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日蓮大聖人・池田大作

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第二十三回本部幹部会、第三回中部総会、… 青年よ「希望王」「友情王」「勝利王」と輝け

2002.12.5 スピーチ(2002.8〜)(池田大作全集第94巻)

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2  先ほど、音楽隊の創価グロリア吹奏楽団がウクライナの国歌を演奏してくださった。
 音楽隊の皆さん、ありがとう。(拍手)
 本年(2002年)は″ウクライナのソクラテス″と呼ばれる大哲学者スコヴォロダ先生の生誕二百八十周年にあたる。私もウクライナに何度も招聘いただいているが、今月(十二月)は、ウクライナで盛大に記念行事が開催されると、うかがった。
 きょうは、祝賀の意義をこめて、音楽隊の皆さんに、壮麗な国歌を演奏していただいた。(拍手)
 このスコヴォロダ先生が青年に語った有名な言葉がある。
 「悪しき十年より、清らかな一年を! 実りなき一世紀より、人に役立つ十年を!
 難しき友よ、無為に時を過ごすな。膨大な悪を阻止するのだ」
 友よ、時間をムダにしてはならない。有意義に生きよ。真実に価値あるものを創造せよ――それが″ウクライナのソクラテス″の叫びであった。
3  青年時代に語学の習得が絶対に必要
 私は、これまで、世界の指導者や知性の方々と、たくさんの対話を重ねてきた。その対談を通して、じつは、三つのことが後悔として残っている。あえて、この場で申し上げる必要はないかもしれないが、若い諸君に同じような後悔をさせたくはないし、ありのままを話させていただきたい。
 一つ目の後悔は、英語を勉強しなかったことである。
 青年時代、私は、英語だけは習得しようと思っていた。絶対に必要になることもわかっていた。
 しかし、当時は戦争中である。英語は敵国語とされ、勉強はおろか、使うことさえできない。
 また戦後は、個人教授も受けたが、その教師は月謝をとることばかりに熱心で、ろくに教えてくれなかった。母がよく、家で採れた海苔をもたせてくれ、そのときだけは、少し、やる気になってくれたのだが。(笑い)
 そういうことで、青年時代、必要性を感じながらも英語の勉強を遂行できなかったことが第一の後悔である。
 戸田先生は、未来の世界広布を見つめ、語学の重要性を強く感じておられた。
 将来、自分の代わりに必ず世界の舞台に出ていくんだ――この戸田先生のお気持ちが、私には、よくわかった。だからこそ、何としても英語だけは、勉強しておきたかった。
 しかし、青年部のリーダーとして、折伏・弘教の戦いを、断じて、ゆるがせにはできない。また、戸田先生の事業の再建に、一人、奔走していた身でもあった。春なのか、夏なのか、暑いのか、寒いのか――そういうことすら、わからない。壮絶な一日一日であった。
 戸田先生は、そんな私の体を心配されて、「おれの寿命をわけてでも健康にさせたい。身代わりになってもいい」とおっしゃってくださった。私は心で泣いた。そして、語学についても、「お前は、優秀な通訳を使えばいいんだ」と言ってくださったのである。
4  二つ目の悔いは、その「優秀な通訳」に、なかなか、巡り会えなかったことである。
 とくに三十年前のトインビー博士との対談は、内容も高度で、多岐にわたり、通訳がたいへんに苦労した。
 また、二年越し、十日間にわたる語らいを終えたときのことである。トインビー博士が、ロンドンの格式高い特別なクラブに食事に招待してくださった。じつは、そこに招かれた人で、英語を話せなかったのは私一人(笑い)。通訳もいない。(笑い)
 トインビー博士はたいへんに気をつかってくださった。すばらしい人格の博士であられた。
 この点、今は、各国語とも、優秀な通訳が育ってきた。
 多数の優秀な通訳の方々が、世界広宣流布の伸展に呼応するかのように次々と誕生し、活躍してくださっている。私は、本当にうれしい。(拍手)
5  さて、三つ目の悔いは、ある新聞社の記者のすすめで、ある政治家と会って対談をしたことだ。
 私は、その対談の相手とは、会いたくなかった。しかし、記者への義理もあり、対談をした。
 彼は、自分の政界や社会の名声だけを考え、こちらには言わせないようにしながら、勝手気ままに気取りながら話を進めていった。
 それでは、対談ではない。私は会ったことを今でも後悔している。
 対話というのは、対等の人格者として、平等でなければならない。一方的な宣伝でなくして、真理・真実をたがいに語りあわなければならない。
 ともあれ、この真実のなかの真実の対話こそ、私どもの仏法対話であり、折伏・弘教なのである。
 平等ということで、もう一点、これからの学会は、男性も女性もすべてにおいて平等で進んでまいりたい。
 これまでは、さまざまに「男性優位」の面があったと思うが、これからの時代は、一方的な考え方だけでは、絶対に行き詰まる。女性の声を聞き、女性を最大に大切にしていくことが、女性の世紀、いな、新世紀を建設しゆく人間としての正しい平等の道であるからだ。
 御書にも「男女はきらふべからず」と明確に説かれているとおりだ。
6  「勝利の富士」も祝福
 きょう、ここ東京牧口記念会館から見る富士は、すばらしい富士である。見事なる白雪の富士が、皆さま方を見守っている。祝福している。「一年間、よくやった!」と賛嘆している。(拍手)
 私は、ここに来ると必ず富士山を見るが、きょうのような偉大な富士は、めったに見られない。
 まさに「勝利の富士」である。
 私は、記念に句を詠んだ。
  いつ見ても
    勝ちに勝ちたる
      富士の山
  
  富士の山
    一人 厳たり
      恐れなし
  
  断固たる
    姿 崩すな
      君も富士
  
  嵐にも
    何も恐れず
      富士の山
  
  富士の山
    いつも是くあれ
      共々に
 これらの句を、わが愛する同志に贈りたい。
7  学会は異体同心で全世界ヘ
 日蓮大聖人は、仰せである。
 「日本国の人々は、大勢いるが、体同異心(形はまとまっているようでも、心はばらばら)なので、何事もうまくいかない。日蓮の一門は、異体同心であるゆえに、人数は少ないけれども、大事(広宣流布)を成し遂げ、必ず妙法が広まるであろうと確信する。悪は多くとも、一善に勝つことはない」(御書1463㌻、通解)
 「団結」が大事である。創価学会は、「日蓮の一門は異体同心」との仰せのままに、異体同心で世界的な発展を成し遂げた。この一点を、断じて忘れてはいけない。ゆえに、悪い人間、増上慢の輩に、清浄な学会を乱させてはならない。正義の団結に、かなうものはない。
 堂々たる異体同心の団結で、来年も前進しましょう!(拍手)
8  さらに御聖訓を拝したい。
 「一生は、つかの間に過ぎてしまうのだから、いかに三類の強敵が重なろうとも、決して退する心があってはならない。恐れる心があってはならない」(御書504㌻、通解)
 広宣流布の前進には、さまざまな試練がある。三類の強敵が次々と襲ってくる。越えなければならない山が、いくつもある。
 しかし、広布のための労苦は、すべて大福徳に変わる。全部、「自分自身のため」である。しかも、友情を広げ、仏縁を結んだ人は、三世にわたって自身の眷属となっていくのである。
 一生は、つかの間であり、生命は、三世である。今の苦労は、三世永遠の幸福のためであることを、危く深く、確信していただきたい。
 ゆえに、どれほどの困難にぶつかろうと、退いてはならない。恐れてはならない。もしも、退いたり、恐れたりすれば、自分が損をする。
 自分のため、未来のために、退くな! 恐れるな! 信心を、全うせよ!――こう、大聖人は、教えてくださっているのである。
9  「見事なる勝利の一年」に感謝
 全国、全世界の同志の皆さま、この一年を見事なる勝利、勝利で飾ってくださり、本当にご苦労さま!(拍手)
 じつに、大きな大きな一年であった。十年分の戦いが、そして歴史が、厳然と残された。
 この暗い、混沌とした時代に、すべてを押し切って、いちだんと大盤石の創価学会が築かれた。
 本当に、ありがとう!(拍手)
 壮年部・婦人部を中心に、全国で見事な折伏・弘教が達成された。男子部も、女子部も、学生部も、すばらしい拡大である。未曾有の金字塔を打ち立ててくださった。
 すごい学会となった。この不景気のさなか、学会を訪れる多くの人が、「学会だけは明るい!」「すばらしい発展だ!」と驚嘆している。
 折伏は、いちばんむずかしい大偉業である。それが、これほど成されたことは、奇跡中の奇跡とも言えよう。
 御聖説には、「一句をも人にかたらん人は如来の使と見えたり」と仰せである。
 如来とは、仏のことである。信心のすばらしさを、たとえ一言でも語る人は「仏の使い」である。相手が信心してもしなくても、仏法を語ったこと自体、「仏の使い」として、無量の福徳を積んでいるのである。
 私は、広布に戦う皆さまに対して、「折伏は 仏と等しき 功徳かな」と、讃嘆させていただきい。
10  青年で始まり青年で勝つ
 とくに青年部の皆さんは、本当に、よく頑張ってくれた。ありがとう!(拍手)
 真剣に戦う青年の姿は美しい。光っている。これほど尊貴なものはない。
 ついに、新しい青年部ができあがった。創価学会の未来は盤石になった。次の後継が厳然と決定された。
 これまでも学会は、若い人が多いと言われてきた。今ふたたび、幾多の青年が膨済と結集し、立ち上がり、活動を開始した。この姿を見て、日蓮大聖人が、そして牧口先生、戸田先生が、最大に喜んでくださることを私は確信している。
 ご存じのように、日本の社会全体は、高齢化と少子化が進み、青年の占める割合が小さくなっている。大変な時代である。
 そのなかで、学会青年部が先頭を切って、新しい時代、新しい世代の広宣流布の大建設を成し遂げようと、偉大なる羽ばたきを開始した。
 私は、うれしい。尋常ならぎる、奇跡とも言うべき偉業である。学会の未来は、大勝利の路線に明確に入った。
 今こそ、指導者革命が必要である。民衆とともに生き、民衆に奉仕し、民衆のために命がけで働くリーダーが陸続と生まれなければならない。
 もう一度、学会は、青年から始まり、青年で勝っていく大路線をつくりたい。青年部の皆さん、よろしく頼みます!
11  SGI各国も社会に信頼の光
 本日は、海外十六カ国・地域から、SCIの同志の皆さまが参加しておられる。ようこそ!
 代表の方々をご紹介したい。
 はじめに、韓国の皆さま!「済州チェジュ韓日友好研修センター」(済州島)の完成、おめでとう! 韓国SGIはすばらしい発展を遂げている。
 なお「11・18」学会創立の日を記念して韓国・済州大学前総長の趙文富チョウムンブ博士との対談集『希望の世紀へ 宝の架け橋――韓日の万代友好を求めて』(徳間書店)が発刊され、各界から大きな反響をいただいている。
 これも、両国友好に尽くしてこられた韓国の皆さまのおかげである。
 台湾の皆さま! 連続十回目となる「社会優良団体賞」の受賞、まことにおめでとう!
 (台湾内政部が社会団体を表彰する最高位の栄誉。一九九一年度からの連続受賞)
 微笑ほほえみの国タイの皆さま方は、本年も友情の拡大に頑張った。おめでとう!
 良き国民、良き市民として、見事な信頼を勝ち取ってこられた。心からお祝い申し上げたい。
 北欧のデンマークの皆さま! 弘教を大きく推進され、たくさんの代表の方々が見えられた。ようこそ!
 来年の年頭には、私の『青春対話』デンマーク語版が出版される。この本には、世界のサッカー界の宝である、イタリアSGIのバッジョ選手の寄稿も収録されると、うかがった。
 南米のアルゼンチンも、本年、見事な弘教を成し遂げた。また、新理事長が誕生して初めての総会が十一月に行われた。希望の新出発、おめでとう!
 そのほか、はるばるインドなどからも、尊い同志が駆けつけてこられた。本当に、ありがとう!(拍手)
12  未来学者ヘンダーソン博士は市民運動の闘士
 このたび、アメリカの未来学者であるヘイゼル・ヘンダーソン博士との対談集が、主婦の友社から発刊された。タイトルは、『地球対談 輝く女性の世紀へ』となった。
 博士は、より良き地球環境の構築のために戦いぬいてこられた、世界的に有名な市民運動の闘士であり、女性リーダーである。
 子どもたちを大気汚染から守るために、巨大な権力や、傲慢な学者らと、まっこうから論戦を繰り広げた。鋭く正しい主張ゆえに、無数の非難中傷を受けた。「アメリカで最も危険な女性」――そんな悪口まで言われ、たたかれ続けた。
 しかし、博士は、すべてを打ち返し、はね返した。戦い、また戦い、戦いぬいて勝った。堂々たる正義と真実の論陣で、邪道の論調を、ことごとく打ち破った。そして、世界的な学者になられたのである。
 戦わずして偉大になった人間はいない。人生はすべて、戦いである。苦難に立ち向かい、勝ち抜いた人でなければ、たとえ有名人でも虚名にすぎない。
 博士は、今では、世界三十カ国以上で、「持続可能な開発」のための経済政策の顧問なども務めておられる。
13  対談の中で、忘れられない博士の言葉がある。
 「運動を始めた以上、困難があるのは、当たり前と覚悟していました。それに私は、困難を前にすると、やる気が湧いてくるんです」
 また、こうも言っておられた。
 「(=運動を成功させるためには)どんな困難があっても、決してあきらめないことです。同じことを一貫して訴え続けていけば、その主張が正しい限り、時代は必ずその方向へと変わっていくものだからです」
 まさに、希望・忍耐・決意の人は、最後は必ず幸福の勝利者なり――透徹した大哲学者の不屈の信念である。
 信念に生きる女性は強い。二十一世紀は「女性の世紀」である。
 わが学会は、これまで以上に、女性を何十倍も大事にし、期待し、守っていく。それが、時代の流れであり、時代を開く鍵だからである。
14  真の民衆運動には「哲学」が必要
 ヘンダーソン博士は、先駆の女性指導者として歴史を残された。その博士が、市民運動の成功には、民衆の連帯だけではなく、その基盤に、確固たる「哲学」が必要であると訴えておられた。
 哲学――ここに着目した点に私は感嘆した。
 博士は言われた。
 「(=万人が幸福となり、勝利者となりゆく、真の民衆運動とは)民衆一人ひとりを、高い精神性に目覚めさせていくものでなければなりません。精神性なき運動は、害をなす場合が多いのです。その意味で、私は、人間精神の変革を基調にして平和・文化・教育の運動を進めるSGIに、大きな期待を寄せるものです」
 大事なのは精神性である。人間革命の哲学である。それがなければ、真の民衆運動ではない。
 とくに博士は、「草の根」のスクラムを広げる創価の女性たちとの心の交流を、″涙が出るほどうれしい″と喜んでおられた。
 博士の世界的な環境保護の運動も、主婦たちの少人数のグループの対話から始まったことは、有名な話である。博士は、私に語ってくださった。
 「何事も、一対一の友情と信頼を結ぶことから始まりますね」
 そのとおりである。
 「一対一の友情」「一対一の対話」――これがあるから、学会は崩れない。これを、だれよりも実践しているのが、婦人部・女子部の皆さまである。世界一の女性の平和運動である。だからこそ博士も、心から讃嘆し、共感を寄せてくださっているのである。
 わが婦人部の皆さまは、来年一月を中心に、全国の津々浦々で、グループ単位の「婦人部総会」を、にぎやかに開催される。
 たいてい、少人数だとさみしく見えるものだが、創価の母の小単位の集いは、朝から晩まで明るい会話がとまらない。(笑い)
 ともあれ、日ごろ、婦人部にお世話になっている青年部や壮年部は、気持ちよく、さわやかに、真心の応援をお願いしたい。
15  忘れ得ぬ周恩来総理との出会いから二十八年
 きょう十二月五日は、二十八年前(一九七四年)、私が中国の周恩来総理とお会いした日である。
 寒い北京の夜であった。場所は、総理が入院されていた「三〇五病院」。総理は、「どうしても会わねばならない人がいる」と、医師団の反対を押し切り、三十歳も若い私を、わざわざ玄関にまで出て、迎えてくださった。一生涯忘れ得ぬ、不滅の″出会いの劇″である。
 本年、わが中部青年部が企画し、実現した「偉大な指導者 周恩来」展は、日本全国はもとより、中国にも波動を広げた。中部の皆さん、ありがとう!(拍手)
 なお、″周恩来展″をはじめ、各地で行われた学会の多彩な展示会には、この一年間で、じつに五百十万人もの方々が訪れ、観賞された。この場を借りて、すべての役員の皆さま方に、「本当にご苦労さまでした。ありがとう!」と心から感謝申し上げたい。
16  周総理と私の出会いについては、近年、多くの知性の方々が、光をあててくださっている。
 本年九月、周総理の母校・南開大学で開かれた学術会議では、「周恩来、池田大作と中日国交正常化」と題する、長文の論文が発表された。(「南開学報」2003年・第2期)
 これは、同大学「周恩来研究センター」の孔繁豊こうはんほう所長、紀亜光きあこう秘書長が執筆されたものである。
 そこには、こう論じられている。
 「周総理は、創価学会が歴史上一貫して反戦を訴え、平和を追求し、牧口常三郎初代会長がそれによって日本軍国主義に迫害され殉教した事実に注目していた」
 「したがって、周総理は対日外交に取り組むスタッフに、できるだけ早く創価学会の幹部と接触をもつよう何度も指示していた」
 「創価学会を中日友好のパートナーとして重視し、歴史的に重大な影響を生み出した点に、周総理の卓越した外交家と政治家としての風貌と才能が体現されている」
 (論文は「日中国交正常化提言」〈六八年〉についても、高く評価している。
 「中日関係が危機に陥り、苦悶していた日本の民衆に『一纏の光明』を見いださせ、中日国交正常化のための思想と理論的基礎を定めた」とし、提言がなければ国交正常化の実現は困難であったと指摘している)
17  文化・教育の交流で民衆を結ぶ
 さらに論文は、次のように結論している。私自身のことでもあり、たいへんに恐縮だが、創価学会に対する信頼と評価の証として、そのまま紹介させていただく。
 「(民衆の力と民間外交を重んずる)周総理と池田会長の共通認識が中日の世代を超えた友好という偉大な事業の共通の基礎を構成し、『永遠に崩れない中日友好の金の橋』を架けたのである」
 これまで、人類の外交の歴史は、残念ながら、ほとんどが、政治家や実業家等による、「権力と権力」「利害と利害」の葛藤の連続であった――そう嘆く人は多い。
 そうではなく、「民衆と民衆」「人間と人間」「青年と青年」が、文化と教育の交流によって「心」を結びあう――これほど永続的な平和の潮流をつくる道はない。その実験証明を人類史上、初めて行っているのが、私たちSGIなのである。これからも、二十一世紀の民間外交、そして平和創造に、それぞれの国や地域にあって、誠実に、どこまでも誠実に貢献してまいりたい。
 海外の皆さん、よろしく頼みます! どうか、お体を大切に―(拍手)
 (本年〈二〇〇二年〉発刊された蘇州大学の学術誌に、「池田大作の中道思想と未来観」「池田大作の教育観」という論文が掲載されている。同大学の銭培徳せんばいとく学長一行が十一月に、創価大学を訪れたさい、同誌が届けられた。
 また、北京行政学院の董武とうぶ副教授は本年十月、二度にわたって、「池田大作と日中友好」と題する講演会を開催。北京大学の「池田大作研究会」でも、数十人の錚々そうそうたる学者が、平和思想の研究を進めている)
18  鄧女史「より前を見つめ、より青年に学べ」
 周総理の夫人である鄧穎超とうえいちょう先生とも、私は八回、お会いした。ある時は散策をしながら、ある時は食事をともにしながら、家族のように親しく語りあった。一回一回の出会いが思い出深い。
 その鄧穎超夫人に、周総理が贈られた手紙に、こういう一節がある。
 「年をとると人間は、過去を振り返るようになる。しかし、激動の時代にあっては、より前を見つめ、より後世のためを考え、より青年に学んでいくことです。うかうかしていると、落伍してしまう。意気を鼓舞して、前進また前進していこう!」(中共中央文献研究室編『周恩来鄧穎超通信選集』中央文献出版社)
 まったく、そのとおりである。仏法は「現当二世」と説く。つねに、現在から未来へ、希望に燃えて、先手先手を打っていくための仏法であり、信心である。この一点を忘れてはならない。
 御聖訓に「月月・日日につより給へ・すこしもたゆむ心あらば魔たよりをうべし」と仰せのとおりである。
 「もう、これくらいでいいだろう」という「たゆむ心」「弱い心」では、魔に負けてしまう。人生の最後のその日まで、断じて一歩も退いてはならない。
 「進まざるは退転」である。ともどもに、一生涯、広宣流布の道を邁進してまいりたい。
19  鄧穎超先生は若人に、こう呼びかけている。
 「青年は、胸襟を開いて、大いに友情を広げていかなくてはいけない。そして、戦おうとする、すべての人と協力していく気概を持つべきです。民衆のなかに陣営を拡大していけば、私たちの事業は、勝利を腱めることができる」(金鳳『鄧穎超伝』人民出版社)
 「民衆のなかに陣営を拡大する」――すばらしい言葉である。私たちで言えば、座談会運動である。小単位の活動である。青年部こそが、この民衆運動の先頭に立ってもらいたい。
 ″真剣な青年の努力に勝るものはない″――これは牧口先生の遺言である。戸田先生の指導である一切は青年で決まる。
 青年部は、青春の「希望王」である。「友情王」であり、「勝利王」である。正義と栄光の「陣営」を、さらに来年も拡大し、永遠不滅の創価学会を構築していただきたい!
20  正義の原点を忘れるな
 最後に、人生勝利の道標に、古今の賢者の言葉を贈りたい。
 古代ローマの政治家キケロいわく。
 「不法は常に避けなければならない。大抵のひとは、しかし、号令の権力、栄誉、名声への欲に襲われると、思わず正義を忘れてしまう」(『義務について』泉井久之助訳、岩波出版)
 正義を忘れる。創価学会という原点を忘れる――人生、これだけはあってはならない。これまでも、学会のおかげで社会的に偉くなりながら、私利私欲におばれて信心を忘れ、最後は退転し、反逆していった人間がいた。そういう恩知らずの卑劣な人間とは、戦わなくてはならない。
 「嫉みの人とは何か? 忘恩の者だ。彼は自分を照し、温める光りを憎む」(「笑ふ人」宮原晃一郎訳、『ユゴー全集』4所収、ユーゴー全集刊行会)
 これは、大文豪ユゴーの鋭い洞察である。
 嫉妬は恐ろしい。古来、どれほど多くの正義の人が陥れられてきたか。全部、嫉妬のゆえである。相手が偉大だから嫉妬する――本当に情けない人間たちである。
 「妬みはまた最もいやらしい感情であり、最も愚劣な感情である」(『ベーコン随筆集』渡辺義雄、岩波文庫)と喝破したのは、イギリスの哲学者フランシス・ベーコンであった。
 次は、南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領。先日も連絡をいただいたばかりである。
 一万日の獄中闘争に勝った秘訣を、こう述べておられる。
 「仲間とともにいれば、決心は強化される。わたしたちはたがいに支え合い、たがいに力を与え合った」(『自由への長い道』下、東江一紀訳、日本放送出版会)
 わが学会のうるわしき世界も同じである。おたがいに支えあい、力を与えあっている。だから強い。
 一人だけの世界は、一見、気ままで、いいように思えるかもしれないが、結局、わがままとなり、悪縁に紛動されて、滅びの道に入ってしまうものだ。だから、同志と一緒に進みましょう!
 「幸福の笑み、同苦の涙は、動物の世界にはない。それらは、人間の特権なのである」(Heineich Pestalozzi, ''THE EDUCATION OF MAN,'' translated from German to English by Heinz and Ruth Norden, Philosophical Libary, Inc., New York, 1951)と高らかに宣言したのは、大教育者ペスタロッチである。
 「強い人」とは、どういう人か。フランスの歴史家ミシュレは言う。
 「強者とは人の心を強くしてくれる者たちのことです」(『学生よ』大野一道訳、藤原書店)
 友の心を強くする。人の心を偉大にする――その人が偉大な人間なのである。
 結びに、イギリスのチャーチル首相。第二次世界大戦で、フアシズムとの戦いの最中の言葉である。
 「戦いはいかに激烈であろうとも、勝利は必ずわれらの頭上に輝くだろう」(加瀬英明編『チャーチル名言集』講談社)
 こう確信して戦うのだ!――これがチャーチルの叫びであった。
21  どうか来年も、楽しく、悠然と「勝利の一年」を送っていただきたい。そのことを、おたがいに誓いあい、また重ねて一年間の皆さまのご苦労に最大の感謝を捧げて、私のスピーチを終わりたい。
 この一年、本当にありがとう!(拍手)
 帰られましたら、地域の皆さまに、くれぐれもよろしく、お伝えください。良いお正月をお迎えください!
 (東京牧口記念会館)

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