Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ロシア連邦サハ共和国・北極文化芸術国立… 完全勝利の大叙事詩をつづれ

2004.1.10 スピーチ(2003.7〜)(池田大作全集第95巻)

前後
2  彼は三十六歳。選手としては高齢である。ケガとの戦いの連続でもあった。有名になったがゆえに嫉妬され、悪意の中傷も、何度もあびせられた。
 しかし彼は、絶対に負けなかった。苦難も中傷も乗り越えて、世界的な選手になった。偉大な人は皆、そういう道を歩んでいる。
 「創価の師弟の力が、どれほど強いか。わが実証で、断じて世界に示してみせる!」――これが彼の固い信念であった。
 私も彼の戦いを、十数年、じっと見守ってきた。創価学園等で何度もお会いし、ゆっくりと語りあった。「見ていてください。師子となって走りぬきます!」「断じて負けません!」――彼のすがすがしい姿を、忘れることができない。
 今、そうした限りない挑戦の英姿を、全世界が、大喝采をもって讃えている。彼は勝ったのである。わが友の栄光のゴールを、私たちは心から讃嘆したい。(拍手)
 「祈りとして叶わざるなし」が、日蓮大聖人の仏法の究極である。皆さんもまた、この大確信で、バッジョ選手と同じように、断固として自分自身の「決勝のゴール」を飾っていただきたい。
 わが最高峰に挑み、自分自身が勝利する。これが、信仰の目的である。人生の正しい勝利の姿である。人間が人間として勝利した姿である。自分自身が負けた人間、みずからの使命を忘れた意気地なし――其れは、人間としての敗北者である。
3  大発展のSGI、おめでとう
 きょうは海外からも大勢の代表が参加されている。
 イギリスは、史上最高の広宣流布の拡大を成し遂げられた。機関誌も飛躍的に伸びた。おめでとう!(拍手)
 仏教発祥の天地インドも大発展した。盛大な座談会で、一年をスタートする。インドの皆さん、ナマステ(こんにちは)!
 お隣の韓国では、新年勤行会にたくさんの同志が集われた。地上十二階建ての立派な新本部棟も完成した(二〇〇三年四月)。さらに、創価教育を実践する「幸福幼稚園」の設立へ向けて準備が進んでいる。
 立派な建物といえば、マレーシアにも、十二階建ての堂々たる総合文化センターがそびえている。
 台湾の皆さんも、ようこそ! 台湾では昨年、各地で、多くの友人が参加して地域友好総会が行われた。十一回連続で「社会優良団体」として表彰されたこともすばらしい。
 アメリカでは来月、ニューヨークの国連本部で、SGIが要となって「世界の子どもたちのための平和の文化の建設」展が開催される運びである(=二月四日から同二十七日まで開催)。大成功を祈ります!(拍手)
 各国・各地に帰られたら、同志の皆さんに、くれぐれもよろしくお伝えください。
4  日蓮大聖人は「願くは我が弟子等・大願ををこせ」と仰せである。
 ″小願″ではない。「大願」――人生にとって最高の願い、希望、決意をもちなさい、と。
 また、「大願とは法華弘通なり」と述べられている。
 妙法の力で人々を救い、人類を救う。世界平和を実現する。それが最高の「大願」なのである。
 小説『人間革命』に記したが、戸田先生は、昭和三十三年(一九五八年)の二月十日に、こう言われた。
 「一千万人が信心する時代がきたら、すごいことになるぞ。楽しみだな、ほんとうに楽しみだ」
 これが戸田先生の遺言であった。
 今、学会は「日本一」「世界一」の団体となった。どんな団体も成し遂げられなかった、未曾有の連帯を私たちは築いている。
 学会は、何があっても微動だにしない「日本の柱」と信頼されている。そういう時代に入ってきたのである。
5  「母は心の理想郷」
 「女性は、偉大な力である。男性は、補佐的な力を与えるのみだ」
 これは、ポリソフ文化大臣(ロシア連邦サハ共和国・北極文化芸術国立大学総長)が、かつて、サハ共和国の大文学者オユンスキーの言葉として引用しておられたものである。
 そのとおりだ。創価学会の発展も、女性の力に大きく支えられている。女性をもっともっと大切にしていかねばならない。
 この一年も、全国五十万会場での婦人部総会から、広宣流布の平和の大行進が、朗らかに開始された。
 「太陽の婦人部」の皆さん、おめでとう! 「婦人部万歳!」と心から申し上げたい。(拍手)
 尊敬するポリソフ文化大臣は述べておられる。
 「母は″心の理想郷″です」
 「(感謝をこめて母のことを思えば)私たちを向上させてくれる、大いなる精神のエネルギーが発揮されるでしょう」
 この哲学と人間学に、私たちは心から贅同申し上げたい。(拍手)
 真の「文化」は、母と女性を、最も大事にすることから始まる。ここにこそ、人間が人間らしく、平和と幸福を勝ち取っていくための原点がある。歴史の方程式がある。
 今年も、私たちは、尊き母たちを中心として、「勝利の曲」を高らかに歌いながら、痛快なる前進をしてまいりましょう!(拍手)
6  「大誠実」の人が勝つ
 ここにお越しくださったポリソフ文化大臣は、サハ共和国を代表する政治指導者であり、世界的な芸術家であり、幾多の人材を立派に育成してこられた人間教育者である。
 (ポリソフ大臣は著名な舞台芸術家。P・A・オュンスキー記念サハ・アカデミー劇場主席監督・芸術監督、ロシア連邦功労芸術家、サハ共和国功労芸術家、サハ共和国精神文化アカデミー正会員であり、ソ連国家賞、口シア連邦国家賞にも輝いている)
 まさに″人生の名優″として、使命の大任を何役も縦横無尽に果たしきってこられた。
 その源泉は、どこにあるのか。私が大臣の人となりを何人かの方に尋ねたところ、返ってきた答えは、ただ一言、「大誠実」であった。
 誠実であり、ウソをつかない。礼儀正しい。信義を重んずる――これが人間学の究極である。
 仏法の究極である。いくら頭の回転が速くても、金もうけに長けていても、口がうまくても、本当に「誠実」であるかどうか。これで人生の最後の勝利は決まる。
 大臣は、″自分が今あるのは、すべて恩師のお陰である″と、謙虚に感謝しておられる。
 ――すべてのきっかけを作ってくれたのは、ゴンチャロフ先生(演劇大学の先生)です。たとえば、大空を舞いゆくパラシュートは強い力で勢いよく引っ張られて、初めて開くことができる。それと同じように、先生は、私にとって才能を開かせてくれる存在なのです――。
 大臣は、こう恩師を宣揚しておられる。この一点に、私は深い感銘を受けた。
 一流の人生には、必ず荘厳な「師弟の劇」があり、厳粛な「報恩の舞」がある。
 どんなに有名になり、偉くなろうと、師弟を忘れてしまえば、その人生は、さびしく、むなしい。その心は、だれよりも貧しい。卑しい忘恩の裏切り者で、栄光の生涯をまっとうできた人間など一人もいない。
 大臣も、よく演出されるシェークスピア。その劇の名セリフに、こうあった。
 「恩知らずの形をとつて現われるときの人間ほど恐ろしい化け物はない!」(『アテネのタイモン』、『シェイクスピア全集』7、〈小田島雄志訳〉所収、白水社)
 報恩か、忘恩か――ここに人生の分かれ道がある。
7  創価の三代は世界で勝った
 私の師匠である戸田先生は、先師牧口先生の獄死を語るとき、いつも熱い涙を流し、激怒しておられた。
 戸田先生は、戦争が終わって間もないころ記しておられる。
 「顧みれば、元日大講師田辺寿利氏、牧口先生の価値論を発表したその昔に、『フランスの一小学校長ファーブルは昆虫記をあらわして、フランスの文部大臣は駕をまげて(=来訪して、の尊敬語)文化国フランスを代表して、感謝の意をあらわした。
 いま、日本に、一小学校長牧口常三郎が、また、世界的な一大理論たる価値論を発表す。国家は何をもってむくいんとするか』と。
 しかるに、牧口先生に日本国家がむくいたものは牢獄の死である。野に聖人・賢哲なく、朝にあってこそ国は栄えゆくのである。聖人・賢哲、国を捨てて、どこに国の隆盛あろうや」(『戸田城聖全集』1)
 牧口先生は大学者であった。愚かな日本の権力者は、この″文化の宝″を国賊のように罵り、獄死させたのである。
 今年は、牧口先生の殉教から満六十年である。
 私は、いついかなる時も師匠のことは忘れない。わが師は戸田先生であり、その師匠である牧口先生も、同じように大切に思っている。
 その牧口先生が捕らわれた法難の地、伊豆・下田に、先生の偉業を讃える「下田牧口記念会館」が、ついに完成した。
 さらに、きょう、ここ「東京牧口記念会館」に高名な文化大臣一行をお迎えできた。本当に光栄であり、うれしいことである。
 ただ今、大臣から拝受した珠玉の「知性の宝冠」を、私は牧口先生、戸田先生という二人の師匠に、つつしんで捧げさせていただきたい。
 創価の三代の師弟は、断固として世界で勝ったのである。(拍手)
8  勇気をもて師子吼せよ
 独創的な地理学者でもあった牧口先生は、すでに百年前、サハ共和国の人々に深く注目しておられた。
 牧口先生の大著『人生地理学』では、一月の平均気温がマイナス四十数度というなかでも、雄々しく価値創造しゆく生活が紹介されている。いかなる過酷な寒さにも屈しない、サハの人々の強き魂に言及されているのである。
 (同書は一九〇三年に発刊。「気温と人生」の中に、次のように記されている。
 「(=人類は火を用いることによって)いかなる酷寒にも抵抗できないことはない。最低温度、摂氏氷点下六八度、一月の平均温度氷点下四四度を示す、シベリアのベルホヤンスク地方〈=現在のサハ共和国の一部〉に一〇万五〇〇〇余の人口が生活するのである。これは健康体の人が抵抗できる極限である」(『牧口常三郎全集』2、現代文に改めた)
 設り高きサハ共和国の格言に、「勇者にとって厳寒は友であり、臆病者にとつては圧制者である」とあった。
 勇気である。勇気こそが一切の勝利の原動力である。
 勇気をもって、今年も戦おう! 勝ちまくろう!
 また、大事なのは、生きぬく知恵であり、忍耐である。そして、断じて勝ちぬく執念である。
 「勇気」「知恵」「忍耐」「執念」――悔いなき勝利の人生のために、この言葉を、私は皆さんに贈りたい。
9  ご存じのように、あの正義の獅子トルストイは、傲り高ぶった宗教権力から弾圧され、「破門」された。
 トルストイに、サハ共和国の若き熱血の大詩人オユンスキーが詩を棒げた。
 私が大好きな詩である。
 「おお、賢者は電光石火のごとく
 真実の剣を手に、正義の声を世界に轟かせ、
 結えざる極悪の旗を、悪徳と欲望の王もろとも
 通解に倒せり」
 真実の剣。正義の声。それを武器にして民衆のために立ち上がった文豪を讃えた一節である。
 「破門」されたトルストイを、青年も、民衆も、世界の知性も、心ある人は皆、支持し、擁護した。
 私たちもまた、「破門」という迫害を敢然と乗り越えた。そして、今を迎えた。
 (=席上、池田SCI会長に北極文化芸術国立大学から「名誉教授」称号が授与された)
 世界の大学・学術機関と、これほどまでに深く、広く、壮大な精神の交流を結ぶことができた。
 この連帯を、日顕は、よもや想像しなかったにちがいない。
 私たちは勝った。世界において勝利したのである。
10  さて、豊かな資源に満ちたサハ共和国の大地からは、世界の四分の一ものダイヤモンドが生産されている。
 私たちは、サハをはじめ世界中に、心と心の友好を結びたい。その「友情の結晶」こそが、不滅のダイヤなのである。
 文化と教育の薫りも高いサハの人々は、すばらしい「心のダイヤ」の光彩を放っている。
 そして、「創価学会のダイヤ」とは何か。
 それは芸術部の皆さんである(拍手)。皆さんには、一人一人に数多くの支援者、愛好者、支持者がいる。誇りをもって、自分らしく、使命の道を歩んでいただきたい。皆で応援していきたい。
 また、創価のダイヤといえば、婦人部である。
 さらに、スポーツ界で活躍される皆さまも、一人一人がダイヤモンドのごとく輝いている。ご健闘の様子を私はよく知っております。
 ご多忙のところ、ようこそお越しくださった。本当にうれしい。ありがとう!(拍手)
11  仏法は説いている。
 正しい信念をもて! 正義のためには恐れなく獅子吼せよ!――。
 大聖人も、釈尊も師子吼された。言うべき時に言わねばならないと、身をもって教えられた。
 さらに、仏法はこう説いている。
 命を惜しまず、邪悪と戦いぬけ!――。
 どこまでも邪悪と戦い、絶対に敗れない! どこまでも信念を貫き、自分は屈しない!
 その金剛不壊のダイヤのごとき自分自身を築くのが、真実の信仰である。そこにこそ永遠の輝き、生命の輝き、勝利の輝きがある。
12  「人間に会うために!」――初訪ソから三十周年
 思えば三十年前、私は貴国をはじめ、シベリアの上空を飛んで、ロシアの大地に第一歩をしるした。(一九七四年九月八日)
 当時、内外から、いわれのない誹謗中傷をさんざんあびせられた。
 「なぜ、ソ連(当時)へ行くのか」「宗教者が、何のために宗教否定の国へ行くのか」「共産主義を認めるのか」等々――。
 私は、きっぱりと答えた。
 「ソ連にも、人間がいるからです」「人間に会いに、私は行くのです」「共産主義の人も、平和を願う人間じゃないですか」と。
 (一九七〇年代、世界は、東西冷戦の渦中にあった。そのなかで、ソ連など共産圏の国々への不信は強く、友好への努力は、偏見で見られ、誹謗中傷されたのである。
 また、日本と中国の関係についても、六八年に「日中国交正常化提言」を発表。法的には″戦争の終わっていない″状態にあった両国間の国交正常化を力強く訴えた。これに対しても、激しい非難があびせられた)
 モスクワに到着した、その折、私は、次のように申し上げた。(招聘元であるモスクワ大学による歓迎宴で)
 「シベリアの美しい冬に、人々が窓からもれる部屋の明かりに、心の温かさ、人間の温かさを覚えるように、私どももまた、社会体制は違うとはいえ、人々の心の灯を大切にしてまいることをお約束します。
 シベリアの凍てついた大地にも草木萌ゆ春が訪れるように、人類の未来にも今以上の希望燃ゆ若芽の息吹く春が訪れることを信ずるのであります」(「聖教新聞」一九七四年九月十日付)
13  凍てついた冬の大地にも、いつの日か必ず、温かな春の日がやってくる。そのように、いくら体制が違っても、どれだけ冷たく反目しあっていても、いつの日か必ず、友好の道を開くことができる。直接、会って、心を開いて、話をすれば、絶対に理解しあえるはずである――。
 この信念で、私は、先手、先手を打って、口シアとも、また中国とも友好を結んできた。
 対話こそ歴史を動かす力である。そのとおりの時代を私は創ってきたと自負している。
 (=SGI会長の長年にわたる日露友好の功績には、世界的名門であるモスクワ大学が、異例ともいえる「名誉博士号〈七五年〉」と「名誉教授〈二〇〇二年〉」の二つの栄誉を贈って最大に賞讃した。さらに旧ソ連地域の著名な学術機関が数々の顕彰をしてきた。
 また、日中友好への貢献に対しては、最高峰の北京大学を筆頭に、これまで、中国の代表的な大学。学術機関から、多数の名誉教授。名誉博士等の称号が授与されている。
 このほか、SGI会長の平和、文化、教育への貢献を讃える大学は、五大州におよんでいる)
14  青年部は「一番星」に
 きょうは、わが愛するアメリカ創価大学の若き世界の指導者たちの代表も来てくださった。本当にありがとう!
 皆さん、お元気で。お会いできなかった学生の皆さんにも、よろしくお伝えください。また、ゆっくりとお会いしましょう!(拍手)
 創価の青年部の諸君! 皆さんは、「勝利の一番星」となっていただきたい。「完勝の金星」となっていただきたい。
 時代の闇を、学会の未来を、燦然と照らしていける強い星に! 希望の光に!
 何ものをも恐れず、広宣流布のために!
15  終わりに、貴サハ共和国の名もなき、尊き民衆が作り上げてきた文化の至宝である英雄叙事詩「オロンホ」の一節を朗読したい。
 「生あるかぎり だれ人も恐れるな たとえ武器で汝を脅そうとも!
 魔の言葉も 冷酷な言葉も 汝に悪をもたらすことはできない」
 「汝よ 臆するな 心は強くあれ!
 三度朽ちても三度生き返るのだ!
 遠き鴎難な道のりに 着えある誉れを轟かせるのだ!
 戦いに勝利せよ 迫害者に仇を討て! 汝に勝利あれ」
 これがサハの民衆のなかから生まれた、世界的な叙事詩である。
 わが敬愛してやまぬ貴北極文化芸術国立大学が、校章に刻まれた鳥のごとく、限りなく栄光の飛翔をされゆくことを、私は、心からお祈り申し上げます。
 この一年、私たちも完全勝利の大叙事詩を、ともどもに、健康第一で、威風も堂々と勝ち取っていこうではないか!
 幸福になるために、断固として、勝ちましょう!(拍手)
 寒いところ、遠いところ、本当にご苦労さまです。皆さん、お元気で!
 (東京牧口記念会館)

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