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日蓮大聖人・池田大作

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モンゴル・シヒホトグ法律大学名誉博士号… 北東アジアに平和の大草原を

2002.11.20 スピーチ(2002.8〜)(池田大作全集第94巻)

前後
2  古代ギリシャの詩人モスキオーンは叫びました。
 「正しいことが害されるならば、私はそれを決して黙ったまま放置しはしない」(「群小詩人断片」逸見喜一郎・戸部順一訳、『ギリシャ悲劇全集』13所収、岩波書店)
 「法の精神」の一つの出発点も、ここにあると言っていいでしょう。
 貴大学の紋章に描かれた天秤は、まさに、この「正義の魂」の象徴です。
 さらに、古代ギリシャを代表する詩人エウリピデスは、こうも謳いあげています。
 「正義のために力を尽し、邪悪な輩はいつでもどこでもこれを懲らしめる」(『ヘカペー』丹下和彦訳、同全集6所収)
 この言葉こそ、わが第二総東京の断固たる「破邪顕正」の決心ではないでしょうか!
 第二総東京は、すべてに勝利しました!
 日本一の「希望の前進」、そして史上最高の「正義の拡大」、本当におめでとう!(拍手)
3  モンゴルの魂――勇敢であれ
 日蓮仏法では「強敵を伏して始て力士をしる」と教えています。
 強い敵を倒してはじめて、その人を「力士」、つまり「力ある人材」と知ることができるという意味です。
 人生は、永遠に戦いです。間断なき闘争です。何があろうとも、断じて負けてはならない。仏法とは、人生を勝つための究極の法です。
 ご存じのとおり、今、日本の大相撲では、大関・朝青龍関をはじめ、モンゴル出身の力士の堂々たる健闘が光っています。私たちも本当に、うれしい!1(拍手)
 そもそも、モンゴルという言葉には、「勇敢なる人」という意義があると言われています。
 先ほど、オュンツェツェグ学長が(授章の辞で)話されたとおり、貴大学が、その名前に掲げておられる「シヒホトグ」も、勇敢なる大英雄です。
4  十三世紀の世界史の巨人チンギス・ハーンは、このシヒホトグを、こう讃嘆しました。
 「汝は、熾烈な戦いにあって、勇壮にラッパを吹き鳴らし、わが軍勢を鼓舞してくれる」「汝は立派なリーダーとして、つねに皆の先頭を行く! わが賢き勇者よ!」(Эренжен Хара-Даван, ″Чингисхан как полковдец и его наследие″, Белграл, 1929)
 一人の勇気ある行動から、すべては始まります。青年部の諸君も、皆に勇気を与え、皆を勝利に導く「勇士」になってください。頼むよ!
 チンギス・ハーンは、この盟友シヒホトグに重大なる使命を託しました。それは、「わが耳となり、わが目となってくれたまえ! そして、窃盗や欺瞞を厳然と裁いてくれたまえ!」(″Сокровенное Сказание о Поколении Монголов″, Хрестоматия по истории CCCP. T. I/Coct. B. Лебелев и лр. Москва, 1940)というのであります。この信頼に応えて、シヒホトグは、裁判官として不滅の業績を残しました。
 いかなる問題においても、公正に真実の証拠を追求し、名裁判を行ったと賞讃されております。さらに、教育にも尽力しました。まことに崇高な偉業です。
 この大法律家、そして大教育者の精神を現代に再生した「英知の殿堂」こそ、貴大学なのです。
5  民主化とともに歩む教育の城
 貴大学は、モンゴルの輝かしい民主化の勝利とともに誕生しました。(一九九一年創立)
 ルンデージャンツァン委員長は、その民主化の星として、絶大なる貢献を果たしてこられました。モンゴルの国会議員に、四期連続して当選しておられます。新憲法の草案にたずさわり、幾多の法律の採択を進めてこられたご功績も、有名であります。さらに、オユンツェツェグ学長とともに、教育の向上にも尽力してこられました。
 こうした偉大なる先生方を中心として、永遠なる民主国家の建設のために、優秀なる法律家を育成しゆく「教育の光のシャトー(城)」こそ、貴大学なのであります。
 私が三度、お会いした貴国のエンフバヤル首相も、貴大学の十周年の記念式典に出席され、その人材輩出の成果を絶讃されております。
 なぜ、貴大学が、かくも大発展を遂げてきたのか。
 学長は昨日(十一月十九日)、創価学園を訪問してくださった折、「労苦を、いとわない分だけ、発展しました」と語られました。万感の思いが伝わってまいります。
 その気高き黄金の労苦に、私たちは大拍手を贈らせていただきたいのです。(大拍手)
 じつは、わが創価大学は、貴国との国交樹立(七二年)に先駆けて、開学当初よリモンゴル語の講座を開設しておりました。私たちは、未来性にあふれた「青年の国」モンゴルを、二十一世紀の希望の電源地として見つめてきたのです。
 きょうは、うれしいことに、貴国からの留学生の皆さんも、この会場に来てくださいました。ありがとうございます。(拍手)
6  青年の天地・第二総東京
 わが第二総東京もまた、青年の活力みなぎる新天地です。「青年のなかの青年」の勢いがあります。
 私は、以前から、第二総東京こそ、最も重要な大拠点になると確信しておりました。第二総東京は、人口の増加とともに、二十三区以上に大発展していくであろう。しかも、若い人々が集まっている。青年の息吹に満ちあふれている。
 ゆえに、私は、創価学会にとって、この地が重大な天地になると見通していたのです。
 かつては、立川文化会館に何度もおじゃまし、ここから前進の指揮を執ったこともありました。
 私は、この地域の発展を祈りながら、機会を見つけては、地域の皆さんのもとへも足を運び、誠実に語りあってきました。
 人知れず、発展のための手を打ってきたのです。
 そして今、第二総東京は、私が思い描いたとおりの「広宣流布の大巨城」となりました。(拍手)
 とくにこの一年、第二総東京の青年部は見事に戦った。
 男子部の史上空前の部員達成、おめでとう! 女子部の日本一の折伏、万歳! 学生部も全国トップ、ご苦労さま! そして、すべてを支えてくださったのは、婦人部の力です。ありがとう!(拍手)
7  狂った嫉妬社会に断固として立ち向かえ
 この十一月は、平和の殉教者である牧口初代会長が、かつての保谷、現在の西東京市にあたる地域の記念の会合に出席されてから、六十周年にあたっております。(昭和十七年〈一九四二年〉十一月十一日、牧口会長が出席して、北多摩支部の「第一回感謝の会」が開かれた)
 軍国主義の暗雲が垂れこめるなか、牧国会長は、ここ多摩地域に何度も何度も足を運び、そして、一人また一人と、正義の座談を重ねてこられました。この牧口会長を、日本の悪法は獄死させたのです。最も正しき人が妬まれ、憎まれ、悪口罵詈され、迫害される。これが、狂った嫉妬社会であります。
 悪に対しては、断固たる姿勢で立ち向かっていかねばならない。許してはならない。そうでなければ、悪は蔓延するばかりであります。
8  昨日、ルンデージャンツァン委員長は、学園生の質問に答え、「人間としての正義感」こそ、良き法律家の条件であると語ってくださいました。
 私は、深く感銘いたしました。人によっては、平凡な答えだと思うかもしれない。しかし、これこそが、「全世界の為政者を悪に向けさせない」要のなかの要であり、根本の条件なのであります。
 そうあってこそ、国民は、安心と幸福の生活を送っていけるのであります。
 古代ギリシャの詩人アガトーンも、獅子吼しておりました。
 「有徳の士を嫉妬する者は滅びるがよい」(前掲「群小詩人断片」)
 さらにまた、フランスの思想家ルソーは鋭く見破っております。
 「真に良識ある人は当然にもうぬばれ屋の嘘/またそれを信ずるばかの嘘を軽蔑します」(「パリゾ氏への書簡詩」松田清訳、『ルソー全集』11所収、白水社)
 卑劣な嘘やデマなどに、断じてだまされてはならない。皆が聡明な声をあげ、悪の根を断つことです。そこにこそ広宣流布があるのです。
9  平和こそ人類の根本の第一歩
 かつて日本軍は、貴国を不当にも侵略しました。傲慢にも、大恩あるアジアの国々に侵略の手を広げ、ついには亡国の坂を転げ落ちていきました。
 「戦争」ではなく「平和」を、「友好」を、あらゆる国に広げていかねばなりません。偏狭な「島国根性」を捨てて、全人類と助けあい、尊敬しあう「大きな心」をもたねばならない。そうでなければ、結局、苦しむのは民衆であります。
 日本軍の引き起こしたノモンハン事件(一九三九年のハルハ川会戦。中国東北部とモンゴル人民共和国の国境にあるノモンハンで、日ソ両軍が衝突。日本軍が大敗した)の戦地の近くに、本年(二〇〇二年)、国交樹立三十周年を記念して、光栄にも「池田平和記念公園」を開園していただきました。
 そこには、私の小説『新・人間革命』の冒頭の一節が刻まれております。
 「平和ほど、尊きものはない。
 平和ほど、幸福なものはない。
 平和こそ、人類の進むべき、根本の第一歩であらねばならない」
 本日は、アフリカのカメルーンからも、わがSGIの誇り高き社会貢献の同志が駆けつけてくださいました。さらに欧州からも、北南米からも、誉れの友が出席してくださっています。ありがとう!1 サンキュー・ソー・マッチ!(拍手)
 このうるわしい和楽の集いにこそ、ユーラシア大陸の中央のモンゴルを要として、世界市民が連帯しゆく″平和の縮図″があると申し上げておきたいのであります。
 私たちは誠実な対話によって、一つ一つ、″平和と友情の種″を、末永くまいていく使命があります。種をまけば、必ず芽が出て、苗となります。その苗を大きく育てていく。そうした作業こそが、広宣流布の運動なのであります。
10  四年前、貴国のバガバンディ大統領は、過密の日程のなか、わざわざ創価大学に来学してくださいました。
 大統領は″弱い正義は、強い不正と同じように危険である″ことを力説しておられます。
 忘れ得ぬ言葉であり、重要な教訓であります。
 正義は、断じて強くあらねばなりません。正義は、断じて勝ち抜かねばなりません。そうでなければ、正義とは言えない。
 私の大好きな貴国の箴言に「勇気は断ち切れない。駿馬の足は疲れない」とあります。
 一度しかない人生、同じ生きるならば、疲れを知らぬ駿馬のごとく、新世紀の栄光の大草原を、勇敢に、堂々と、ともに走り進んでいこうではありませんか!
 終わりに、きょうご臨席のすべての皆さま方のご健勝を心よりお祈り申し上げ、私のスピーチといたします。
 まことに、ありがとうございました。
 (東京牧口記念会館)

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