Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

中国・西北師範大学「名誉教授」称号授与… 前進! 栄光の創立の月へ自分自身が勝利

2003.10.8 スピーチ(2003.7〜)(池田大作全集第95巻)

前後
2  創価学会は、偉大な発展を遂げ、世界的な広がりとなりました。これほどの発展を、だれも想像してはいなかった。
 学会は今や、社会の″柱″の存在である。だからこそ、嫉妬の対象となる。
 フランスの文豪、ユゴーは、こうつづっている。
 「彼に善を為した者に悪を為す。嫉みの人とは何か? 忘恩の者だ」
 「徳に酬ゆるに怨を以てするとは何たる人間ぞ!」(『笑う人』宮尾晃一郎訳、『ユーゴー全集』4所収、ユーゴー全集刊行会)
 善いことをしているのに、いな、善いことだからこそ悪人から妬まれる。忘恩の人間から悪口を言われる。これが古今変わらぬ人間の世界である。
3  青年の熱が世界の温度を決める
 それは、十八年前の春のことであります。私は聖教新聞社で、大中国から、一人の輝く青年指導者をお迎えしました。その若きリーダーは、貴・西北師範大学がそびえる蘭州の天地を使命の舞台として、長年にわたり、中国人民のために、尊き労苦の汗を流してこられた方であります。
 そのかんばせには、誇り高き勇気が光っておりました。私たちはたがいに目と目を見つめ、固い握手を交わしました。その青年リーダーこそ、現在、中国人民の先頭に立たれる、胡錦濤国家主席、その人なのであります。(拍手)
 (胡主席は、一九八五年三月、中国青年代表団の団長として来日。当時、中華全国青年連合会〈全青連〉の主席だった)
 さらに五年前、私は胡錦濤主席と再会を果たしました(一九九八年四月二十二日、東京で。当時、国家副主席)。主席と私は、再会を喜びあいながら、アジアの平和を、そして日中友好の未来を展望して語りあいました。私は、「青年の熱が、世界の温度を決めます。青年の熱が冷めれば、人民は凍えてしまいます」と申し上げた。
 きょうは、若き力と熱に満ちあふれた、歴史的な青年部幹部会、まことにおめでとう!(拍手)
 今の言葉を、どうか忘れないでいただきたい。
4  「必死の一人は十人に勝る」
 心から尊敬申し上げる、王利民学長はじめ、西北師範大学の先生方、ただ今、私は、荘麗なる百年の伝統を誇る「教育と学術の大城」から、最高の栄誉を賜りました。
 この会場の、全国、そして世界の友と一緒に、さらにまた、日本の一千ヶ所の衛星中継の会場に集った同志とともに、つつしんで拝受させていただきます。
 まことに、まことに、ありがとうございました。(拍手)
 (=席上、SGI会長に西北師範大学から「名誉教授」称号が授与された)
 貴大学は、北京で創立されました(一九〇二年)。しかし、悪逆きわまる日本軍の侵略のなか、千キロメートル以上も離れた蘭州へと移転し、人間教育の炎を断固として死守されたのであります。
 偉大なる貴大学の先人たちは、そのような困難な事態にあっても、愚痴もなく、悲観もなく、未開の荒野に英知の大殿堂を、毅然として建設していかれたのであります。
 その尊き魂を、今も厳然と受け継がれ、愛する母校の限りなき発展と栄光のために、一心不乱に戦い続けておられるのが、きょう、ここにお迎え申し上げた、工学長であり、敦煌芸術学院の岳副院長なのであります。(拍手)
 貴国の名著『韓非子』には、「必死の一人は十人に勝る。必死の十人は百人に勝り、必死の百人は千人に勝り、必死の千人は万人に勝る。そして、必死の万人は天下を治める」とあります。そのとおりであると思います。
 勝利の波動とは、つねに、真剣の一人、必死の一人から生まれる。これは、永遠の法則です。
5  私が何度もお会いし、王学長から(授章の辞で)お話があった、「敦煌の守り人」常書鴻先生ご夫妻も、そうした「必死の一人」であられました。
 (=常書鴻氏は、中国の著名な画家で、敦煌芸術の保護・研究、世界への紹介に人生を捧げた。敦煌研究院名誉院長。池田名誉会長と対談集『敦煌の光彩』を発刊〈本全集第17巻収録〉。一九九四年逝去)
 あのシルクロードの美の宝石・敦煌を築いた根本の力は、いったい何であったか。ご夫妻と私は、「無名の民衆の信仰の力こそが敦煌を生みだした」という一点で、深く一致しました。
 敦煌の芸術は、権力者や貴族の宮廷文化ではない。ましてや、堕落した坊主の伽藍を飾るためでもない。それは、名もない画工たちが仏法の信仰を根幹として、砂漠の過酷な環境に耐えながら、魂の底から創造の炎を燃やし、心血を注いでつくり上げた作品でありました。
 だからこそ、千年の歳月を超えて、人類を魅了してやまない不滅の光彩を放っているのです。
 今、わが学会員の同志は、来る日も来る日も、ただただ「広宣流布」即「社会の繁栄」「世界の平和」のために、真剣に動き、走っておられる。必死に語り、叫び、戦っておられる。
 ここにこそ、永遠に崩れることのない「平和の城」「人間の城」「民衆の城」「青年の城」、そして「勝利の城」が建築されると信じます。どうか、その確信をもって、朗らかに、堂々と生きぬいていただきたい。諸君には、洋々たる未来が開かれています。
6  世界は「人材の競争」の時代ヘ
 昨年十月、貴大学の創立百周年の慶祝大会が、盛大に開催されました。
 その席上、貴大学とゆかりの深い、ノーベル物理学賞受賞者の李政道先生が祝辞に立たれ、「これからの世界は、人材の競争の時代である」〔「甘粛日報」二〇〇二年十月十六日付)と高らかに宣言されました。まことに至言であります。
 思えば、創価の創立の父・牧口初代会長は、ちょうど百年前に発刊された『人生地理学』で、「軍事」や「経済」の競争でなくして、人類への貢献を競いあう「人道の競争」のビジョンを提唱しました。貴大学で語られた「人材の競争」に、奥底で相通じる理念と信じます。
7  中国の名高い古典である『戦国策』には、こう断言されています。
 「乱れた者が安定している者を攻めれば、みずからを滅ぼす。
 邪な者が正しい者を攻めれば、みずからを滅ぼす。
 道理に背く者が、道理の者を攻めれば、みずからを滅ぼす」
 まさに、正しい理法に則った言葉です。
 この世界は、永遠に「正」と「邪」の勝負である。「善」と「悪」の闘争であります。
 ゆえに断じて、邪悪を圧倒しゆく「正義の人材の陣列」を拡大し続けていくことです。
 そのためにも、正義と真実を、勇敢に、声を大にして叫びきっていかねばならない。
 「死を畏れて言わざるは勇士に非ざるなり
 ――死を恐れて(言うべきことを)言わない人間は臆病者である――。
 これは、日蓮大聖人が御書に引かれた、貴国の箴言です。(『新序』の一節)
 さらに、「声仏事を為す」(御書七〇八ページ等)――声が仏の仕事をなす――という重大な金言も、貴国の大哲人・天台大師の弟子である章安大師の叫びでありました。
 このように古来、日本は文化や哲学を貴国から学びました。大聖人も、貴国の言葉を随所に引かれています。「中国の心」は大きく、深い。これから五十年、百年、貴国は、ますます栄えゆくでありましょう。
 日本の将来も、中国との友情が非常に大事である。隣国・中国と手をたずさえて進むことが、日本の正しき進路である。これは私の一貫した信念です。また、牧口初代会長、戸田第二代会長の考えでもありました。
8  貴大学のそばには、文明の大河・黄河が滔々と流れています。黄河は、じつに五千数百キロメートルもの長さがあります。この黄河の源流からほとばしる流れが、中国の大地を貫いて、大海原に到達するまで、どれくらいの日数がかかるか。それは、約一カ月と言われています。
 わが創価学会の、栄光輝く「創立の月」まで一ヶ月。私たちもまた、「民衆の勝利」のために、一切の戦いを、愉快に、猛然と勝ちぬいてまいりたい。
 勝つことは皆の喜びとなる。学会は、朗らかに進みましょう!(拍手)
 わが敬愛する貴・西北師範大学が、新しき千年の「教育界の敦煌」として、いちだんと大きく、また大きく輝いていかれることを、私たちは、心からお祈り申し上げます。(拍手)
9  青年よ大衆のなかヘ!
 深く尊敬する周恩来総理のスピーチを、わが本門の弟子である青年部に贈りたい。
 「青年諸君が分散して大衆のなかへはいり、全国の津々浦々にひろがってゆくなら、われわれの力は無敵である」(中共中央文献編集委員会編『周恩来総理』日本語版《周恩来選集》翻訳室訳、外文出版社)
 まさに、創価学会の姿であります。
 私が周総理とお会いしたさいにも、総理は私たち創価学会のことを最大に信頼し、期待しておられた。(一九七四年十二月五日、北京で)
 また、総理は、こうも叫ばれた。
 「勇気をもつべきである。われわれはいま全国的な勝利をかちとろうとしており、希望の光がわれわれを照らしている」(同前)
 われらの心意気も同じである。
 勇気をもて! そして勝利しよう! 自分自身の勝利を飾ろう!
10  きょうはアメリカの友も参加しています。ガンジーの令孫アルン・ガンジー氏(アメリカにガンジー非暴力研究所を創立)は語った。
 「本気になって戦う人の後には、多くの人が続く」(「聖教新聞」二〇〇〇年二月二日付)
 反対に、皆が続かないのは、まだまだ本気でないからだ。指導者が学ぶべき重大な要点である。
 そして、インド独立の父であるマハトマ・ガンジーは言った。
 「高ぶった傲慢な人間は一時は成功するかも知れないが、窮局に於ては苦まなければならぬ」
 「人間が偉大なるは富の蓄積によるのでもなければ、恐るべき武器を有するためでもない、全く正義と誠実によるのである」(福永渙『ガンヂーは叫ぶ』アルス)
 富でも、名誉でも、権威でもない。正義と誠実が、人間として最高に偉大な生き方である。このような偉大な人生を歩もう!
 古代ギリシャの哲学者プラトンはつづつている。
 「最も邪悪であることが明らかな人間は、明らかにまた最もみじめな人間ではないだろうか」(『国家』藤沢令夫訳、岩波文庫)
 邪悪な謀略をめぐらす人間は皆、惨めな末路をたどっている。
 最後に、アメリカ最初の女性国会議員ジャネット・ランキンが愛した言葉である。
 「前進! 前進! また前進!」(H・ジョセフソン『絶対平和の生涯』櫛田ふき監修・小林勇訳、藤原書店)
 前進だ、前進だ、また前進していこう―――これが、新しい時代を切り開いた合言葉でありました。
 これを皆さまに贈って、スピーチを終わりたい。きょうはありがとう!
 (創価国際友好会館)

1
2