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日蓮大聖人・池田大作

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山梨代表協議会 目覚めた一人の行動が世界を変えていく

2002.9.2 スピーチ(2002.8〜)(池田大作全集第94巻)

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2  「皆を喜ばせる」のが名指導者
 勤行で毎日読誦している方便品には、「悦可衆心(衆の心を悦可せしむ)」(法華経一〇七㌻)とある。
 これは、文上では、釈尊が、爾前の説法で人々を喜ばせ、納得させたことをさす。文底から見れば、御本尊の功徳によって、われわれの生命が喜びに満ちてくることを教えている。
 「皆を喜ばせる」――これは、指導者の要諦である。会合も、わざわざ来てくださった皆さんを喜ばせることだ。そのための準備と心くばりが必要である。
 どんなに苦しい戦いのなかでも、皆に希望を与える。喜びを与える。最後は、晴ればれと、大歓喜に包まれる。そういう名指揮を、伸び伸びと、とっていただきたい。
 人間、いろいろな人がいる。また、やる気に燃え立つ時もあれば、やる気が出ない時もある。
 戸田先生は名教育者であられた。「どんな劣等生も、必ず優等生にしてみせる」――これが先生の大確信であった。皆を、どう励まし、どう勇気づけ、もてる力を最大に輝かせていくか。その人間革命の技術が指導である。指導者は、人間革命の技師なのである。
3  仏法は、一念三千の法理を説いている。必死の祈りは、自分自身を変革し、一家も、社会の宿命も、大きく転換していける。強盛に祈ることだ。祈れば、智慧がわく。生命力が満ちてくる。
 社会で出世しても、激しい変化で転落する人もいる。最後に勝つのが、真の勝利者である。
 木の成長は、毎日見ていてもわからない。しかし、五年、十年たてば、その成長は歴然である。
 それと同じように、目には見えないが、広宣流布のために勇んで行動すれば、必ず最高の生命となり、永遠の幸福を勝ち取っていける。
 これが冥益である。一生のうちに、揺るぎない幸福の人生を築くことができるのである。
4  SGIの理念が「環境開発サミット」で反響
 南アフリカでの「環境開発サミット」(持続可能な開発に関する世界首脳会議)が世界中に反響を広げている。
 各国の首脳や政府関係者、世界のNGO(非政府組織)の代表などが集った国際会議である。
 環境、開発をはじめ、人類の最重要課題を話しあうサミット。その成功のために、SGIは、準備の段階から、さまざまな協力を行ってきた。
 私は、「地球革命への挑戦――持続可能な未来のための教育」と題する環境提言を発表した。(「聖教新聞」二〇〇二年八月二十六日付)
 さらに、「目覚めた一人の人間の行動が、世界を変えていく」とのメッセージを伝える映画「静かなる革命」。これをSGIが支援・協力して制作。サミットの公式公開作品として十数回にわたり上映され、深い感動を広げている。
 スロバキア環境庁主催の「国際環境映画祭」で賞を受けるなど、国際社会から高い評価をいただいている映画である。今回、観賞した方々からの反響も大きい。
 デサイ国連事務次長夫人は、「すばらしい映画です。この映画を、すべての人が見るべきです。一人の人間に、どれだけのことができるのか。この映画は、それを教えてくれます」と述べておられたという。
 またナイジェリア環境NGO連合のオディガ事務局長は、「今回のサミット参加作品で、最もすばらしい映画です。地球の未来へ建設的な姿勢をうながす教材として、私たちの教育活動にも活用したい」と語っておられた。
 SGIが行った教育シンポジウム「地球憲章に学ぶ――持続可能な生活」。これに参加した方々の共感の声も大きかった。
 (=その一人、そ不スコ〈国連教育科学文化機関〉のスッルーシ=ナギー事務局次長代行は、「持続可能な開発のための教育の十年」に重要な視点を与えた池田SGI会長の提言に感銘。二〇〇五年から始まる十年に向けて、ぜひSGIのご協力をいただきたい」と語っている)
5  さらに反響が大きいのは、環境問題を掘りさげた展示「静かなる革命――地球憲章と人間の可能性」である。これはSGIと地球評議会、地球憲章委員会の共催である。
 展示の会場は、サミット本会議場に近い「ウブントゥ村」。各国政府・国連関係機関の展示が並ぶ大きなテントの入り口に位置している。
 サミットの開幕以来、南アフリカのムベキ大統領ご夫妻をはじめ、チョードリ国連事務次長、ロシア・国際大学の総長を務めたヤゴジン博士など、多くの方々が訪れてくださった。
 (=展示は三部構成。「地球憲章」の理念の紹介、自分の地域から変革の波を起こした人々の紹介、池田SGI会長の「自然との対話」の写真と言葉、ガンジーやタゴールなどの箴言の紹介からなる。さらに、映画「静かなる革命」が上映されている)
 ムベキ大統領とは、私も二度、直接語りあい、深い友情を結んできた。
 サミット主催国の大統領として激務を極めるなか、私の「自然との対話」の写真作品を丹念に鑑賞してくださった。
 (鑑賞後、ムベキ大統領は、「池田会長の写真は本当に見事です。池田会長は、あらゆる分野で卓越した方ですね」と感想を語っていた)
 SGIの展示には、オランダのリッペ=ビースターフェルト王女も、足を運ばれた。
 「一人の人間の変革が社会を変革していく」とのSGIの理念の説明を受けると、自然保護運動を推進しておられる王女は「それはまさに、私たちの理念と同じです」と、たいへんに喜ばれた。
 その他、展示を観賞した人々のなかには、案内したSGIメンバーに「この展示を見て、目が開かれました」「私もきょうから立ち上がって頑張ります」等と語って帰る方も大勢いたという。
 南アフリカのSGIのメンパーは、「この環境展のテントは、訪れた人々を蘇生させていく『人間革命』のテントだね」と語りあい、ますます意気軒高に、SGIの理念を世界各国の識者に紹介していかれた。
6  「SGIは平和の文化を推進」
 今回の環境展の成功には、南アフリカのSGIのメンバーの方々の真剣な祈りと、献身的な労苦が光っている。案内するSGIメンバ―の姿が、じつにすがすがしく、立派だという声も、うかがっている。
 現地をはじめ各国の報道機関も、この展示に注目し、取材に訪れているようである。
 SGIの活躍に対し、地球憲章委員会アメリカ代表のロックフェラー教授は、「SGIの貢献はすばらしい。SGIは、じつにオープンな姿勢で、社会貢献のために活発に活動されている。SGIは、私たちにとってたいへんに重要なパートナーです」と語ってくださっている。
 (チョードリ国連事務次長は、「SGIが『平和の文化』を積極的に推進してくださったことに、心から感謝申し上げます。そのリーダーシップを取っててられた池田会長に敬意を表します。これまで、池田会長の『SGIの日』記念提言を読んで強く感じるのは、会長の平和への深い決意と確信です」と述べている)
7  「地球憲章の理念をSGIが体現」
 今回のサミットでSGIは、「地球憲章」の理念を世界の多くの方々に訴えてきた。
 地球憲章は、「環境の世紀」「共生の世紀」を実現するうえで、人類の新たな規範となるべきものである。私たちは、これまでも世界各地のNGOと協力し、「地球憲章」の制定に向けて、草の根の支援を進めてきた。
 私自身、「地球憲章」をめぐってゴルバチョフ元ソ連大統領と語りあったほか、「SGIの日」記念提言や、アメリカの未来学者ヘンダーソン博士との対談でも論じてきた。
 地球憲章の起草作業にあたっては、地球憲章委員会からの依頼を受け、草案へのコメントを送らせていただいた。その内容は「ボストン二十一世紀センター」が発刊した研究書にも掲載されている。
 (同センターは、これまでに地球憲章に関するシリーズ『仏教者から見た地球憲章』『女性から見た地球憲章』『人権、環境法と地球憲章』を発刊)
 サミットでは、いよいよ「地球憲章」が大きな注目を集めている。
 地球憲章の起草作業や、世界各地における意識啓発の活動へのSGIの貢献については、多くの方々から感謝の声をいただいている。
 地球評議会の特別顧問であるハビト博士は、こう述べておられる。
 「SGIは、『地球憲章』運動における非常に価値のあるパートナーです。それは、とくにSGIの方々が、すでに『地球憲章』の価値観に生きておられるからです」
 私たちの行動が、人類のめざすべき″世界市民の哲学″を体現している――そう評価してくださっているのである。
8  遠く振り返れば、古代インドのアショーカ大王は、仏法の生命尊厳の法理にのっとった「ヒューマニズムの政治」を行った。薬草の栽培を行ったほか、街路樹の植樹などを進めたことが知られている。大王は経済格差の是正にも尽力している。
 また大王が、各国へ平和使節を送ったことも有名である。女性を尊重し、「女性のための奉仕者」と呼ばれるポストも新しく設置した。
 人間主義――ここに新世紀の指標がある。
 SGIは、深遠なる生命哲学の旗を掲げ、堅固な民衆の連帯を築いている。平和・文化・教育の「世界市民のネットワーク」を広げている。SGIの大運動は、新たな地球文明の創造への「希望の光明」となっているのである。
 その大いなる拠点こそ、緑豊かな「教育と文化の本陣」第二総東京であり、山梨である。世界のモデルとなり、模範となるスクラムの拡大、そして青年の育成をお願いしたい。
9  「生きることは活動すること」
 オランダの哲学者スピノザは言う。
 「高慢な人間が必然的にねたみ深いこと」「そして彼は、徳について最も多く賞讃されるような人々を最も多く憎み、これらの人々に対する彼の憎しみは愛や親切によって容易に征服されないこと」「そうしたことを我々は容易に了解しうるのである」(『エチカ』畠中尚志訳、岩波文庫)
 正義なればこそ、嫉妬され、迫害される。
 大聖人は仰せである。
 「大身の人(身分や地位などの高い人)から、(圧迫を加えようとして)言い出してきたことに対しては、『ああ、法華経の良いかたきよ! 三千年に一度咲く優曇華の花や、一眼の亀が奇跡的に巡り合える浮木(のように、あいがたい敵)である』と、お考えになって、強くご返事をなされるがよい」(御書1540㌻、通解)
 学会は、また人生は、どこまでも強気でいくことである。
 大聖人は「強い敵兵と戦う時に、こちらが弱い兵を先に向かわせると、強い敵は、ますます力を得る」(御書37㌻、通解)とも仰せになっている。
 さらに、御聖訓には、こうある。
 「良い弟子をもつときには、師弟はともに仏果(成仏の境涯)に至り、悪い弟子をたくわえてしまえば、師弟はともに地獄に堕ちるといわれている。師弟が相違すれば(師匠と弟子の心が違えば)何ごとも成し遂げることはできない」(御書900㌻、通解)
 「檀那(弟子)と師匠とが心を同じくしない祈りは、水の上で火を焚くようなものである(祈りが叶うわけがない)」(御書1151㌻、通解)
 大事なのは、師弟の心が合うことだ。異体同心の祈りである。
 「生きること、それは呼吸することではない。活動することだ」(『エミール』今野一雄訳、岩波文庫)とは、フランスの思想家ルソーの名句である。
 行動が道を開く。今こそ広宣流布の時である。「難攻不落の山梨」を威風堂々と築いていただきたい。
 (山梨研修道場)

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