、だれも見ていないところで忍耐強く戦っている人をこそ、私はたたえたい。大切にしたい。それが私の変わらぬ心である。
 ブラジルのことわぎに、こうもある。
 「正義であれ! しからば強者とならん」と。
 私の人生は、ただ広宣流布のためにある。これからも、いやまして、強く、堂々と、世界を舞台に、広宣流布の総仕上げの指揮をとっていくつもりである。
 そしてまた、広宣流布に懸命に戦ってくださる同志のために、仏意仏勅の学会の永遠の発展のために、私は、これからも戦い、勝利する。
 それが、恩師から託された私の使命であり、根本中の根本の正義であるからだ。
5  会員のために!
 学会のリーダーは「会員のため」が第一である。どこまでも真心で会員に尽くしていくのが幹部の仕事である。
 限られた自身の時間のなかで、どれだけ広宣流布のことを思ったか。同志の幸福を祈ってあげることができたか。
 会員の幸福のためか。
 自分の功績のためか。
 この微妙な一念の違いが最後に大きな差となって表れる。それが信心の世界である。
 これまでも、学会にお世話になり、学会のおかげで偉くなりながら、増上慢になり、学会の大恩を忘れ、同志を裏切っていった人間がいた。その末路が、いかに哀れで悲惨なものか。皆さまがご承知のとおりである。
 「忘恩の輩で地獄は流れている」とは、ブラジルの峻厳な言葉である。
6  信仰とは永遠の希望
 信仰とは、永遠の希望の源泉である。
 わが胸中のあふれんばかりの希望を、
 皆を励まし、皆をほめたたえながら、
 自分の可能性を無限に花開かせていく力である。
 友に分け与えていくのが、信心のリーダーである。
 「ともに信心の大功徳を受けていきましょう!」「ともどもに御本尊のすばらしさを語っていきましょう!」と、心軽やかに進んでいっていただきたい。
 ブラジル文学アカデミーの会員で、文学者のホケッチ=ピントは言う。
 「希望は世界で最も価値ある宝である」
 尊き一生である。断じて、悔いを残してはならない。そして、健康で生き生きと、「希望の人生」「正義の人生」「勝利の人生」を、仲良く朗らかに生きぬいていただきたい。
7  ブラジルSGIは世界の模範!
 ブラジル広宣流布の前進は、世界の模範である。
 国家も、社会も、地域も、わがブラジルSGIの友を信頼し、賞讃し、喝采している。
 (=SGI会長の入信五十七周年となる八月二十四日〈現地時間〉にも、ブラジルの南マットグロッソ州からSGI会長に「名誉州民」の称号が贈られ、授与式が議会で盛大に行われた。さらに三十日〈同〉には、ブラジルのゴイアニア市からも、「名誉市民」の称号が贈られた)
 御聖訓に仰せのとおりの「三障四魔」「三類の強敵」との戦いを、勇敢なるブラジルの同志は、すべて勝ち越えてこられた。
 そして、「最も幸福な人とは、最も多くの人に幸福をもたらす人」との貴国の言葉のごとく、幸福の花園を大きく広げておられる。
 その一切の勝利の原動力こそ、きょう、ここにおられる代表の方々をはじめ、ブラジル婦人部の皆さま方の強盛なる祈りであり、信心である。
 「ブラジル婦人部、万歳!」「ブラジル婦人部、ピケ! ピケ! ピケ!」と声高く叫び、讃嘆したい。
8  妙法に生きぬけば黄金の幸福境涯に
 世界にも、また日本にも、ともに広宣流布に戦ってくださった功労の方々が数多くおられる。
 今朝も、妻とともに、追善のお題目を送らせていただいた。
 生命は、永遠である。妙法を持ち、不退の信心を貫いていけば、三世永遠に渡って、自由自在の境涯を楽しんでいける。ゆえに、死も悲しむべきことではない。
 仏法においては、「生も歓喜」「死も歓喜」である。
 このことは、ハーバード大学での講演でも語らせていただいた。
 大聖人は御書に仰せである。
 「退転することなく仏道修行をして、最後の臨終の時を待ってごらんなさい。妙覚の山に走り登って、目を見開いて四方を見るならば、なんとすばらしいことであろうか、法界は寂光土で、瑠璃をもって地面とし、金の縄をもって八つの道の境界をつくり、天より四種の花が降ってきて、空に音楽が聞こえてくる。
 諸仏菩薩は常楽我浄の風にそよめき、心から楽しんでおられる。
 われらもその数のなかに連なって、遊戯し楽しむべきことは、もう間近である」(御書1386㌻、通解)
 信心を悔いなくやりきって亡くなれば、比類なき高き山を登り、頂上に立って、四方を見渡すような晴ればれとした境涯となる。
 周囲は黄金に輝く。
 自分も黄金に輝く。
 空からは四種類の花が降り、音楽が聞こえ、常楽我浄の風にのって、自由に遊戯し、自在に楽しめる「大歓喜の死」となる――こう御本仏がお約束なのである。
 さらに、たとえ亡くなっても、また自分が生まれたいところに自由に生まれることができる。妙法の「歓喜の世界」に生まれることができるのである。
 仏法の生死観は、あまりにも深い。
9  大宇宙に唱題の音声が響き渡る
 また、私たちが南無妙法蓮華経と唱える功徳は、たとえば相手がどこにいても電子メールが通じるように、亡くなった人にも通じる。すごい題目であり、御本尊なのである。
 大聖人は「これは、決して日蓮が勝手に作り出したものではなく、(法華経で涌現した)多宝塔の中の釈尊や、十方分身の諸仏を、あたかも版木で摺るように、そのまま写し顕したのが、この御本尊である」(御書1243㌻、通解)と仰せである。
 つまり法華経の虚空会の儀式――大宇宙を舞台に、釈尊とそのもとに集ったあらゆる仏の姿を、そのまま書き顕されたのが、御本尊なのである。
 そして、その御本尊も自分自身の胸中にある。
 (「此の御本尊全く余所に求る事なかれ・只我れ等衆生の法華経を持ちて南無妙法蓮華経と唱うる胸中の肉団におはしますなり」とある)
 宇宙の本体も「南無妙法蓮華経」。
 私たちの胸中にも「南無妙法蓮華経」。
 そして、御本尊も「南無妙法蓮華経」の当体である。
 私たちが御本尊に南無妙法蓮華経と唱えるならば、わが生命が大宇宙の根本のリズムと合致していく。題目の大音声は、大宇宙に響き渡り、あらゆる諸仏諸天が動いて、私たちを護ってくださるのである。
 私どもは、この偉大なる仏法を受持した誇りも高く、勇気と確信に燃えて対話を広げてまいりたい。
10  団結は力 信頼は宝
 ブラジルの有名な格言に「結束は力である」とある。
 今、首都圏全体、関西と中部、そして東北と信越と北陸も、結束して広宣流布の連合を形成している。
 日本の幕末では「薩長連合」(薩摩藩と長州藩の同盟)が時代を大きく動かしていったが、連合することによって、「1たす1」ではなく、何倍もの力を発揮できる場合がある。
 このほど、「新潟・会津サミット」(新潟と福島)、「新潟・鶴岡サミット」(新潟と山形)、「新潟・長井サミット」(新潟と山形)、「アルプス・サミット」(新潟と長野と富山)が新たに発足すると、うかがった。おめでとう!
11  広大な天地で戦う同志
 東北も、信越も、北陸も、広大な天地で、冬は雪深いなか、けなげに戦っておられる。
 きょう、ここに参加されているが、総新潟総合婦人部長から、豪雪地帯で戦う苦労をうかがった。
 彼女は女子部時代、新潟県の女子部長として、日本一の拡大を成し遂げたことがある。広布のため、学会のために、いつも大きな心で戦いぬいてこられた。
 昭和五十四年(一九七九年)、豪雪地帯として有名な県内の長岡市に嫁ぎ、婦人部としての活動を開始された。
 長岡は、昭和三十八年(一九六三年)の「三八豪雪」のさいに、記録的な雪の被害を受けた地域の一つである。このとき、大雪で列車に閉じこめられた同志を救援した長岡支部の友の活躍は、以前、ご紹介させていただいた。(小説『新。人間革命』第七巻「操舵」の章など)
 彼女が結婚した当時は、とくに雪の多い年が続き、冬は、毎日が雪との戦いであったという。朝起きて、玄関の戸を開けると、まず目の前の「雪の璧」をよじ登り、外に出て、雪かきをすることから一日が始まった。
 環境も厳しかつたが、当時は学会に対する無認識の偏見も強かった。
 そうしたなか、皆で、どうすれば広宣流布を進められるか悩み、真剣に祈った。
 その結果、決めたことは、地域のために、まずみずからが身を粉にして働くということであった。
 冬は朝いちばんに起きると、外に出て、自分の家の周りはそこそこに、除雪車が大きな通りの脇に残していった雪をどけて、横道から来る車が通れるようにした。さらに、子どもたちが学校に通えるように、歩道の雪かきを率先して行った。
 また、積極的にあいさつを交わしあう″声かけ運動″を広げ、心と心のふれあう機会を増やしていった。そして、地域に住む独り暮らしの方や身体の弱い方に食事を差し入れたり、病院に連れて行ってさしあげたりもした。
 そうした姿に接し、多くの人たちが心を開いていった。自然のうちに、仲の良い近隣のお付き合いが深まっていったのである。
 現在、彼女は大きな信頼を寄せられ、昨年三月には、初めて地域に設けられた、防災会の婦人会長になった。
 当初、毎日が多忙なため、かえって迷惑をかけてはいけないと、二度もお断りしたが、「創価学会の活動が忙しいのはわかっています。しかし、だからこそ受けていただいて、後輩の育成をしてもらえないでしょうか」と請われて、引き受けたそうである。
 厳しい環境を嘆くのではなく、友情を結ぶチャンスに変えていく。「困っている人のために!」と、苦労を惜しまず地域に尽くしゆく真心が、周囲に信頼を広げていくのである。信頼こそ、人生の「宝」である。
 新潟では、歴代の女子部長をはじめ、多くの女子部が、そのまま婦人部の中核として活躍されている。
 また、新潟の婦人部は、後輩の面倒見がいい。女子部の結婚などについても、壮年・婦人が親身になって相談に乗ってあげるそうである。皆、新潟が大好きで、新潟広布に誇りをもって取り組んでいる。これが新潟の良き伝統である。
12  友情は、時と距離を超えて
 なお、彼女を長年にわたって見守り、励ましてこられた、かつて新潟担当の女子部主任部長だった先輩の方がおられる。現在、東京・創価中学校の教員(指導参事)としても活躍されている。
 その先輩は、彼女が新潟女子部長だったころ、東京から何度も足を運んでは、真心の励ましを続けた。そして、一緒に新潟女子部の家を一軒一軒訪問し、対話と激励を重ねていった。
 先輩の方は今でも、新潟婦人部の活躍が「聖教新聞」に載ると、すぐに「読みましたよ」と、よく電話をくれるそうである。彼女は、「その温かさに、いつも励まされてきました」と、しみじみと語っておられる。
 このうるわしい友情の絆についてうかがった私は、先輩の方にこう伝言した。
 「女子部時代、新潟に何度も通っていたこと、新潟の同志から、うかがいました。ご苦労さま! 本当にありがとう」
 ブラジル文学アカデミー会員だった、文豪アウストレジェジロの次の言葉が、私は好きである。
 「友情は人間の本能である。友人の真心の励ましは闘争心を与え、困難と悲嘆を克服する活力を与える。また、思想・学問・信仰の推進力にもなる。思いやりと友情は、人間として最も敬愛すべきものの一つである」(Dicionario de Pensamentos, edited by Folco Masucci, Edicoes Leia)
 仏法では、同生天・同名天という倶生神(人が生まれるときに倶に生ずるとされる神)が、その人の行動を「すこしも・おとさず」天に報告すると説かれている。
 広宣流布のために尽くした行動は、どんな些細なことでも、たとえ目立たなくても、必ず明らかな果報としてあらわれる。
 それはやがて、大勢の人々から深い感謝と尊敬の念をこめて語られ、たたえられていくのである。
13  ブラジルのことわざに「真実は必ずあらわれる」とあるが、まったくそのとおりである。
 どうか皆さまは、名誉と幸福の一生を送っていただきたい。
 そのためには、広布の尊い使命に、断固として生きぬくことだ。またリーダーは、学会員の幸福のために尽くしぬくことだ。
 「健康第一」の前進をお願いしたい。
 健康は「智慧」である。休むべきときは、しっかり休む。無理をして夜遅くまで起きていない。
 食べすぎを慎む。そうしたことをおろそかにして、健康を害するのは愚かである。
 さらにリーダーは、皆の健康にも細心の注意を払っていただきたい。風邪をひかないように、無理をさせないようにと、賢明な指揮をお願いしたい。
 健康を維持することは、飛行機でいえば「安定飛行」といえる。
 広宣流布の目的地、人生の目的地に達するために、智慧を発揮し、正しい生活を組み立て、一日一日を価値的に送っていただきたい。
14  勝利へ準備を!
 最後にふたたびブラジルの英知の言葉を贈りたい。
 文豪アウストレジェジロは言った。
 「いついつも″勝利″を念頭に置きたまえ。数々の創意工夫は、″勝利″へ準備を整える″行動″である。″思考″と″行動″こそ汝の方針である」(前掲 Dicionario de Pensamentos)
 また、ブラジルの言論王で、私がともに対談集を発刊したブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁は、若者たちに、こう呼びかけた。
 「青年は『目標』を立てなさい。『大いなる理想』をもちなさい。『正しい哲学』を人生の土台にしなさい。そして『偉大な師匠』をもちなさい」
 「今の困難に動揺させられてはならない。自分の理想を邪魔しようとするものに対しては、一歩も退いてはならない」(「聖教新聞」一九九三年八月二十三日付)
 私どもは、いつまでも青年の心で、どんな困難にも退くことなく前進したい。
 広布に進む皆さまに幸福あれ! 栄光あれ!
 尊い使命をいだきながら、一生涯を勝ち抜いてください。お元気で!
 (長野研修道場)

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