Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

全国最高協議会(3) 後継者が育ってこそ令法久住

2004.7.28 スピーチ(2004.1〜)(池田大作全集第96巻)

前後
2  「いかなる組織も常に腐敗の危険にあり、内部改革を必要とする」(「キリスト教社会の理念」中橋一夫訳、『エリオット全集』5所収、中央公論社)
 こう述べたのは、二十世紀を代表する詩人T・S・エリオットである。
 「内部改革」――これが発展する組織の必須条件である。
 人間の体も、毎日お風呂に入って、一日の汗を洗い流せば、気持ちがいい。健康にもいい。広布の組織も「不断の改革」が必要である。
 リーダーが慢心を起こしたり、「ここまでやったから」と油断したり、「これくらいでいいだろう」と妥協してしまえば、すぐに組織は沈滞する。
 つねに向上である。つねに革新である。
 すべては、リーダーの一念の変革から始まるのである。
3  ここで詩人エリオットについて若千、紹介したい。
 トマス・スターンズ・エリオット。彼は、一八八八年にアメリカで生まれた。アメリカのハーバード大学、フランスのソルボンヌ大学、イギリスのオックスフォード大学等に学ぶ。とくにハーバード大学では、インド哲学、仏教思想に深く傾倒した。彼の文学には、その影響が色濃く見られる。
 主な詩に、「荒地」や「四つの四重奏」等がある。また「文化の定義のための覚書」など優れた文明評論を残した。ノーベル文学賞を受賞。一九六五年一月、ロンドンにおいて逝去している。
 エリオットが学んだアメリカのハーバード大学では、私も二度、招聘を受けて講演した。
 (九一年と九三年、「ソフト・パワーの時代と哲学」「二十一世紀文明と大乗仏教」のテーマで講演した〈本全集第2巻収録〉。二〇〇四年は、一九七四年四月、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校〈UCLA〉で、海外における最初の大学講演を行ってから、三十周年となる。
 この間、ロシア随一の世界的名門モスクワ大学で二度、中国最高峰の北京大学で三度、さらにヨーロッパ最古のイタリア・ボローニャ大学、ブルガリアのソフィア大学、またフランス学士院、ブラジル文学アカデミーなど、十八カ国・地域で三十一回の講演を行った。
 二〇〇四年五月、姫路獨協大学の家正治法学部長は、海外講演について「その多さも、また内容も驚異的であり、深く敬意を表するものです」として、次のようなコメントを寄せている。
 「〈池田SGI会長は〉各講演で、例えば、ハーバード大学の二回目の講演では『死を忘れた文明』などと、この現代人の持つ『人間性の病理』を鋭くえぐっておられる。未来に向けて何を解決すべきか、何が問題になっているのかを明晰に示唆されています。この点も重要です。
 次いで、各講演で、SGI会長は自らが実践されている大乗仏教の精神に立たれながら、人種・国境を超えた普遍的な指針を示されています。
 感動するのは、会長が全人類に対してと同時に、一人ひとりに希望を送る形で講演されている姿勢です」〔「聖教新聞」〇四年五月二日付〕)
4  ハーバード大学の二度目の講演では、アメリカを代表する経済学者ガルブレイス博士(同大学名誉教授〈=〇六年四月逝去〉)が講評を寄せてくださったことも忘れられない。
 博士とは、ボストン近郊のご自宅にもおじゃまするなど、何度も親しく語りあった。(=二人の語らいは『人間主義の大世紀を――わが人生を飾れ』〈潮出版社〉として発刊されている)
 博士は語る。
 「こちらの力の源は友人である」(『回想録』、『ガルブレイス著作集』9、松田銑訳、ティービーエス・ブリタニカ)
 友情ほど強いものはない。世界の人々との友情。そしてまた、近隣の人々との友情。今、私たちは、あらゆる心の垣根を超えて、大きく、楽しく、また自分らしく、黄金の友情を広げていく時代に入った。私たちの舞台は無限に広がっているのである。
5  未来部に「信心の宝」
 全国では「未来部躍進月間」がスタートしている。
 大切な未来部を育てゆく「二十一世紀使命会」の皆さま、学生部の「進学推進部長」の皆さま、壮年部、婦人部の「未来部育成部長」の皆さま、暑いなか、本当にご苦労さまです。その尊き労苦に心から感謝申し上げたい!
 私は、できることならば、未来部の皆さん全員に進学してもらいたい。大学にも行っていただきたい。それが、一人一人の可能性を無限に開いていくチャンスになるからだ。学費等も大変だが、夜学もあれば、通信教育もある。やる気さえあれば、働きながらでも勉強できる。いくらだって道はあるのです。
 また担当者の皆さんが、メンバーの進学についても、さまざまに応援してくださっていることに、最大の感謝を棒げたい。教育本部の皆さま方にも、お世話になります。大切な学会の後継者の育成を、なにとぞ、よろしくお願いします。
 未来部の育成は、信心が根本である。そしてまた、「勉学第一」「友情第一」「読書第一」「健康第一」「親孝行第一」である。
 すべてをやりきるのは大変なことだが、信心をがっちりと固めていったとき、勉強も、スポーツも、あらゆる努力が全部、いかされていく。仏法に一切、ムダはないのである。
 家庭にあっても、後継の子どもたちに、しっかりと「信心の宝」を継承していくことだ。その地道な実践のなかに、広宣流布の前進があり、令法久住の確かな道が開けるのである。
6  最後は正義が必ず勝つ
 ドイツ出身で、ナテスのユダヤ人迫害と戦い、のちにアメリカで政治学者、哲学者として功績を残したハンナ・アーレントは叫んだ。
 「欺瞞がいつまでもつづくということはない。そこから先では嘘が逆効果になるような点が必ずやってくる」(『暴力について』山田正行訳、みすず書房)
 真実は、必ず、歴史が証明するのである。
 また、戸田先生は、強い口調でおっしゃった。
 「創価学会員が、宗祖大聖人の眷属として、そして広宣流布の旗の下に結集し、闘争しているのは、末法の御本仏、日蓮大聖人のお使いなのであるから、これを謗ずるものは、無間の罪を開くのである」
 広宣流布に真剣に戦う創価学会員をいじめたり、悪口を言う者がいったい、どうなるか。戸田先生は、「無間の罪を開く」、つまり「無間地獄に堕ちる」と喝破されたのである。
 大聖人は厳粛に仰せである。
 「撰時抄」では「謗る者は罪を無間に開く」との伝教大師の言葉を引かれている。
 「異体同心事」には「日本国の人人いよいよ法華経を謗して万人無間地獄に堕つべし」とある。
 そして「持妙法華問答抄」には「法華経をよみ・たもたん者を見てかろしめ・いやしみ・にくみ・そねみ・うらみを・むすばん其の人は命をはりて阿鼻大城に入らん」と仰せである。
 ゆえに、われわれは、「最後は正義が必ず勝つ!」との大確信で、朗らかに、意気揚々と進めばよいのである。
 戸田先生は、仏法の真髄を青年に教えながら、こう語っておられた。
 「師匠というものは、弟子が肩をもんでくれたりすることは、少しも、うれしくない。師匠の教えたことを、たとえ一つでも、わかってくれることがいちばんうれしいのだ」
 師匠の教えどおりに、師匠に心を合わせて進んでいけば、自分自身が大人材になっていくのである。
 先生は「一生涯、この命を、広宣流布に捧げようと思っているのだ。功徳を受けようなどと思っていません」と語られ、何があっても、毅然たる姿であられた。これが本当の仏法者である。革命児である。
7  宇宙一の和楽の組織を守れ
 「組織」は創価学会の命である。いちばん、戸田先生が大事にされた。
 「戸田の命よりも大事な創価学会の組織」――この言葉は、端的な表現であるが、本当に深い信条であり信念であった。
 広布の組織は、たんなる人の集まりではない。「仏の集まり」である。この大宇宙の仏の生命が渦巻いている。そこに本質がある。
 その組織をバカにし、利用するだけ利用して、破壊しゆく人間は、仏法上、「破和合僧」の重罪にもあたる。
 戸田先生は厳格に遺言された。
 「裏切り者、不知恩の者と戦うのが、仏法の慈悲だ。わが学会は、宇宙最極の和楽の世界である。決して、魔に崩されてはならない。厳然と、わが崇高なる学会に、一人たりとも魔を寄せ付けるな!」
 戸田先生は次のように戒めておられた。
 「幹部諸君は、自分がありがたい職責にあることを喜んでこそ、組織の成果があがる」
 「幹部でありながらいばるのは、頭の悪い、学問のない、人望のない、信心の薄い者のすることである」
 「幹部は、会員の小使である。みんなは幹部のご機嫌など、とってはいけない。いばる幹部は絶対に切る」
 「組織は広宣流布のためにある。その幹部が組織にのっていばったら、学会は潰れるぞ」
 皆さまは最高幹部であるゆえに、あえて厳しく申し上げておきたい。
8  権力の道。世間的な栄誉の道――そこには永遠の幸福はない。
 法のため、人のため、社会のために、いちばん頑張った人が、いちばん幸福になる。これが仏法の厳然たる因果である。
 学会活動が「成仏の道」である。その道を、友と肩組みながら進むとき、大いなる希望と繁栄の花が咲く。
 皆さまの功徳は無量無辺である。子孫末代まで伝わっていくことは、絶対に間違いない。
 広宣流布の人生は、無上道の人生である。同志とともに進むことがうれしい。生きていること自体が楽しい。そうした一日一日を積み重ねながら、大勝利の人生を生きて生きて生きぬいていただきたい。
 皆さまは偉大なる広宣の歴史を築かれた。戸田先生、牧口先生も、どれほどお喜びであろうか。
 戦うことが、幸福なのである。戦わないのは、何もないということだ。向上もなければ、喜びもない。生命の鍛えもない。ともどもに健康第一で進みましょう!
 われわれの同志は、美しきカリブ海のキューバにもいる。広大なロシアの大地にもいる。百九十の国と地域に、創価の人間主義は広がっている。
 われらは世界を舞台に、堂々と「平和と文化の行進」を広げてまいりたい。
 (長野研修道場)

1
2