Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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海外代表協議会 最後に勝つのが真の勝利者

2002.7.27 スピーチ(2001.8〜)(池田大作全集第93巻)

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2  求道の旅に大きな功徳
 「常勝ブラジル十勇士」の皆さま。イギリスの「ライオンハート(師子王の心)グループ」の皆さま。「二十一世紀アメリカ常勝グループ」の皆さま。遠くから、まことにご苦労さまです。
 今回の尊い研修を、私は、重ねて賞讃申し上げたい。
 日蓮大聖人は、「(仏法のために遠い旅をした)道の遠さに、信心の志があらわれるのであろうか」(御書1223㌻、通解)と仰せである。皆さま方の功徳は、あまりにも大きい。
 釈尊の十大弟子で「神通第一」と謳われた有名な目連尊者は、四天下という日月の巡る世界を、髪の毛一本すら切らないほどの短い間に駆け回ることができたと言われている。
 現代的にいうならば、″世界市民″として自在に活躍し、地球をつつむような境涯の広がりをもった存在ともいえようか。
 では、日連は、なぜ、そのような力用を持つことができたのか。大聖人は、それは「過去世に千里もの距離を通って、仏法を聴聞したからである」(同㌻、通解)と仰せである。
 おとぎ話のようでありながら、過去・現在・未来を貫く、厳然たる生命の因果を示しておられる。
 皆さま方の福徳もまた、無量無辺である。仏法には、少しも無駄はないのである。
 今回、お越しくださった皆さま方は、地域にあって、社会にあって、それぞれの国にあって、大切な指導者の方々である。各界の第一級の存在である。さらに、これからの世界広宣流布を担う青年部のリーダーの皆さまを迎えることができ、これほどの喜びはない。
3  皆さまが来られた「八王子」。ここは、「滝山城」「八王子城」があり、古来、要衝の地であった。
 八王子の地名の由来には諸説があるが、ここでは略させていただく。ただ一点、地名のいわれとは別だが、法華経にも、明確に「八王子」という言葉が記されていることを紹介しておきたい。
 それは、法華経の序品に登場する「日月燈明仏」(日光のように、月光のように、また灯明・のように、一切衆生を照らす智慧を具えた仏)のもとにいた「八人の王子」である。
 (「日月燈明仏」という名の仏は二万仏も続いて出現した。その最後の仏は出家前、王であり、八人の王子がいたと説かれている)
4  「偉大なる知性の王子」たちを世界ヘ
 この八人の王子の名は、(一)有意(知恵)(二)善意(善き知恵)(三)無量意(無限の知恵)(四)宝意(宝の知恵)(五)増意(優れた知恵)(六)除疑意(疑念を打ち破る知恵)(七)響意(雄弁の知恵)(八)法意(法の知恵)であり、それぞれ深い意義をもっていた。みずからの威徳を自在に発揮して世界をリードしていく存在といえる。
 仏法では「八」とは「開く義」とも説く。
 まさに学園都市「八王子」を、その名のごとく、「偉大な知性の王子」たる学徒たちが新世紀の指導者と育ち、使命の舞台を世界に開き、陸続と各地各国に羽ばたいていく天地にしたい――そう私は念願している。
5  けさ(二十七日朝)の朝刊に、ここ八王子の心躍るニュースが報道されていた。
 八王子市の櫓原町の北浅川の河床で、三百万から百七十万年前の地層から、古代ゾウの化石が発見されたというのである。
 二本の牙(長さ約一・六メートル)、六本の臼歯をはじめ、ほぼ一体分の全身骨格が埋まっていると見られ、調査団の推定によれば、肩までの高さが二・五メートルから三メートルで、雄の若い成獣と考えられている。
 太古の日本のゾウは、陸続きであった大陸から移り住んできたとされる(ステゴドン属)。今回、八王子で発見された化石は、これまで国内で見つかったものとは違う、珍しい新種の可能性があると見られる。
 つまり――「シンシュウゾウ(肩高三・五メートルから四メートル)」から「アケボノゾウ(肩高約二メートル)」へ進化していく過程の中間的な種ではないかと推察されている。このゾウの愛称を「ハチオウジゾウ」に、との意見があるとも、うかがった。
 ご存じのように、ゾウは仏典にも登場する。
 法華経において、釈尊の脇士である文殊菩薩は獅子に乗り、普賢菩薩に白象に乗っている。
 また、末法の濁った悪世において、この妙法を広宣流布する行者を、魔の軍勢が悩ますようなことがあったならば、普賢菩薩が、六本の牙のある白象に乗って、その前に現れる。そして、その正義の人を必ず護ると説かれている。
 新世紀の指導者の皆さまは、この白象のごとく、正法正義を厳然と護り、同志に安心をあたえ、広宣流布を断固として進めゆく、巨大なる頼もしい力を発揮していただきたい。
6  ポーリング博士は人権蹂躙の嵐に敢然と立ち向かった
 アメリカSGIの皆さまのご尽力で、「ポーリング展」が、アメリカ七都市で開催された。現在、舞台を日本に移し、広島、神戸でも大盛況で、アメリカ、日本を合わせて、八十二万五千人の方々が見学されている。
 この八月からは、ポーリング博士が足跡を刻まれた、平和の原点の地・長崎で行われる。
 (=八月二日から十一日まで長崎新聞文化ホールで開催)
 博士は、二つのノーベル賞(化学賞と平和賞)を受賞した、人類史に輝く巨人であった。
 博士は、悪意の中傷、権力による喚問をはじめ、幾多の迫害にさらされた。そのなかで、一歩も引かずに、平和の信念を叫びぬかれたのである。
 博士ご夫妻の偉大なる勇気が、ポーリング展を訪れる多くの人々に深い感動を広げている。
 東西の冷戦の最中、ポーリング博士は、アメリカ社会に吹き荒れた「赤狩り」(マッカーシズム)という人権蹂躙の嵐に敢然と立ち向かった。
 当時、デマによって、まったく無実の市民が「共産主義者」に仕立てあげられ、社会的に抹殺されていった。
 投獄されたり、自殺に追いこまれた場合も少なくなかった。
 今日、世界的な隆盛を誇るハリウッドの映画界でも、何百人もの逸材が追放され、犠牲となった。かの喜劇王チャップリンも、その標的となり、いわれなき中傷や批判と決然と闘ったことは有名である。
 アメリカ社会に吹き荒れた、悪夢のような人権蹂躙――。人々はどのように断ち切り、乗り越えていったのか。
 私の友人であるハワイ大学のアンソニー・マーセラ教授(心理学)は、かつて、次のように洞察されていた。
 「善良な人々が一人、また一人と勇気ある発言に立ち上がっていったのです」
 「少数とはいえ、市民が立ち上がり、(迫害する国会議員の)マッカーシーに対して、言いました――『言いたいことは何でも言いたまえ。しかし私には真実を語る義務がある。あなたのやっていることこそ、悪魔の行為であり、破壊行為だ。たんに無実の人々を傷つけているだけだ』と」
 そして、この勇気ある市民の声から、「正義の味方が、最後に勝利を収めていく」爽快な逆転劇が始まっていったのである。
 教授は、さらに、こう分析されている。
 「悪を行う人間は、嫉妬の心に支配されており、他人の成功を許せないのです。だれかが成功すると、その代償を支払え、と言わんばかりに、他人を傷つけ憎むのです」
 「大切なのは、悪魔の行動が起こされた時、その唯一の″解毒剤″は、善が立ち上がり、悪魔には絶対に破壊されないぞ、と宣言することです」
 まことに重要な主張である。ポーリング博士ご夫妻の人生も、そうであられた。創価学会の精神もまた同じである。
7  マーセラ教授は、創価学会に対する、いわれなき誹謗についても論究されている。
 「創価学会に対して嫉妬し、焼きもちに凝り固まった閉ざされた心をもつ人もいるでしょう。しかし最後には、人々は事実を理解するでしょう。そして中傷する者に対して言うでしょう。
 『あなたはウソつきの予言者だ。創価学会を恐れろ、とさんざん言っていたが、創価学会の業績を見たまえ。難民を援助し、平和に貢献し、環境の保護に戦っている。だれもが力を尽くさなくて
 はならない課題に、創価学会は率先して挑戦しているではないか。それをなぜ、あなたは悪い団体だと言うのか』と」
 世界の一流の知性と良識は、真実を正しく見通す透徹した眼をもっている。真実を恐れなく主張する勇気の心をもっておられる。
8  「心の革命」なくして人類の未来なし
 三十年前、ロンドンのご自宅で語りあった、トインビー博士は述べておられた。
 「人類の生存に対する現代の脅威は、人間一人一人の心の中の革命的な変革によってのみ、取り除くことができるものです」
 「この心の変革も、困難な新しい理想を実践に移すに必要な意志の力を生み出すためには、どうしても宗教によって啓発されたものでなければならないのです」(『二十一世紀への対話』。本全集第3巻収録)
 だからこそ博士は、創価の人間革命運動に、人類の大いなる希望を託してくださったのである。
9  大聖人は、仰せである。
 「其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ
 各国で広宣流布を進めてくださるのは、皆さましかいない。どうか、わが生命に、勇気と希望と福運の輝きをみなぎらせながら、心も軽やかに、帰国していただきたい。
 お帰りになったら、わが同志に、くれぐれもよろしくお伝えください。
 ブラジルの女性の作家グラシア・マットスの言葉に、「最も広い地平線とは希望である」とある。
 信心とは、永遠不滅の「希望」の源泉である。
 「それぞれの地の全同志に、限りない勝利の希望を!」、そして「それぞれの国土に、限りない栄光の希望を!」と申し上げ、私の記念のスピーチとさせていただく。
 ムイト・オブリガード! サンキュー・ベリー・マッチ!(ボルトガル語と英語で「本当にありがとう!」)
 (東京牧口記念会館)

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