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日蓮大聖人・池田大作

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第十九回本部幹部会、第二回信越総会 青年は勇気で勝て 気迫で勝て 言論で勝て

2002.7.25 スピーチ(2001.8〜)(池田大作全集第93巻)

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2  牧口先生、獄中の崇高なる最期
 先日、牧口先生の三男・洋三さんの夫人である金子貞子さんが、牧口先生の最期の様子について、貴重な証言をしてくださった。きょうは、歴史に残す意味でも、そのお話を皆さんに紹介させていただきたい。
 貞子さんのご主人の洋三さんは、昭和十九年八月に戦死された。残された貞子さんは、当時、獄中におられた義父の牧口先生を最後までお世話された。先生の精神を受け継いで、今日まで、しっかりと信心を貫いてこられた立派な方である。
 貞子さんは、こう語っておられる。
 「じつは、牧口先生が亡くなられた(昭和十九年の)十一月十八日の前日、東京拘置所から、先生の危篤を知らせる電報がまいりました。その電報は、夕方、薄暗くなったころに届きました。私は、すぐに拘置所に向かいました」
 (この日、貞子さんは、牧口先生への差し入れの準備のため、疎開先から目自の先生の自宅に戻っていて、この電報を受け取った)
 「拘置所に着くと、看守の方が、その日の牧口先生の様子を語ってくださいました。すでに真っ暗になっていたので、おそらく、時間は、午後七時くらいではなかったでしょうか」
 (看守は、重体の牧口先生に、再三にわたって病監に移ることを勧めたが、先生は頑として拒否し続けていた。ようやく、この日、牧口先生は、病監に移りたい旨を申し出て、午後三時ごろ、歩いて病監に移動した。七十三歳の高齢の体は、長期の独房生活で、すでに極限の状態にあったのである)
 「看守の方によると、病監に移るとき、看守が『おぶってさしあげましょう』と言うと、牧口先生は『とんでもありません。私は歩いて行きます』と、ふらふら、途中、何回か転びそうになりながらも、みずから歩いて病監に行き、そこで眠りにつかれたそうです」
 貞子さんは、病監で眠っている牧口先生と対面された。
 「私は、何回か『おとうさん』と呼びかけましたが、返事はありませんでした。私は心配になって、足袋や下着をそっと確認したところ、いずれも、きれいなものに着替えていらっしゃったので、牧口先生は、覚悟のうえで、ここにいらっしゃったのだと思いました。
 枕の下には、きちんと手紙が重ねて置いてありました。ご立派なその姿を通して、いろいろと教えていただいたことが忘れられません」(この日、貞子さんは終電車で自宅に戻った。そして、翌十八日の午前六時ごろ、牧口先生は静かに息を引き取り、偉大なる生涯の幕を閉じた)
 「拘置所から、日自の自宅まで、牧口先生のご遺体を背負って歩いてきた方が、『背中がとてもあたたかかった。そして柔らかかった』と言ったことを、たいへん印象深く覚えています」
3  師の正義を証明するのが弟子
 これが、創価の父である牧口先生の崇高なる殉教のお姿である。牧口先生は、傲慢な国家権力によって、非道にも獄死させられた。
 戸田先生は、そのことを、片時も忘れられなかった。そして、その話になると、いつも涙し、怒りに全身を震わせて、「おれは絶対に師の仇を討つ。師の正義を証明してみせる。それが弟子ではないか!」と叫ばれたのであった。
 私も、牧口先生、戸田先生のおっしゃったことは、どんなことも実現してきた。そして、厳然と師匠の仇を討ち、事実のうえで、師匠の正義を世界に宣揚してきた。それが、本当の「師弟の道」であり、「人間の道」であると確信するからである。(拍手)
 貞子さんは、こうも語ってくださった。
 「ともかく、牧口先生は『自分は小さいときから、学校教育にはたいへんに苦労した。だから行きたくても行けない人のために、奨学金を出してあげて、大学まで行けるようにしてあげたい』と言っていました。
 ですから、牧口記念教育基金会が奨学金制度を始めたときには、『おとうさんのおっしゃったとおりの制度ができた』と感動しました」
 「牧口先生が念願されていた、幼稚園から創価大学まで、それもアメリカ創価大学まで、池田先生がつくってくださったことが、うれしくて、うれしくて、こんなにうれしいことはありません」
 創価教育にたずさわる、すべての方々への励ましとして、また貴重な歴史の記録として、紹介させていただいた。
4  「偉大な智慧の力で人々を啓蒙」
 さて、「中国学術界の至宝」と讃えられる一人に、饒宗頥じょうそうい先生がおられる。当代を代表する大芸術家であり、香港中文大学の名誉教授でもあられる。八十五歳になられる今も、なお壮健で、研究や講演を続けておられると、うかがっている。
 この饒先生から、このほど、五点の書画の大作をお贈りいただいた。いずれも、かけがえのない芸術の宝である。
 その一点のお皿には、「非慧莫啓ひえばくけい」――慧に非ずんば、啓くこと莫し、と記されている。
 この四文字について、饒先生は、「これは『智慧によってしか、導き啓くことはできない』という意味です。池田先生の実践は、偉大な智慧の力をもって、人々を啓蒙するものであり、それにふさわしい文字を選びました」と語ってくださっている。
 さらに、饒先生は、私たちが毎日読誦している法華経寿量品第十六の「自我偈」の次の結びの経文を、墨痕鮮やかに揮毫してくださった。
 「毎自作是念 以何令衆生 得入無上道 速成就仏身」(法華経四九三㌻)(私〈釈尊〉は、つねに、このことを念じている。すなわち、どのようにすれば、衆生を、無上の道に入らせ、速やかに仏身を成就させることができるだろうか、と)
 じつに壮観な、縦三メートル、横六メートルの大作である。
 饒先生は、この書に添えて、こう言葉を寄せてくださった。
 「池田先生の謳われる詩、写される写真、そして、ご行動のすべてが、民衆に希望と勇気をあたえ、無上道の境涯へと導くものであります。まさに、池田先生は、この自我偈の経文どおりと思い、私は渾身の力をこめて、したためました」
 私のことになって恐縮だが、すべては、仏法を基調としたSGIの「人間主義の運動」に対する共感の証であり、その大いなる功徳は、生々世々、広宣流布に進む皆さま方の人生を飾っていくことを確信していただきたい。(拍手)
5  イギリスの青春詩人、バイロンは謳った。
 「知識は幸福にあらず」(「マンフレッド」、『バイロン詩集』〈世界詩人選4〉阿部知二訳、小沢書店)
 この言葉は正しい。では、幸福,はどこにあるのか。
 ″学歴があるから、地位や名声があるから、幸福″とはいえない。
 「知識」をよき方向へ生かしていく「智慧」を持つ人。その人に、幸福は輝く。
 そして、「最高の智慧」が仏法である。仏法は「幸福の宝」なのである。
6  大聖人は「弘教こそ今世の最高の思い出」と
 全国の青年部の折伏の成果は、あっぱれであった。(拍手)
 さらに、先日まで学生部が取り組んだ「日本と韓国の学生友好展」も、全国百五十会場で開催され、来場者は十五万人という歴史的な展示会となった。(韓国では百二十会場で五万人が見学)
 韓国の識者の方も感銘しておられた。
 ともあれ、二十一世紀のわが青年部は、誉れの初陣を、世界一の拡大で勝ち飾った。
 青年部の活躍によって、創価学会の真実の姿が現れはじめた。創立満百年――二〇三〇年までの完璧な道ができあがった。私は本当にうれしい。
 いよいよ「青年部の時代」に入った。青年部の諸君、よろしく頼みます!(拍手)
 日蓮大聖人は仰せである。
 「どこまでも一心に、南無妙法蓮華経と自分も唱え、人にも勧めていく。まさにそれだけが、人間界に生まれてきた今世の思い出となるのである」(御書467㌻、通解)
 広宣流布の行動――ここにしか、今世の人生の最高無上の思い出はない。
 たとえばお金をいっぱいためた。しかし、盗まれたり瞬時にして失い、地獄の苦しみを受ける人もいる。親もいつかは亡くなる。自分だって、いつかは死ぬ。これはだれ人も逃れられない。
 生々世々、三世にわたって崩れない、最高無上の幸福は、どこにあるのか――。
 それを解き明かそうとして、何千何万という哲学者が挑んだ。幾多の宗教が生まれた。
 結論して言えば、「妙法」にしか答えはない。
 この妙法を説き明かしたのが釈尊であり、宇宙の根本法を明示してくださったのが御本仏日蓮大聖人であられる。
 私たちは、この妙法を知った。妙法を持ち、実践している。
 「正義のなかの正義」の哲学に生きゆく皆さんである。「青春の帝王」の冠をいただく人なのである。
7  青春詩人バイロンは、勇壮に謳った。
 「良心はといえば、/ただ鍛えに鍛えぬくがいい、/なぜなら、訓練中の競走者か/ボクサーみたいに、試練を/潜りぬければ、苦労なしに/大きな仕事果たそうから」(『ドン・ジュアン』下、小川和夫訳、冨山房)
 「良心」を、「正義の心」を鍛えに鍛えよ! 試練を乗り越えてこそ、大事をなすことができるのだ――と。
 「良心」の究極が「信心」である。信心を鍛えぬく真髄の修行が「折伏行」である。「広宣流布の戦い」である。
 「強敵を倒してはじめて、その人を『力士(力のある士こと知ることができる」(御書957㌻、通解)とは、大聖人の御聖訓である。人生万般に通じる道理である。
 青年は、臆病であったり、負けてばかりいるような意気地なしであっては断じてならない。
 あらゆる世界で、人生と社会の戦場で、断固として勝って勝って勝ち続けて、「常勝王」となっていただきたい。
 そこに信心の目的がある。信心の証がある。
8  革命児よ、一人立て!
 先ほども申し上げた詩人のバイロン。彼は、イギリスの若き国会議員でもあった。
 苦しむ庶民を守るために、圧政と戦った。私利私欲の悪党の政治屋に対しては、血が煮えたぎるほど激怒して、厳しく悪を攻めぬいていったのである。
 尊貴な人間の振る舞いとは何か。バイロンは言った。
 「不法な行為の仇を討ち」「卑劣な者を叩きのめす」(前掲『ドン・ジュアン』下)
 学会精神もまた、同じである。
 広宣流布を壊す邪悪な人間、仏子をいじめる卑劣の人間とは断じて戦う。断じて許さない。
 これが牧口先生の精神である。戸田先生の精神である。私の精神である。
 私は、この精神で、ただ一人、戦ってきた。牧口先生、戸田先生のため、純真な同志のために、あらゆる非難・中傷に耐え、「世界第一の創価学会」を築いてきた。
 広宣流布のために死にものぐるいで戦ってこそ、歴史に誉れの名が残る。大聖人が讃嘆してくださる。遊び半分では、惨めな滅びの道である。そのことを後世のために言い残しておきたい。
 ともあれ、バイロンという一人の青年詩人の若き大情熱の叫びと闘争が、十九世紀のヨーロッパの民衆運動を力強く鼓舞していったことは、不滅の歴史である。
 広宣流布も、一人で決まる。一人の革命児がいればよい。
 「青年が一人立つ!」
 この広宣流布の方程式を永遠に忘れてはならない。「青年よ続け!」と申し上げたい。
9  バイロンは、こうも叫ぶ。
 「ただ一つの/精神の気迫が、大衆の/気迫に一つの方向を/取らしめる」(同前)
 一人の精神と気迫が、全部、民衆の気迫へとつながっていく。これが本当の言論である。人間を変え、社会を変え、世界を変えていく。
 私は、学会は、これを実行してきた。これが青年部の魂である。
 この言論の魂を、永遠に継承してもらいたい。このことを、私は遺言として、青年部の諸君に申し上げておきたい。
 信心とは「勇気」である。究極の勇気であり、殉教の勇気である。
 ナイチンゲールも″敵に対しては臆病であってはいけない。何があろうと一歩も退いてはならない″との信念をもっていた。
 勇気に生きる人こそ幸福である。その名は永遠に輝いていく。
10  行学の二道を勇んで進め!
 九月一日には、伝統の「青年部教学試験二級」が実施される。有意義な「実践の教学」の錬磨をお願いしたい。
 ここで、信越の天地で日蓮大聖人が記された「諸法実相抄」の一節を青年部に贈りたい。同抄は今回の試験の教材でもある。
 「行学の二道をはげみ候べし、行学たへなば仏法はあるべからず、我もいたし人をも教化候へ、行学は信心よりをこるべく候、力あらば一文一句なりともかたらせ給うべし
 行(実践修行)と学(教えの研鑽)を根本に、勇んで前進することである。ただ漫然と組織の中で動くのではない。自身も実践し、人にも教え示し、大聖人の仰せのとおり、広宣流布に進むことである。たとえ口べたでもいい。自分らしく、つねに語っていくことだ。そして、悪に対しては、相手がどのような立場であれ、黙っていてはいけない。
 強盛に祈り、行動していけば、必ず結果が出る。仏法の因果の法則は峻厳である。大事なのは、自分自身が強くなることである。
11  信越の勝利、勝利の大総会おめでとう!(拍手)
 全国模範の「聖教新聞」の拡大も本当にご苦労さま。信越は立ち上がった。今、日本一である。たいへんな環境のなかで、粘り強く戦った分、功徳も大きい。
 信越男子部の「正義の拡大」も日本一!
 信越女子部の「花のスクラム」も日本一!
 信越の男女学生部も史上最大の連帯を達成した。
 長野も勝った。新潟も勝った。永久に歴史に残る勝利である。わが学会が、残酷極まりなく、いじめぬかれてきた十日町の、勇気ある、わが友の活躍をはじめ、信越の大勝利を私たちは讃えたい。(拍手)
12  信越の門下が大聖人を外護
 弘安元年(一二七八年)の七月、大聖人は″信越の女性リーダー″である千日尼にお手紙を送られた。
 「極楽寺の良寛らは、武蔵前司殿(北条宣時)に願って、偽の公文書を申し受けて、弟子に持たせて、日蓮を迫害しようとしたので、どのようにしても命が助かるはずはなかった。
 しかし、天のお計らいは別として、地頭という地頭、念仏者という念仏者らが日蓮の庵室に昼夜、見張りを立て、通う人を妨げようとしたのに、あなたは夫の阿仏房に、(ご飯などを入れた)櫃を背負わせて、夜中に、たびたび訪ねてくださった。そのことを、いつの世に忘れることができようか。ただ日蓮の亡き慈母が佐渡の国に生まれ変わって守ってくださったのであろうか」(御書1313㌻、通解)
 いざという時に強いのは女性である。誠実なのは女性である。
 夫人の信心の力で、夫も何倍もの力を発揮していける。
 佐渡流罪のさなか、「日蓮に従う者は、国から追放する。牢に入れる」などのデマの謀略文書が三度も捏造された。今でいえば、公文書の偽造である。
 嘘やデマによる攻撃――悪の勢力が権力と結託して迫害する方程式は、今も同じである。
 そうした卑劣な恫喝や陰謀にも恐れなく、勇敢に大聖人をお守りしたのが、信越の門下であった。(拍手)
 (阿仏房・千日尼夫妻は、人目をしのんで大聖人に食事などを運んだことで、住居を追われ、罰金に科せられ、屋敷を取り上げられるまでの難を受けながらも、信心を貫いた)
 虚栄の人間は信用できない。信頼できるのは庶民である。庶民こそもっとも勇気がある。
 創価学会は庶民の団体だ。だから崩れない。会員を大事にすることである。
 大聖人は、御自身の「一代の修行と功徳」は、ひとえに名もなき信越の弟子たちのおかげであるとも、深く感謝されていたのである。
 (「日蓮一代の行功はひとえに左衛門殿等遊し候処なり」。遠藤左衛門尉は佐渡流罪中の大聖人を外護したと推察され、阿仏房の一族ではないかとの説がある)
 思えば、大聖人の佐渡流罪(一二七一年)から満六百年後の節目に、「創価の父」牧口先生は信越に生誕された(一八七一年)。その意義は、まことに深い。また、うれしいことである。
13  いつの世にも、陰謀家、臆病者、卑怯者はいる。信念なき愚か者もいる。大聖人の時代も同じであった。そうした輩は、清純な学会の世界に必要ない――戸田先生はつねに厳しくおっしゃっていた。
 スペインの作家、セルバンテスは書いた。
 「悪人というものは往々にして忘恩の徒」「地獄は恩知らずでいっぱいだ」(『ドン・キホーテ』牛島信明訳、岩波文庫)
 同じくスペインの哲学者、オルテガの言葉。
 「最も重大な人間の欠点は忘恩である」(「観念と信念」桑名一博訳、『オルテガ著作集』8所収、白水社)
 西洋でも明快である。
 忘恩の徒を見おろしながら、私たちは、楽しく、深く、強い連帯で進んでまいりたい。
14  SGI各国に信頼と勝利の見事な実証
 きょうは、二十カ国・地域の海外の代表が参加されている。
 ブラジルからは、壮年部の代表十人が、研修のため来日してくださった。遠いところ、ありがとう!(拍手)
 この″十勇士″の方々は、広布の活動においても、社会においても、見事な実証を示してこられた。ブラジルSGIの大発展の「黄金の柱」になっている。
 現在、ブラジルで牧口初代会長の創価教育学説に基づいた「牧口教育プロジェクト」の実施校は、百五十校を数える。そして、ブラジル社会から三代の会長などに贈られた各種の顕彰は、じつに二百四十を超える。
 すべて、ブラジルの同志の絶大なる信頼と勝利の実証である。この席を借りて、皆さまに深く御礼申し上げたい。(拍手)
15  トインビー博士との対談から三十周年
 イギリスの皆さまも、ようこそ!
 アイム・グラッド・トゥ・ミ―卜・ユー(お会いできてうれしいです)!
 きょう、お集まりの皆さまは、ヨーロッパ広宣流布の要であり、宝の方々である。
 今年は、トインビー博士と私が対談(一九七一年)してから三十周年。博士と散歩した、懐かしいホーランド公園で行われた記念の式典では、多くの来賓が、私たちの対談集の世界的な広がりを喜んでくださった。(本年五月、ロンドンで)
 博士との対談集『二十一世紀への対話』(本全集第3巻収録)は現在、世界の二十四言語で発刊されている。
 また私は、創立五百五十年のに続を計るグラスゴー大学から、栄えある名誉博士号の授与式に招かれ、八年前の六月、スコットランドを訪問した。それはそれは、荘厳な儀式であった。このスコットランド本部も、私の訪問以来、八年間で三倍以上に拡大したのである。(拍手)
 ロンドン郊外のタプロー・コート総合文化センターも、地域の友人から親しまれ、誇りとされているとうかがっている。
 愛するイギリスの、さらなる栄光を祈りたい。
16  世界広宣流布の「起点」であり、「原点」であるアメリカからも、そうそうたる指導者の皆さまが、はせ参じてくださった。新世紀のアメリカを担う、大切な大切なリーダーの方々である。
 昨年の同時多発テロ事件の苦難を乗り越え、アメリカSGIは、平和と希望の大前進を開始した。
 アメリカ創価大学も、「教育の世紀」の一番星のごとく、爆々と輝き始めた。アメリカ創大は今月、地元にある南オレンジ郡商工会議所から表彰された。(今月十日、地域への貢献などを讃え、「ビジネス・オブ・ザ・イヤー賞」が贈られた)
 きょうは、アメリカ創大の英才の代表も出席してくださっている。猛勉強、ご苦労さま!(拍手)
 アメリカの大地に、創価教育の「種」は植えられた。いよいよ、これからが本番だ。二十年先が楽しみである。この地から、世界平和に貢献しゆく大人材が陸続と躍り出ることを、私は信じ、期待している。
17  台湾SGIは、台湾内政部の選出による「社会優良団体賞」を十回連続で受賞した。(拍手)
 類例のない快挙であり、私は本当にうれしい。地域社会から抜群の信頼を勝ち得ながら、台湾SGIは大発展を続けている。台湾の同志の皆さまは、世界広布の歴史を大きく切り開かれた。大勝利の人生を歩んでおられる。(拍手)
18  また韓国SGIは、いよいよ十一月には、地上十三階、地下五階建ての堂々たる新本部が完成する予定である。おめでとう!(=新本部は二〇〇三年四月に完成。開館式には池田SGI会長がメッセージを寄せた)
 これまで私は、「韓日友好」を願い、国立済州チェジュ大学の前総長である趙文富チョウー・ムンブ博士と対談を続けてきた。その対談集も、本年、発刊されることになっている。韓国の方との対談集は、これが初めてである。(=対談集は『希望の世紀へ 宝の架け橋――韓日の万代友好を求めて』とのタイトルで二〇〇二年十一月に徳間書店から発刊された。その後、二冊目の対談集が『文化と人間の宝の橋――韓日の万代友好のために』と題し、〇三年九月より〇四年七月まで教育月刊誌「灯台」誌上で連載された)
 趙博士は、韓国の模範の教育者として尊敬される指導者である。今回の来日中、こう語ってくださった。
 「池田先生は、韓国のことを一貫して『文化大恩の国』と讃えてくださいました。だからこそ、日本人のみならず、韓国人も、相手の国の人に感謝できる『価値創造の人間』へ成長する方途に、気づくことができたのです。
 また池田先生は、日本人であるとか、韓国人であるとかに関係なく、全人類が、そのような価値創造の人間になることを切に願っておられる。これが私の結論となったのです」
 ご寛大な、深い理解に感謝を申し上げたい。また博士は、真剣な面もちで語られていた。
 「池田先生のお弟子さんたちも、まだまだ池田先生の理想と思想に対する、本当の意味での理解が足りません。私たちは、池田先生から学び、そのことを現実社会で実現していく使命があるはずです。ところが、私たちは、先生についていくことさえできないでいるのです」
 韓国の大教育者の言であり、ありのままに紹介させていただいた。
 創価グロリア吹奏楽団の皆さん、先ほどはすばらしい演奏をありがとう!
 この八月、ソウルの国立劇場で行われる「韓日親善吹奏楽演奏大会」に、晴れの出場が決まっている。元気で行ってきてください!(=八月十八日、第一回「韓日親善吹奏楽演奏大会」に出演。″今大会最高の演奏″とたたえられた)
19  いざ前進―百八十三カ国の同志とともに
 ちょうど五十年前、恩師戸田先生は、東洋広布、世界広布の大願を和歌に詠まれた。
  いざ往かん
    月氏の果まで
      妙法を
    拡むる旅に
      心勇みて
 じつは、この月氏(インド)を越えた二つの国にも、このほど、新たに創価の同志が誕生した。
 一つは、インド南西のインド洋に浮かぶ「モルディブ共和国」である。「モルディブ」の名は「花輪」を意味する古代語に由来するとも言われる。約千二百の島々からなる、サンゴ礁の美しい国である。
 もう一つは、南アフリカの山岳地域に位置する「レソト王国」である。この国は「アフリカのスイス」「天空の王国」とも言われている。
 これで、わがSGIは、世界百八十三カ国・地域へと大前進したのである。(拍手)
 今、世界の国と地域の数は、約二百四十。したがって、全世界の約七七パーセント、地球の四分の三以上の国々にまで、SGIの大連帯は広がったのである。
 嫉妬に狂った日顕宗を悠々と見おろして、堂々たる「世界の創価学会」ができあがった。SGIは、「黄金の第二期」に入ったと申し上げたい。(拍手)
 今回の新しい二つの国でも、尊い妙法の「一粒種」は、いずれも婦人部員である。女性が活躍しているのである。
20  今こそ万年の広宣流布の基盤を
 日蓮大聖人は仰せである。
 「前代未聞の大法が、この国に流布して、インド、中国、さらに全世界の一切の人々が仏に成ることは、まことにありがたいことである」(御書1283㌻、通解)
 人類が長い間、夢に見てきた平和世界の実現。広宣流布は、そのための戦いである。大聖人の御遺命である。その道を、その基盤を今、私たちが、つくっている。
 私たちの時代に盤石な基盤を築けば、末法万年の広宣流布は、必ず実現されていく。その戦いに参加する功徳はあまりにも大きい。
 大聖人は、こうも仰せである。
 「梵天や帝釈等のお計らいとして、日本国の人々が一度に(正法を)信じることがあるであろう。その時、『私も、もとから信じていた』『私も信じていた』という人が大勢、出てくるであろう」(御書1539㌻、通解)
 広宣流布は必ずできるとの大聖人の御確信である。
 広宣流布の時になって″もっと早く信心しておけば良かった″と後悔する――そういう人がいては、かわいそうである。
21  最後に、中国の文豪・巴金ぱきん氏の言葉を紹介したい。私は氏と四度お会いし、親しく語りあった。
 「『信仰心がないこと』、『理想がないこと』ぐらい悲しむべきことは、ありはしないのだ!」(『探索集』石上韶訳、筑摩書房)
 私たちには信仰がある。理想がある。真の幸福の人生を歩んでいるのである。
 今は、広宣流布の絶好のチャンスの時である。戦いましょう!
 それでは皆さん、お元気で! ますます健康になり、福運を積む。すがすがしい境涯をつくる。そういう有意義な夏休みを過ごしていただきたい。
 (東京牧口記念会館)

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