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日蓮大聖人・池田大作

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ウクライナ「大統領栄誉賞」授与式、第二… 次の五十年は君が勝て!

2004.1.17 スピーチ(2004.1〜)(池田大作全集第96巻)

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2  掲げよ「知性の剣」
 恩師の戸田先生が、歴史上の人物で、一度会ってみたいと言われていた一人が、幕末の志士・高杉晋作であつた。(以下、古川薫編、『高杉晋作のすべて』新人物往来社。参照)
 彼は、吉田松陰の松下村塾に学んだ。こんなちっぽけな島国の日本では、どうしようもない。新しい日本を創ろうではないか――そう決心して、彼は、「知性の剣」「勝利の剣」を磨きに磨いた。
 だが、師匠の松陰が、幕府権力によって、理不尽にも刑死させられる。その悲報を聞いたとき、晋作は、二十歳。″われら弟子としては、この仇を討たないでは、心もやすまらない″と憤怒して立ち上がった。
 革命へ行動する晋作の生涯は、「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し」と評された。
 晋作は、師の「民衆決起の思想」を継いで、長州で、農民や町民など民衆の千不ルギーを結集した「奇兵隊」を創設。民衆の義勇軍の力で、幕府軍と戦っていったのである。
 ただ、残念なことに、晋作は、数え二十九歳の若さで亡くなった。病死であった。
 この話をされるとき、戸田先生は、いつも、病弱だった私の身体を心配して、「大作は三十歳までしか生きられまい」と滂沱の涙を流された。そして、「大作、断じて生きぬけ! 俺の命をやる。俺の分まで生きぬくのだ!」と言ってくださったのである。
 本当に、ありがたき師匠であった。
3  自分自身に生きぬけ
 戸田先生は、よくおっしゃった。
 「世間は評判。国法は賞罰。仏法は勝負」と。
 人生も勝負である。皆さんは、断じて、わが使命の舞台で勝っていただきたい。
 きょう集った男性は、半分は、広宣流布の指導者に、半分は、社会の成功者になってもらいたい。女性は、全員が幸福者に、幸福を勝ち取る人生を歩んでいってください。
 有名人になるもよし。無名の人生を生きゆくもよし。要は、自分自身に悔いのない、自分自身が満足できる人生を生きたかどうである。他人の評判など気にする必要もない。充実した価値深き人生であれば、その人が勝利者なのである。
 ともあれ、絶対に、敗北者にだけは、なってはならない。哀れな敗残の人間ほど不幸はないからだ。
 そのためには、前途のいかなる山も谷も乗り越えていく、勇敢なる人生観をもつことだ。これが仏法であり、信心であることを忘れないでいただきたい。
4  何も恐れるな! 前へ前へ! 良き友とともに
 青年は、何ものをも恐れてはならない。恐れから敗北が始まる。
 青年は、前に進むことだ。毎年、わずかでも進歩して、成長していくことだ。後退したり、横道にそれてはならない。
 青年は、独りぼっちになるな。良き先輩、良き友人、良き後輩とともに、連帯して生きていくことだ。その信頼と友情の一歩一歩が、勝利の足跡となっていくのである。
 ここにお迎えした大使令夫人のリュドミラ・スキルダ先生は、高名な詩人でもあられる。
 私は、心からの敬意と感謝をこめて、ウクライナの女性詩人ウクラインカの詩を朗読させていただきたい。
 「迫害の この世に涙して何の得があろうか/我らは 引き下がるわけにはいかないのだ/ならば 戦おう!/新たな明るい日々を勝ち取るのだ!」
 貴国の魂には、なんと誇り高い勇気が光っていることか。
 ここに集った英才の諸君も、若き血潮を燃えあがらせながら、真剣に学び、勇敢に戦ってきた。
 これからも戦いぬいていただきたい。学びぬいていただきたい。
 「正義感」は青年のものです。そして青年の正義感とは、「何ものも恐れない」勇気のことです。
5  戦乱の冬を平和の春ヘ
 心より尊敬申し上げるコステンコ大使ご夫妻、そして信念の知性であられるアキーモフ総裁。ただいま私は、まことに意義深き、そして誇り高き貴国からの栄誉を、謹んで拝受いたしました。厚く厚く御礼申し上げます。
 貴国は、一九九一年の独立後、旧ソ連時代から残された千六百発もの核弾頭を、すべて撤去された。世界に先駆けて核廃絶を実行されたのです。
 いまだ戦乱と暴力が吹きすさぶ「冬の時代」にあって、「平和と人道の春」を告げゆく希望の花を、クリミア半島にいち早く咲く梅のごとく、毅然と咲かせてくださったのが貴国です。
 その尊き平和外交の推進力となってこられた大使をはじめ諸先生方に、私たちは、人類の一員として、心からの大喝采を送りたい。(拍手)
 ここ牧口記念庭園にも、正義の殉教者であられる牧口先生と、戸田先生の師弟の胸像を包んで、すでに、早咲きの紅白の梅が開き始めています。
 この春に卒業される創価大学の三十期生の皆さん! また創価女子短期大学の十八期生の皆さん! さらに、世界からの大事な留学生の皆さん! そして、ここ学園都市・八王子の十四大学に学ぶ「八王子学生友情会」の皆さん!
 皆さん方は、新たな千年の先陣を切って、見事なる青春の勝利の花を咲かせてくれました。
 私は、その努力をたたえて、句を贈りたい。
  厳寒に
    耐え抜き 勝ちたる
      梅の花
  
  梅一輪
    春と希望の
      君が胸
  
  寒風に
    凛と咲きゆけ
      梅の花
6  現実社会で勝て! これからが人生の勝負
 「ウクライナのソクラテス」とたたえられ、民衆から尊敬された十八世紀の大教育者、スコヴォログは宣言しました。
 「あらゆる学問の種子は、人間自身の中に秘められている」
 「人間の精神の道は、人間の中に秘められた妙なる力を勝利させることである」
 皆さん方も、自分自身の「秘められた妙なる力」を、荒れ狂う現実社会で、どこまでも発揮しぬいていただきたい。
 いよいよ、これからが人生の勝負である。
 「断じて勝利者になってみせる」――こう決意して、卒業していっていただきたい。
 なかんずく、このウクライナの先哲は「下劣なことのなかでも、最も悪いのが、嘘つきと嫉妬である」と鋭く喝破していた。
 嘘と嫉妬の悪党には断じて負けない――これが、私たちの正義の魂でなければならない。
7  スコヴオロダは、愛する弟子たちに、教育こそ邪悪に打ち勝つ原動力であると示し、大学を建設する壮大な構想を語っておりました。
 彼は、その高潔なる信念のゆえに、政治権力からも、宗教の権威からも弾圧された。そして、壮大な夢を実現することができないまま、生涯を終えたのであります。
 しかし、後継の弟子が決然と立ち上がった。「師弟」の重要性が、ここにあります。
 弟子のカラジンは、みずからへの迫害に対しても、一歩も引かなかった。彼は、声を大にして叫びました。
 「わが師匠こそ、社会にあらゆる善をもたらした、不世出の大偉人なり」
 師匠の悲願であった、ウクライナ初の大学――「ハリコフ大学」の創立へ、弟子は、執念の大闘争を貫きました。そして、″正義の師弟に生きぬく人生ほど、強いものはない″ことを歴史に示し残したのです。
 この大学建設を、心ある民衆、心ある人々は熱烈に支持しました。ドイツの文豪ゲーテも、協力を惜しみませんでした。
 そして、ついに、歴史的な開学の日を迎えました。それは、一八〇五年の一月十七日――。きょうが、ちょうど二百年目の記念日なのであります。
 「師弟」といっても、一切は弟子の戦いで決まります。
 先師牧口先生の勝利は、戸田先生で決まった。わが師・戸田先生の勝利は、私で決まった。私は、この五十年、創価の父である牧口・戸田両先生のご構想を、ことごとく実現してきました。
 その総決算の拡大を、今度は、私が愛し、尊敬する皆さんとともに、断固として成し遂げていきたい。そして、「次の五十年」を全部、諸君に、揺るぎなく託していきたいと思うが、どうだろうか!(拍手)
 先ほど、アキーモフ総裁が贈ってくださった像は、その手に「黄金の剣」を掲げています。
 総裁ご自身が、まさしく、黄金の「正義の剣」「真実の剣」を振りかざして、戦い続けてこられた「言論の王者」であります。
 どうか若き諸君も、「言論戦の英雄」となっていただきたい。虚偽と邪悪を打ち返し、切り返し、痛烈に破折できるような言論人になっていただきたい。
8  不撓不屈の「人生の名画」を
 ウクライナは、世界的な″逸材の宝庫″とも言われています。
 名画「第九の怒濤」を描いた画家アイヴァゾフスキーも、ウクライナの出身でありました。
 きょうで、阪神大震災から満九年になります。あの悲劇を乗り越え、勝ち越えてこられた神戸の天地で、まもなく、この「第九の怒濤展」が開催されることを、一言、ご報告させていただきます。(=二〇〇四年二月一日から三月二十八日まで神戸市の関西国際文化センターで開催)
 アイヴァゾフスキーは叫びました。
 「人間は負けない。人間は必ず勝利する」
 「創価の負けじ魂」「創大魂」をもつ皆さんは、いかなる試練の怒濤にも、断じて臆してはならない。「私は負けない。私は絶対に勝剰する」という不撓不屈の人生の名画を、自分自身で描きあげていただきたい。
 ″敬愛する「平和の先進国」そして「文化の大国」ウクライナの五千万の国民に、限りない栄光あれ!″と、私は心からお祈り申し上げます。
 貴国の大詩人イヴァン・フランコはたいました。
 「ねばり強い労苦のみが、わが陣営を強固なものにする。労苦のみが、世界をつくり変える」
 苦労もしない、いい加減な生き方では、大事業はなせない。
 詩人は言います。「真実とともに、自由を勝ち得るために、悪との闘争に勇みゆけ!」と。
 この詩を、わが弟子である皆さんの決意新たな出発に寄せて、お贈くりたい。
 「正義」と「勝利」を叫んで、私の話を終わります。
 どうか健康第一で! 親孝行を!
 最も誇り高き創大三十期生、短大十八期生、万歳!
 本当に、ありがとう!
 (東京牧口記念会館)

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