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日蓮大聖人・池田大作

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第三回全国青年部幹部会、オレゴン州立大… 青年は「新しい光」広宣の「勝利の劇」を

2002.4.13 スピーチ(2001.8〜)(池田大作全集第93巻)

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2  ノーベル家から記念の銘板
 また、このほど私は、ノーベル賞の″源流″であるノーベル家から、貴重な「銘板」をいただいた。現在の「ノーベル親族会」(ノーベル・ファミリー・ソサエティー)の会長であり、高名な社会活動家であるマイケル・ノーベル博士が、贈ってくださったものである。(拍手)
 この銘板は、百年ほど前に制作された。表には、ノーベル賞を創設した化学者アルフレッド・ノーベル氏をはじめ、ノーベル家の四人の肖像が刻まれている。
 マイケル・ノーベル博士によれば、銘板は複数作製されたが、ロシア革命などの激動のなかで失われ、現在のノーベル家にとっては、これが今日まで継承された″唯一″と言えるものという。
 銘板は、アメリカの名門モアハウス大学の記念式典にさいして、博士が直接、私の長男に手渡してくださった。
 (同式典〈二〇〇二年四月七日〉で、ノーベル博士に同大学キング国際チャペル等から「ガンジー・キング・イケダ社会貢献賞」、池田SGI会長に同大学「名誉人文学博士号」が授与された。銘板は、式典の前に、SGI会長の名代の池田博正副会長に贈られた)
 その折、博士は、「ノーベル家と池田家の出会いが、ついに実現しました。私どもと池田会長の絆の証として、そしてまた、池田会長の偉大な業績に対する尊敬をこめて、ぜひ、このノーベル家記念の銘板を、お受け取りいただきたい」と語っておられたそうである。
 「世界の知性」が、わが創価学会に深い信頼を寄せてくださっている。その一つの象徴として、青年部の皆さまに、ありのままに紹介させていただいた。(拍手)
 将来、後継の皆さま方のなかから、そしてまた、皆さま方のお子さんや、お孫さんのなかから、ノーベル賞を受賞するような、世界的な大学者や指導者が、陸続と誕生することを、私は確信している。
 どうか、「世界第一の尊貴な使命と福運と栄光の青春を、われらは歩む!」と誇りに燃えて、わが人生を、胸を張って前進していただきたい!
3  「新しき世紀の大地」から「新しき息吹の青年たち」が
 平和を願ってやまなかった、アメリカの若き教育思想家ボーンは、語っている。
 「青春の哲学のいっさいは、思いきってやってみろ! という言葉に要約される」(「青春」井上謙治訳、『社会的批評』所収、研究社出版)
 そのとおりである。
 「青春の命」は、正義のために、思いきって行動を開始する勇気にこそある。
 さらにまた、この真摯な教育思想家は、「詭弁やいい抜けを嫌い、あるがままのものを主張する青年の抑えがたい活動がなかったら、社会はまったく衰弱して滅びてしまうであろう」(同前)とも強く訴えている。ウソを許さぬ、青年の熱血の叫びこそ、健全な社会を築く「力」であるからだ。
 まさに、わが青年部の勇敢なる姿そのものである。皆さんの活躍を、私は心から讃えたい。
 今、「新しき世紀の大地」から、「新しき息吹の青年たち」が勇み立ち、きら星のごとく、光り始めた。そう私は直感し、期待している。
 若い君たちこそ「新しい光」だ。「新しい人材」である。いつまでも、だれかに頼る心ではいけない。もう傍観者のように眺めている時代ではない。自分自身が、広宣流布の指導者として立つ時であると自覚していただきたい。
 いまだかつてない「拡大」と「前進」の青年部の幹部会、おめでとう! 本当に、おめでとう!(拍手)
4  インドの非暴力の大英雄、マハトマ・ガンジーは、断言している。
 「不正義の成功することあるも、そは一時のことであって、早晩怖るべき破滅が襲い来るのである」(佐野甚之助『ガンディと其思想』立命館大学出版部)
 邪悪は必ず滅亡する。それが歴史の法則である。
 さらに、「これに反して、徳の道を歩む者は、必ず偉大となり、義を守る家族または社会は、必ず繁栄する。しかして平和と自由と幸福との福運は、正義の道を歩む国民の上に降る」。(同前)
 わが創価学会は、いかなる邪悪な迫害も、すべて勝ち越えた。そして、ここに晴ればれと、大勝利の「五月三日」――「創価学会の日」を迎えることになった。
 本日の模様は、全国の約千会場で衛星中継され、数百万人の友が参加される予定と、うかがっている。各県各地で喜々として集われる同志の皆さま方とともに、栄光の五月三日を心から祝賀したい。(拍手)
5  人生の目的は「自分も友も幸福に」
 「人類の最高峰の知性」であるポーリング博士は、人間教育者であられた。たとえ自分が弾圧され、投獄されようとも、平和の理想に生きる青年を断じて守りぬく――そういう信念の炎を烈々と燃え上がらせた。
 その博士の誉れの母校からの、最高に意義深き栄誉(オレゴン州立大学「特別栄誉賞」)を、私は、日本そしてアメリカをはじめ、世界百八十力国・地域の後継の青年たちとともに、ここに謹んで拝受いたしました。まことに、ありがとうございました。(拍手)
 ポーリング博士が、母校である貴オレゴン州立大学を、どれほど愛し、どれほど誇りにしておられたか。私との対談でも、本当に懐かしそうに、うれしそうに、母校の思い出を語っておられた。
 その誠実なお姿を、私は生涯、忘れない。
 教育の使命とは、いったい何か。博士は、こう述べておられる。
 「自分自身が、より幸福になっていく。そして、他の人々のために、より貢献していく。これが人生の二大目的です。教育の役割は、これらの目的を実現していく手助けをすることです」
 そして、その真の人間教育を授けてくれたすばらしき学舎こそ、″わが母校なり″と、博士は深く感謝されていたのである。
 大学の真価は、卒業生の活躍で決まる。わが創価大学の卒業生も、社会に、世界に躍り出ている。
 きょう、結成された大学会――東京大学、慶応大学、早稲田大学、女子大学会の皆さんも、ご健闘を祈りたい。(拍手)
 また、大学に行かれていない方も、この″創価の人間大学校″で、最高の「幸福学」「人間学」「生命学」の大博士となっていただきたい。
6  ポーリング博士は、九歳の時に、父親を亡くされた。そのため、若き日から、機械工場の見習工、薪割り、モップ拭きの掃除、夜中の牛乳配達、さらに、道路舗装のアスファルトの検査員など、さまざまな仕事を経験してこられた。
 自分の力で学費を稼ぎ、苦学に苦学を重ねながら、自分の道を切り開いていかれた。懸命に働いて、病気がちの母に仕送りもした。
 本当に尊い青春である。涙の出る思いがする。世界的な名声の博士が、じつは、これほどの苦闘の青春を送っていたことを、多くの人は知らない。
 人生は、若い時から裕福で、甘えていられるのは、かえって不幸だ。貧しくても、困難があっても、「今に見よ!」と努力を貫いていく――そこにこそ「青春の勲章」が輝きゆくことを忘れてはならない。
 いかなる苦境にあっても、ポーリング青年は、朗らかであった。何があろうと、「生きること」それ自体に喜びと充実と満足を見いだしていく「知恵の人」だった。そこに博士の人生哲学が光っていた。
7  汗と涙と努力で自身を鍛えぬけ
 博士は、仕事も、勉強も、一生懸命に取り組んだ。その姿は、同じように働きながら学んだ、若き日の牧口先生を思い起こさせる。
 ″労学一体″の悪戦苦闘を突き抜けて、博士は、有名な「化学結合論」を堂々と打ち立てた(これがもとになり、後に「ノーベル化学賞」を受賞)。化学の歴史を劇的に変えた天才であった。
 苦労することが、脳を刺激し、活発にする。何の苦労もなく、怠惰に生きれば、心も知性も鍛えられない。
 今、深刻な経済不況にあって、奮闘している皆さんも多いと思う。しかし、そうした時こそ、自身を大きく成長させるチャンスなのである。
 どうか、若き日のポーリング博士のごとく、汗と涙と努力を光らせながら、断固として、自分自身を強く、また、たくましく、鍛えぬいていっていただきたい。
 よき同志と励ましあいながら、黄金の青春の「勝利の劇」をつづり、残していかれんことを願ってやまない。
8  今回、お迎えしたオレゴン州立大学のオシリア・フォーブス副学長は、看護学を修められ、看護師として働かれた経験をお持ちの、慈愛の人間指導者である。
 きょうは、学会女子部の看護師の集いである「白樺グループ」の代表も出席し、皆さまを心から歓迎しております。
 さらにまた、大学の命である図書館を厳然と守っておられるカレル・ブッチャー館長も、学術の発展に尽くす女性リーダーの一人である。
 きょうは、「女性の世紀」を象徴する、さわやかな式典となった。先生方に、心からの連帯と敬意の拍手を送りたい。(拍手)
 ポーリング博士の真の同志であったエバ・ヘレン夫人も、オレゴン州立大学の栄えある卒業生である。彼女は、生命を慈しむ母として、女性として、人類の生存のため、地球の存続のために、毅然と立ち上がった。戦争や貧困、環境破壊、そして無知や偏見、人権の蹂躙などの諸悪に対して、決然と行動を起こしていった。
 この聡明な夫人の気高き大情熱こそが、ポーリング博士を、平和へ、人道へと動かし、励まし、リードしていったことは、有名な事実である。
 学会も、婦人部と女子部の知恵と団結で、未来への人間主義の流れが決定づけられる。よろしく頼みます!
9  平和のために「対話」を! 戦争で対立は解決できない
 ポーリング家ならびにオレゴン州立大学のご尽力をたまわり、「ライナス・ポーリングと二十世紀」展が、舞台をアメリカから、日本の広島に移して、いよいよ開幕する。
 (=四月十七日から五月五日まで旧日本銀行広島支店で行われた。その後、神戸、長崎、横浜、八王子で行われ、ヨーロッパ各地を巡回した)
 今回、初めて展示される博士の手書きの原稿には、こう記されている。(一九五五年三月十日、日本の科学者と科学について述べた原稿)
 「目の前にある大きな危機は、当然、核戦争が起こることである。それは、文明の破壊をもたらしかねない。地上の生命をすべて抹殺しかねない。
 それに代わる道は、国家間の紛争解決の手段としての戦争をやめることである。
 世界の人々は、はっきりと知るべきだ。さまざまな問題は、調停によって、納得のいく結論を求め続けることによって、解決すべきだということを。たとえ、話しあいに何年かかろうとも、そうすべきである」
 この博士の平和へのメッセージに、世界は今ふたたび、真剣に耳をかたむけるべきではないだろうか。
 ともあれ、とくに青年の皆さんは、この展示に示されている、博士ご夫妻の勇気と信念の精神闘争に大いに学んでいっていただきたい。
10  「人権の世紀」「人道の世紀」へ大いなる第一歩
 「科学の進歩」と「世界の平和」に貢献された博士ご一家が、正義の行動ゆえに、どれほど嫉妬され、悪口され、迫害されてきたか。
 「ポーリングは共産主義者だ!」とレッテルを張られ、事実無根の罪で陥れられた。議会から何度も喚問を受けた。
 正義の人が迫害される――これが歴史の常である。
 しかし、博士は獅子であった。いささかも臆さなかった。勇敢に言論で戦った。
 権力の不正と戦いぬいたのは、たんに自分のためだけではなかった。
 博士は厳然と述べておられる。
 「この(=上院議会の)小委員会が私におこなったと私が判断する不正な行為に対して戦うのは、私ほどには自分のために戦う能力のない人びとのためにでもあるのだということを言っておかねばならない」
 「将来、このような調査が違法とされるような法律ができることを切実に望む」(テッド・ゲーツェル、ベン・ゲーツェル『ポーリングの生涯』石館康平訳、朝日新聞社)
 人権を踏みにじられ、冤罪で苦しめられる人々のために戦おう! 未来のために、権力の横暴に断じて歯止めをかけてみせる!――との雄叫びであった。勇気ある決心の闘争であった。
 青年部の皆さんも、人生の英雄となり、勝利者となろうとするならば、博士の不屈の信念を深く心に刻むべきだ。そして実行することだ。ジャンヌ・ダルクのごとく、勇敢に立ち上がっていただきたい。「人権の世紀」「人道の世紀」へ、大いなる第一歩を踏み出されたのが、ポーリング博士である。その道に、私たちも続きたい。
11  「師子王の心」で人生を生きぬけ
 きょうは、はるばると、懐かしいフランスの友も駆けつけてくれた。本当に、ありがとう! メルシー!(拍手)
 今、フランスで、私とゴルバチョフ元ソ連大統領との対談集が、ベストセラーとなって、反響を広げていると、うかがった。(邦題『二十世紀の精神の教訓』〈本全集第105巻収録〉。パリの最大手書店でベストセラーに選ばれた)
 その対談集を発刊されている、フランスを代表する出版社の社長(ロシェ社のベルトラン社長)から、先日、ご連絡をいただいた。その折、社長は、ご自身のモットーとして、フランスの詩人コクトーの言葉を挙げておられた。
 いわく、「不正義の人間から中傷されることは、最も崇高なことである」。
 まさしく、そのとおりである。
 牧口先生が「愚人に憎まれたるは第一の光栄なり」と喝破された、その信念にも通ずる。
 これまで学会に対しては、嘘で固めた、売らんがための、低次元の中傷が、幾度もなされてきた。しかし、不正義の人間から、そして愚人から、いかに批判され、憎まれようが、われわれは、いささかも動じない。かえって、それは崇高さの証であり、光栄なのである。
 仏法の真髄では、次のように説かれている。
 「一人一人が師子王の心を奮い起こして、どのように人が脅そうとも、決して恐れてはならない。師子王は百獣を恐れない。師子の子もまた同じである。彼らはキツネの類が吼えているのである。日蓮の一門は師子が吼えているのである」(御書1190㌻、通解)
 何ものも、恐れてはならない。恐れたら、「師子」ではない。師子となって、人生を生きぬいていただきたい!
 きょう、私は、わが青年部に、「『師子王の心』で、恐れなく生きゆけ!」、そして、「師子となりて、正義を吼えゆけ!」と、明確に言い残しておきたい。(拍手)
12  ともあれ、一人一人が強くなり、師子になっていく以外にない。
 この点に関連して、ポーリング博士は、物理学の観点から、こう、わかりやすく言われている。
 「自動車のエンジンの、ピストンの先端に加えられる圧力は、熱い気体の中の何兆という分子が衝突する結果である。
 全体の力に比べると、一つ一つの分子の力は、たいへんに小さい。だがしかし、もしも、その分子が″自分は重要でない″と思ったとしたら、エンジンは動かなくなってしまうだろう。
 それと同じように、民衆運動が成功するかいなかは、目的に向かって力を発揮していく、一人一人の人間の参加にかかっている」
 まことに、すばらしい言葉である。自動車のエンジンを動かす膨大な力も、もとをたどれば、一つ一つの分子の力が合わさったものだ。時代を動かす民衆の運動も、結局は「一人」の力に帰着する。
 一人の力が、どれほど重要であるか。なかんずく、「青年の力」に勝るものはない。
13  人類史を転換しゆく「希望の対話」をさらに雄弁に!
 私との対談で、ポーリング博士は、きょう、ここにおられるご長男のポーリング・ジュニア博士が、空路、ハワイから駆けつけて、あのキング博士とともに、人権の大行進に雄々しく参加されていたことを、誇りも高く語っておられた。
 (一九六五年、アラバマ州セルマで、人種差別撤廃を訴えて行われた「セルマの行進」に参加)
 高名な精神科医であられるポーリング・ジュニア博士は、父君と同じように、私たちの平和運動を、深く大きく理解してくださっている。ここで、あらためて、感謝申し上げたい。(拍手)
 ポーリング・ジュニア博士は、人間主義の哲学をもった、私たちの誠実な対話には、相手の心の奥に深く届く力があると賞讃してくださった。さらに、私たちの創価の信頼の対話には、相手が自覚している以上のすばらしい面を、相手から引きだしていく力があると期待してくださっている。
 どうか、若き哲学者たる青年部の皆さんは、人類の歴史を大きく転換しゆく「希望の対話」を、さらに雄弁に、拡大していっていただきたい。
14  今、宇宙の一つのロマンとして、地球の兄弟である太陽系の五つの惑星が、一堂に集合して見えることが、世界的に話題になっている。
 すなわち、水星、金星、火星、木星、土星が、四月から五月にかけ、「五月三日」に前後して、日没後の西の空に、にぎやかに勢揃いするというのである。
 アメリカの天文学者によれば、今回と同じようなチャンスは、二〇六〇年までないという。
 (ミシガン州立大学の天文学者ロバート・ビクター氏によれば、同様の現象は二〇四〇年にも起こるが、肉眼で五つの惑星が見られるのは、二〇六〇年までないという〈時事〉)
 そのニュースを知って、「天座の星々も、われらの大勝利の五月三日を祝福してくれているようですね!」と、北海道と九州の青年が喜んで連絡してくれた。(拍手)
 敬愛するオレゴン州立大学のモットーは、じつにすばらしい。それは、「心を開け! 扉を開け!」である。
 どうか、わが愛する青年部の皆さんは、外なる「宇宙」と、内なる「生命」という、壮大なる開拓地(フロイアィア)に心を開きながら、「平和と人道の世紀」の扉を、断固として、開いていっていただきたい。
 終わりに、オレゴン州立大学、ならびにポーリング家の永遠のご繁栄、そして、全参加者のご健勝を心からお祈り申し上げ、私のスピーチといたします。ありがとう!
 (創価国際友好会館)

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