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日蓮大聖人・池田大作

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第二十一回本部幹部会、全国青年部幹部会… 時は来た! 青年よ歴史の本舞台に躍り出よ

2002.10.11 スピーチ(2002.8〜)(池田大作全集第94巻)

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2  希望について、ダンテ自身が、このように語る場面もある。
 「信仰の基盤の上に大いなる希望が建つのです」(同二十四歌)
 信仰が根本である。そこから、大いなる希望が生まれる。幸福な人生も開いていける。これがダンテの一つの結論であった。
 もちろん、ここでいう信仰とはキリスト教のことだが、彼の『神曲』には、仏法に近い考え方が随所に示されている。
 ダンテは、ある登場人物にこう語らせている。
 「人の力の栄えは空しいものだ!」(同「煉獄編」第十一歌)
 はるか永遠の次元から見れば、今世の栄えなど空しいものだというのである。
 「浮世の名聞はいわば風の一吹き、
 ある時はこちらへ、ある時はあちらへと吹く。
 風向きが変われば名も変わる」(同前)
 世間の評判とか人気なんていうものは、風が、さ―っと、ひと吹きするようなものであり、たいしたことではない、と。
 そのとおりである。ダンテは、こうした人生の本質を鋭く見抜いていた。
3  「難こそ誉れ」「賢者は謗り多し」
 十六世紀の韓国・江原道カンウォンド出身の大学者であり、哲人政治家である李珥イーイ李栗谷イーユルゴク)は、こう叫んだ。
 「是非を論ずるよりもまず和合すべきではありませんか」(李殷直『朝鮮名人伝』明石書店)
 たがいに言いあう前に、まず団結しようと、祖国の人々に呼びかけた言葉である。
 団結こそ力である。団結こそ勝利である。どうか、それを忘れないでいただきたい。
 また十一世紀、「唐宋八大家」の一人として知られる文学者であり、大政治家であった王安石おうあんせき。彼の言葉に、「賢者は謗り多し」(三浦国雄『王安石』、『中国の人と思想』7,集英社)とある。
 賢者ゆえに謗られる。正しいからこそ謗られるのである。
 皆さま方も、信仰ゆえに謗られることがあると思うが、驚くこともなければ、恐れることもない。
 日蓮大聖人は、毎日が嵐のような大難の連続であられた。「開目抄」などに仰せのとおりである。
 (「此の法門を申すに日日・月月・年年に難かさなる」、「山に山をかさね波に波をたたみ難に難を加へ非に非をますべし」など)
 謗られるのは、偉大さの証明である。むしろ名誉だと思っていけばいいのである。
4  文豪トルストイいわく。
 「臆病な味方は、敵よりも恐い。なぜなら、敵に対しては恐れをいだき、味方を当てにするだけだからである」
 信仰者は、臆病であってはいけない。戦時中、創価学会が弾圧を受けたとき、臆病者は次々と退転し、去っていった。これは重大な教訓である。
 臆病な人間は、だれかが何とかしてくれるだろうと、すぐ他人を当てにする。自分は戦わない。
 それどころか、陰で悪事を働いて、仲間に迷惑をかけ、そこにいられなくなって、最後は反逆して出ていくのである。
 これまで、学会を裏切ってきた人間も、その本質は臆病であった。臆病は、人間として最も哀れな姿である。
5  郭沫若かくまつじゃく氏「民衆ほど強いものはない」
 中国の大思想家・郭沫若氏は、周恩来総理の盟友であられ、今も深く尊敬されている一人である。
 郭沫若先生の作品に、こういう一節がある。
 「何事でも、先にやった方が人に勝つ」(『歴史小品』平岡武夫訳、岩波文庫)
 沖縄の皆さんは、全国に先駆けて、見事に戦った。見事に勝った。本当におめでとう!(拍手)
 「連勝沖縄」が日本一になった。「連勝沖縄」が日本の先頭に立っている。
 日本でいちばん早い広宣流布の天地――それが沖縄である。その使命と誇りで、仲良く朗らかに進んでいただきたい。
 もう一つ、郭沫若先生の言葉を紹介させていただきたい。
 「ただ人民の力だけが、もっとも偉大な、こばむことのできない力である」(『日本国民に訴える』平野義太郎訳、三一書房)
 民衆の力ほど偉大なものはない。どうやっても、止められない。だれ人も、抑えられない。これが人民の力であり、民衆の力である。
 その無限の力を、創価学会はもっている。何を恐れることがあろうか。
 いわんや、「南無妙法蓮華経」という永遠不滅の最高の法を持った私たちである。これほど崇高な人生はないし、これほど偉大な団体はないと、強く申し上げたい。(拍手)
6  勇敢な挑戦に真の幸福、偉大な道
 先日、日本人科学者のノーベル賞受賞が相次いだ。たいへんにうれしいことである。
 ノーベル物理学賞は、小柴昌俊・東京大学名誉教授、そしてノーベル化学賞の受賞は、島津製作所に勤める田中耕一氏であった。
 (小柴氏は、宇宙から飛来する素粒子ニュートリノの検出に成功。田中氏は、生命科学や医学の研究に使われる、たんぱく質の画期的な分析方法を開発した)
 暗い世相のなかで、久方ぶりの明るいニュースである。これからの若い研究者や、多くの学校の先生方、そして学生にとっても、大きな励みとなるにちがいない。
 小柴氏が語っている。
 「中学の数学の先生がとてもいい人で、数学が好きになった」(「日本経済新聞」二〇〇二年十月十一日付)
 恩師のことを述べておられたのが、とても印象的だった。
 教師で決まる。人間教育が大事である。
 わが創価学園は、明年、ギリシャで開催される「国際化学オリンピツク」に、初めて参加する日本の代表に選ばれた。(拍手)
 (=二〇〇三年七月、アテネで第三十五五回大会が開催され、世界六十七カ国の高校生が学力を競いあうなか、参加した創価高校生四人は、二人が銅賞、二人が敢闘賞を獲得した。また、三度目として、二〇〇五年七月の第三十七回大会に出場した創価高校生も銅メダルに輝いた)
 世界の舞台に挑む学園生にとっては、何より「勇気」が必要である。今回のノーベル賞を大いなる模範としていただきたい。
7  もう一人の受賞者である田中氏は、こう述べている。
 「本当に苦しんでいる人に言うのも失礼かもしれないが、苦しい時こそチャンス。研究費がたくさんある時もいい研究ができるが、逆に切羽詰まって『これしかない』という時にいいものが生まれる」(「毎日新聞」二千二年十月十日付)
 そのとおりだと思う。自分自身の仕事のために一生懸命、努力した。その積み重ねのなかで、ノーベル賞という大きな結果に行き着いたのである。
 何事も積み重ねが大事である。すぐにポンと偉くなろう、すぐに大金を手に入れようとしても、それは道理に合わない。
 私どもでいえば、一人また一人と、折伏していく。一通また一遍、題目をあげていく。新しい世界へ、一歩一歩、勇敢に挑戦していく――ここに真の幸福がある。偉大な人間の道がある。
8  「広宣流布に東奔西走せよ」と戸田先生
 法華経に「無上宝衆 不求自得(無上の宝衆は 求めざるに自ら得たり)」(信解品、法華経二二四㌻)という有名な言葉がある。
 この上ない宝の集まり――それが偉大な仏の生命である。その宝を、私たちは、信心によって、ほしいままに得ることができる。何という喜びであろうか。
 戸田先生は、かつて青年に、こう言われた。
 「今の僕の心境は、大空に真綿を広げて、その上に大の字になって、ひっくり返っているようなものだ。必要なものは、自然に具わってくる。不求自得だ。
 この功徳は、どこで得たかといえば、二年間の獄中生活だ。しかし、今は、時代が違う。牢獄ヘ行かなくても、その若い生命を、尊い広宣流布の使命に生きて、東奔西走していきなさい」
 これが戸田先生の青年への遺言である。
 戸田先生は戦時中、国家主義と戦い、投獄された。しかし、大難を乗り越えたゆえに、言葉では言い尽くせぬ偉大なる幸福境涯を得たと、つねづね言われた。
 広宣流布に生きぬくならば、その人は、必ず、勝利者になる。最高の幸福者になるのである。
9  ノーベル家から貴重な「銘板」が
 先月(九月十八日)、私は、ノーベル家の中心であられるマイケル・ノーベル博士ご夫妻と親しく語りあった。博士は、「きょう、池田会長は、ノーベル家の″家族″になりました」と、深い友情を寄せてくださった。
 (=ノーベル博士は、ノーベル親族会〈ノーベル・ファミリー・ソサエティー〉の会長で、著名な社会活動家。池田名誉会長は、「世界の子どもたちのためのノーベル平和賞受賞者アピール財団」の国際アピール諮問会議「名誉議長」に就任。ノーベル博士は、同財団の会長でもある)
 また私は、光栄にも、ノーベル博士から、ノーベル家の貴重な宝である「銘板」をいただいた。
 (一九〇七年に制作されたもの。ノーベル賞の創設者アルフレッド・ノーベル氏をはじめ、ノーベル家の四人の横顔が刻まれている。マイケル・ノーベル博士は、「現在のノーベル家にとっては、この銘板が″世界に一枚″とも言えるものです」〔「聖教新聞」二〇〇二年四月十八日付〕と語っている)
 この銘板を、私は、創価学会インタナショナルという「平和」と「文化」と「教育」の団体の代表として拝受した。皆さま方、お一人お一人が受けたのと同じである。どうか、誇りにしていただきたい。(拍手)
10  私の忘れ得ぬ友人であったポーリング博士は、世界でただ一人、単独で二つのノーベル賞を受賞された。
 (=ライナス・ポーリング博士〈一九〇一年〜九四年〉は「現代化学の父」。五四年度のノーベル化学賞、六二年度の平和賞を受賞。博士と名誉会長は四度の語らいを重ね、対談集『「生命の世紀」への探求』を発刊している〈本全集第14巻収録〉)
 博士は本当にいい方であった。人間性の極み、知性の究極とも言える方だった。誠実な深い親交をもつことができた。
 博士のノーベル賞は現在、各地のポーリング展(「ライナス・ポーリングと二十世紀」展)で展示されている。また、かつて、博士のご子息から二つのノーベル賞の複製を贈っていただいた。
 すべて、皆さま方のお子さん、お孫さん、未来部・青年部の友、さらに、創価学園生、創価大学生、アメリカ創価大学生のなかから、やがてノーベル賞に輝くような大科学者、大指導者が陸続と育っていく瑞相であると私は申し上げたい。(拍手)
11  人生の価値は哲学で決まる
 きょうは青年部の幹部会おめでとう!
 関東と沖縄の皆さまも、総会おめでとう!(拍手)
 日蓮大聖人は、青年門下の南条時光に、こう、お示しである。
 「法妙なるが故に人貴し・人貴きが故に所尊し
 「法」が最高にすばらしいゆえに、その法を持つ「人」も貴い。人が貴いゆえに、その人のいる「所」も尊い。これが方程式である。
 若くして、妙法という大哲学に巡り合えたことが、じつは、いかにすばらしいことか。
 どんなに権力をもち、財宝をもち、名声をもったとしても、それだけでは永遠性の幸福は得られない。普遍性の価値を創造することもできない。この一生の幸福すら、わからないものだ。
 人間の真実の価値は、その人が、いかなる哲学、いかなる人生観、社会観、生命観をもっているかで決まっていくのである。
 ポーリング博士のような一流の人は、相手のもつ哲学に着目し、それをすぐに見抜く。反対に、低次元の人は、相手のもつ物質的な富や外面的な姿や形にこだわる。
12  戸田先生は、よくおっしゃっていた。
 「諸君は若い。若いというだけで、どんな人間よりも偉大なのだ。年老いて、たくさんの財産があるよりも、生き生きとした青年であること、これ以上の財産はない。幸福はない。いわんや、妙法という最高の法を受持した諸君は、いかなる高位の人間よりも、はるかに尊貴な『信心の王者』『人生の皇帝』『生命の帝王』なのである」
 青年は、困難に泣く意気地なしであってはならない。悪事や惰性に流される卑怯な人間であってはならない。青年には、全人類を幸福へ導く使命があるからだ。
 人間として、最高無上に尊貴な、光輝に満ちた「生命の帝王」――これが創価の同志であると私は訴えたい。(拍手)
 傲れる権力者も、大金持ちも、有名人も、真実の信仰者と比べれば、問題ではない。
 大聖人は「持たれる法さえ第一ならば、持つ人もまた第一なのである」(御書465㌻、通解)と仰せである。
 妙法に生きゆく皆さまは、世界第一の存在である。無量無辺の福運と最極の使命をもった方々なのである。(拍手)
13  時代は「生命尊厳の哲学」を求める
 今、多くの宗教も衰退し、かつて猛威を振るったイデオロギーも消え失せようとしている。
 政治にも哲学がない。世界のこと、未来のこと、民衆のことを真剣に考える大指導者がいなくなった――そう憂える人は多い。
 人類は今、新しき「生命尊厳の哲学」「平和創造の哲学」を渇望している。
 そういう時代であるがゆえに、いよいよ、創価学会青年部が、「よし! 私たちが世界の歴史の本舞台に躍り出て、偉大な二十一世紀の歴史を築き、つづり残してみせる!」と立つ時が来た。このことを私は訴えたい。(拍手)
 頼みます― チャンスが来たのです!
 女子部は「学会の花」である。今、婦人部と一体になって活動を進め、幸福のスクラムを大きく広げている。
 このほど、新しい「創価女子会館」の建設が決まったことを、きょうの青年部幹部会を記念して発表したい。(拍手)
 計画では、学会本部周辺に建設される予定である(=地上二階、地下二階として二〇〇四年十一月着工)。大いに活用していただきたい。
14  世界に広がる人間主義への共鳴
 きょうは、イタリア、台湾、ブラジル、アメリカ、インドネシア、韓国など、海外十四カ国・地域から、同志が参加してくださっている。
 SGIの人間主義への共鳴は、世界に大きく広がっている。
 イタリア中部の歴史と文化の都市パラッツォーロ・スル・セニオ市では、新しく完成した広場が、「平和の建設者――イケダ、ガンジー、キング広場」と命名され、十二日に記念式典が行われるとうかがった。(拍手)
 台湾の大里だいり市ではきょう(十一日)、太平たいへい市ではあす、私に対する「名誉市民証」の授与式が行われる。
 ブラジル南東部の工業都市コンタージェン市からも今月(十月)、「名誉市民証」が授与される予定である。心から感謝申し上げたい。
 アメリカは、すでに昨年の三倍の弘教を推進し、大きく前進。
 インドネシアでも、正義の連帯が、目覚ましい勢いで拡大している。
 韓国では、この十一月、済州チェジュ島に「韓日友好研修センター」が誕生する。さらに首都ソウルに、まもなく新本部棟が完成する。(=二〇〇三年四月に完成)
15  周総理「団結しうるすべてと団結を」
 先日、日中の国交正常化三十周年の佳節を迎えた。(九月二十九日)
 終わりに、両国の友好に尽力された周恩来総理の言葉を紹介したい。
 「われわれの活動はすべての人民のためのものである」(『周恩来選集』上、森下修一訳、中国書店)
 創価の運動もまた、日本のため、世界のため、また、人民のため、人類のためのものである。
 「たとえ道は険しくとも、闘争はこれまで停止することがなかった」(同前)
 われわれの闘争も、何があろうと停止することはない。ますます意気盛んに前進している。
 「これまで、われわれは団結しうるすべてのものと団結してきた。こんごも、われわれはひきつづきそうするであろう」(同前)
 第一にも、第二にも、大事なのは「団結」である。
 そして「人民の力は無限です」(同前、下)
 創価学会は、民衆の団体である。ゆえに、学会には、無限の力があり、無限の未来がある。
16  寒い季節に入る。どうか健康第一で、風邪などひかないように、リズムある生活を送っていただきたい。
 絶対無事故で、人生を勝利し、長生きしていただきたい。生きて生きて生きぬいていただきたい。皆さまの勝利とご健康とご長寿をお祈りして、私のスピーチとさせていただく。
 海外の皆さまも、お元気で!
 ありがとう!
 (創価国際友好会館)

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