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日蓮大聖人・池田大作

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女子部・教育本部・学術部合同研修会 わが心に永遠の「幸福城」を!

2004.8.3 スピーチ(2004.1〜)(池田大作全集第96巻)

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1  トルストイ「幸福は、己れ自ら作るもの」
 遠いところ、また暑いなか、本当にご苦労さま!
 新たな時代の到来である。次の五十年へ、堂々たる人材の大山脈を築きたい。
 きょうは女子部の代表が参加している。
 創価学会の未来は皆さんのなかにある。二十一世紀をつくる皆さんのために、世界の英知の言葉を紹介しつつ、懇談的にスピーチしたい。
2  古代ギリシャの詩人エウリピデスは、戯曲で、登場人物にこう語らせている。
 「豪奢な富も/黄金にあふれる館も、/青春と取り替えはせぬ。/青春は、富める時も貧しい時も/この上なく美しい」(『ヘーラクレース』内田次信訳、『ギリシャ悲劇全集』6所収、岩波書店)
 青春ほど尊いものはない。青春の輝きに勝る財宝はない。
 だからこそ、この尊き青春時代を悔いなく生きぬき、「勝利の人生」の土台を厳然と築くことだ。わが心に、永遠の「幸福の城」を構築することだ。
 幸福は自分の「心」で決まる。「他人」が決めるのではない。「他人との比較」で決まるものでもない。
 ロシアの文豪トルストイも述べている。
 「幸福は、己れ自ら作るものであって、それ以外の幸福はない」(『宗教論』、『トルストイ全集』18、深見尚行訳、岩波書店)
 人によく見られようと、見栄を張っても、そこに真の幸福はない。虚栄は″幸福そうに見える魔物″である。幸福は自分がつくるしかない。自分をつくる根本は信心しかない。信心でわが心を磨き、崩れざる幸福の大道を歩みぬいていただきたい。
3  トルストイは、こうも記している。
 「貴方は訊ねる、『人生の目的如何、何のために人間は生くるや、換言すれば、何のために私は生きて居るか?』と」「宗教、真実の宗教は、この問題に対する解答に外ならないのである」(同前)
 何のために生きるのか?――幸福になるためである。自他ともの幸福の実現、すなわち広宣流布が私たちの信仰と人生の目的である。
 どんなに立派に見える学者でも、人生の根本問題に答えられる人は少ない。しかし私たちは、生命の法則を解き明かした最高峰の哲学を持ち、実践している。″人生の大学者″との誇りをもって、この幸福の大法を、堂々と語っていけばよいのである。
 ドイツの詩人シラーの戯曲に「信仰がないところでは、万事が不安定です」(『ヴァレンシュタイン』鼓常良訳、岩波文庫)との言葉がある。
 いちばん大切なのは、正しい信仰だ。正しい信仰と強い信心があれば、どんな困難も乗り越えていける。確固たる人生を築いていける。反対に、正しい信仰を知ろうともせずに、批判ばかりする人もいる。それでは、深い意義のある人生は生きられない。
 また、フランスの思想家モンテーニュは、『エセー』に、こうつづっている。
 「勇気は、どんな嵐が吹こうと、道を途中でやめたり、歩みをとめたりはしない」(原二郎訳、岩波文庫)
 信仰は最大の勇気の源泉である。勇気があれば、道を開いていくことができる。これまでも、創価学会は「勇気」で勝ち進んできた。なかでも勇気ある女性が突破口を開いてきた。
 スイスの大教育者ペスタロッチは述べている。
 「愛情は愛情によって呼び覚まされ、信仰は信仰によってのみ獲得される。母の魂が奏でる音律こそが、子どもたちの心に愛情と信仰の響きを呼び起こすのだ」(The Education of Man;Aphorisms, With on Introduction by William H. Kilpatrick, Philosophical Library, New York)
 信仰は、信仰によってはぐくまれる。だからこそ学会の組織が重要になる。
 一家においては、女子部が″太陽″と輝けば、家族全員を幸福の方向へと引っ張っていくことができる。一族の宿命を転換していける。
 また結婚し、母親になったならば、わが子に厳然と信心を教えていくことだ。子どもが立派な信心の後継者に育つかどうか。母親の果たす役割は重要である。
4  幸福ヘ! 魂を目覚めさせる教育を
 きょうは教育本部と学術部の代表も参加されている。八月十二日は「教育原点の日」である。おめでとう!
 今、日本は少子化が進み、大学は厳しい生き残りの競争にさらされている。こうした時代を、どう勝ち残っていくか――どの学校にとっても大きな勝負である。
 「有名だから」「歴史があるから」――「いい学校」なのではない。「いい教員」のいるところが「いい学校」である。人格と学問をいちだんと磨き、「魅力ある教員」になっていただきたい。
 アメリカを代表する教育哲学者デューイは述べている。
 「教育が進歩しなければ社会もまた進歩し得ない」(『倫理・社会・教育――北京大学哲学講義』水野芳夫訳、飯塚書房)
 教育が根本である。教育が進歩し、発展するならば、社会もまた進歩し、発展を続けていく。
 教育は、本来、営利のための事業ではない。知識の遊戯でもない。人間の魂をゆり動かし、秘めた可能性を引き出して、勝利と幸福の人生へと向上させゆく「推進力」でなくてはならない。
 イギリスの哲学者ホワイトヘッドは記した。
 「今日進歩しつつある国は大学の栄えている国である」(杉本正二訳編『教育の目標』万流社)
 大学が栄えれば、多くの優秀な人材が輩出される。国家や社会の根幹をなすのは教育である。
 大地に根を深く張った本は大樹と育つ。それと同じように、大学が栄える国や社会は人材の根が広がり、大きく発展していける。
5  創価学園の生徒がディベート大会で目覚ましい活躍をしている。
 (第九回「全国中学・高校ディベート選手権」の「高校の部」で創価高校の創価雄弁会が三年連続四度目の優勝を達成〈二〇〇四年八月二日〉。関西創価高校のディベート部は第三位に、創価中学校の創価雄弁会も「中学校の部」で第三位に輝いた〈=〇五年、〇六年も全国大会に出場を果たし、創価高校雄弁会が、〇六年、準優勝を飾っている)
 学園生は本当に優秀だ。先生方もすばらしい。偉大な知性の勝利の歴史を残してくださった。まさしく″日本一″の学園となった。世界の多くの識者も、学園のレベルの高さを賞讃してくださっている。
 創価学園の開校以来、わが身をなげうって、生徒のため、学園のために尽力してくださった先生方に、私は心から感謝申し上げたい。
 韓民族独立運動の指導者・金九キムグ先生(一八七六年〜一九四九年)は喝破した。
 「教育とは、けっしてたんに生活の技術を教えることだけを意味するものではない。教育の基礎をなすものは、宇宙と人生と政治についての哲学である」(『白凡逸志――金九自伝』梶村秀樹訳、平凡社)
 深い意味のある言葉である。よく思索していただきたい。
 教育は、心の貧しい″事務的な人間″を育てるためのものではない。知識があっても、豊かな人間性や知恵がなければ、価値ある人生、幸福の人生を歩むことはできない。豊かな人間性、知識と知恵をかねそなえた″人間らしい人間″を育ててこそ、真の教育である。
6  今年(二〇〇四年)の九月で、私のソ連初訪問から三十周年の節目を迎える。
 私はロシアの最高学府であるモスクワ大学のサドーヴニティ総長と、対談を重ねてきた。二冊目となる総長との対談集『学は光――文明と教育の未来を語る』が初訪ソの日、九月八日を記念して発刊される(潮出版社)。総長との対談集のロシア語版は、モスクワ大学創立二百五十周年の記念事業の一環として、同じく九月に発刊の予定である。
 対談では、教授と学生の信頼関係の重要性についても語りあった。
 (総長は述べている。
 「目の前に座る未完成の学生のなかに、将来大きく成長するであろう可能性を信じる心、知識や行動すべてにおいていつか必ず自分を超える偉大な人物になると信ずる心、池田博士のおっしゃる『学生に学ぶ心』――これが教師の学生に対する尊敬と信頼なのだと私は考えます。
 もしも、この心が教師のなかになければ、いかなる博学の講義も指導も、なべて教育の力とはなりえないでしょう」)
7  私は若き日、恩師である戸田第二代会長から万般の学問と「人間学」を教えていただいた。それが私の不滅の原点となっている。先生は本当に博学で、とくに数学の天才であられた。
 私は毎朝のように、「戸田大学」で勉強した。講義が一段落して、先生が、こう言われることがあった。
 「今度はお前が私に教えろ。若いんだから、いろいろ吸収して、それを私に教えてくれ」
 私はよく先生とともに旅をした。飛行機の中でも、電車の中でも、次々と質問が飛んできた。先生は、そうして私を鍛えてくださったのである。
 戸田先生も、初代会長の牧口先生も、偉大な教育者であられた。きょう集った教育本部・学術部の皆さまも、どこまでも学生を大事にし、生徒の成長をわが喜びとする、偉大な教育者であっていただきたい。
8  きょうより明日へ新しい出発を!
 アメリカのエレノア・ルーズベルト大統領夫人は言う。
 「学ぶことをやめたときは、生命という点でも人生の意義という点でも、生きることをやめたときです」(『生きる姿勢について』佐藤佐智子・伊藤ゆり子訳、大和書房)
 エレノア夫人は、「世界人権宣言」の採択に重要な役割を果たした人物である。彼女は「大統領夫人」の立場を離れても、世界の人々のために活動を続けた。そのために、貪欲に学んだ。生あるかぎり、向上し続けよう。人々に尽くそう。そうした思いで歩み続けたのである。
 ナイチンゲールは記している。
 「人間は一生に一度きりではなく、一日ごとにで気持を改めていかなければならないのです」(「看護婦と見習生への書簡」湯槇ます・小玉香津子・鳥海美恵子・小南吉彦訳『ナイチンゲール著作集』3所収、現代社)
 毎日が新しい出発である。きょうよりは明日、明日よりはあさってと、新たな決意で進んでいくことだ。
 広宣流布は闘争また闘争の連続である。一つの闘争が終わると、次の新たな闘争へ挑む。学会は、こうして発展を続けてきた。
 「闘争を堅持する人民の力はきわまることなく、つきることのないもの」(森下修一訳『周恩来選集』上、中国書店)とは、中国の周恩来総理の言葉である。
 戦うからこそ成長がある。発展がある。無限の力が出る。戦いをやめれば停滞し、衰退してしまう。人生も、そして団体も同じである。
9  最後に、アメリカの第二十五代大統領ケネディの言葉を贈りたい。彼は言う。
 「動乱と変革の時代ほど″知識は力″が真実であることはない」(一九六二年三月二十三日のスピーチ、「ジョン・F・ケネディ大統領図書館および記念館」のホームページより)
 激動の時代である。われらの舞台は全世界に広がっている。だからこそ、リーダーは日々、真剣に学んでまいりたい。
 また、こういう言葉もある。
 「討論を続けようではないか――そうなれば最善の考えが勝ちを占めるようになるに違いない」(『平和のための戦略』細野軍治・小谷秀二郎訳、日本外政学会)
 一対一の語らい。座談会――開かれた対話が学会の伝統である。
 リーダーは、しゃべることだ。心ゆくまで語りあうことだ。そこに納得と充実と、さらなる発展の道がある。
 一人も残らず、生き生きと、健康長寿の人生を―――そう私は心から祈っている。
 全員が幸せになるための信心である。勝利の人生を歩むための信心である。楽しく、有意義な価値ある一日一日であっていただきたい。きょうは本当にありがとう!
 (長野研修道場)

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