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日蓮大聖人・池田大作

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サンマリノ共和国「サンタ・アガタ大十字… 苦労こそ宝! 君よ「勝利の太陽」と輝け

2001.9.8 スピーチ(2001.8〜)(池田大作全集第93巻)

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1  世界最古の共和国――ここに人類の理想郷が!
 二十一世紀初めての未来部総会、本当に、おめでとう!(拍手)
 皆さんが、お元気で、私は、うれしい!
 私は、少年少女部の皆さんと同じ年代のころ、ロマンあふれる詩を読んだことを、懐かしく思い出します。それは、「ガラスの山のてっぺんに、金のお城がありました」という一節から始まりました。
 私は、今、そのおとぎの国を舞台に、一つの物語を想起するのであります。その金のお城を中心に、激しい戦いが繰り広げられる。最初は、善良な人々が、悪い人間たちからさんざんにいじめられ、苦しめられる。しかし、正しい人々は、断じて負けない。屈しない。そして、最後には、金のお城で、晴ればれと「正義の勝利」の勝鬨をあげるというドラマであります。
 われらの青き地球には、この物語のように、高い山の頂に美しい城を築き、そして、平和と自由、正義と人道を、厳然と護りぬいてきた誇り高き人々の国が、現実に存在しております。それこそ、世界でもっとも歴史の古い共和国、貴サンマリノ共和国なのであります。(拍手)
2  「人民の人民による人民のための政治」という、不滅の「共和」の理念を宣言した大政治家は、だれであったか。
 それは、ご存じのとおり、アメリカの第十六代リンカーン大統領であります。
 新しく誕生したアメリカ創価大学、ならびに日本の創価大学には、リンカーン大統領の貴重な直筆の手紙なども重宝として保管されております。
 では、このリンカーン大統領が「歴史上、もっとも誉れある国」と絶讃し、「励ましに満ちた真理を人類に示してくれた国」として、感謝してやまなかったのは、どの国であったか。それは、まさに、サンマリノ共和国だったのであります。(拍手)
 人類にとって、世界にとって、未来にとって、かけがえのない模範であり、理想の金字塔が貴国なのであります。この九月三日、貴国は、栄光輝く建国千七百周年という大佳節を晴れやかに迎えられました。本当に、おめでとうございます!(拍手)
3  牧国会長の信念がSGIの陣列に脈々と
 心より尊敬申し上げる、国家元首であられるお二人の執政(ロンフェルニ―ニ執政、ベラルディ執政)、さらにまた、ご一行の先生方。そして、すべてのご出席の皆さま方。ただ今、私は、何よりも意義深き貴国の最高の栄誉(サンタ・アガタ大十字騎士勲章)を、厳粛に拝受いたしました。まことに、まことに、ありがとうございました。(拍手)
 私は、青春時代から、貴国に深い敬意と親愛の情を抱いてきた一人であります。
 と言いますのも、創価学会の牧口初代会長が、百年ほど前に発刊した名著『人生地理学』(一九〇三年刊)の中に、貴国のお名前が明確に記されていたからであります。『人生地理学』では、貴国が、強国に囲まれながらも、そびえ立つ山にあって、千幾百年もの長きにわたって、厳として独立を堅持し、共和国を発展させてこられたことに着眼しています。
 さらにまた、貴国に象徴される風土(山岳地帯)の人々には、まことに、愛すべき気風が多いことも紹介しています。
 すなわち、その思想は高邁であり、豪健な人々は独立心に富み、確固として信義を貫いている。そこでは、財産や土地も分かちあい、上や下の差別も少なく、平等で、皆が仲良く助けあう共和の精神が、とくに光っていると示唆しているのであります。
 牧国会長は、日本が国をあげて、日露戦争に傾斜していく時代にあって、かくも広々と、全世界に開かれた心で、真剣に各国の情勢を学び、つねに地球全体を見つめていました。そして、平和と人道の時代を、はるかに展望しながら、人間共和の世界へ、価値を創造していったのであります。
 そのスケールが巨大すぎるがゆえに、牧国会長は、島国根性の日本からは妬まれ、事実無根の悪口罵詈を浴びせられました。そして、究極の正義を叫んだがゆえに、狂った国家主義によって迫害され、ついには獄死させられたのであります。
 しかし、牧国会長は、悠然と「愚人に憎まれたるは第一の栄光なり」と言われ、獅子王のごとく、最後の最後まで戦いぬきました。そして、今、この殉教の闘士・牧口初代会長の人間共和の信念は、世界百七十七カ国・地域の若きSGIの陣列に脈々と受け継がれていると、私は信じたいのであります。(拍手)
 この会場には、サンマリノ共和国をはじめ、世界五大陸五十力国・地域から、最優秀の青年リーダーが参加しておられます。本当に、うれしい! 本当に、ありがとう!
 さらに、きようの式典の衛星中継には、じつに日本全国の千を数える会館で、五十万人もの未来部の代表の皆さんが参加する予定になっています。この五十万人の未来部の方々にも、本当に、ご苦労さまと申し上げます。
 また、つねに未来部育成に当たってくださる「二十一世紀使命会」の皆さま方にも、心から感謝申し上げるものであります。(拍手)
4  サンマリノ市民の叫び「自由とは恐れないこと!」
 新世紀を担いゆく青年が、貴国の歴史から学ぶべき教訓と指針は、あまりにも大きい。
 今から七百年ほど前、「自由とは何か」と尋ねられた、貴国のある市民は、こう答えたと言います。有名な話です。(以下、ジョジェッペ・ロッシ『サン マリノ共和国』菅博、マンリオ・カデロ訳、日商データバンク、参照)
 「自由とは、だれびとをも恐れないことだ」と。
 自由の本質と真髄を突いた言葉として、今日まで残っています。
 そのとおりに、貴国のけなげなる市民の連帯は、いかなる傲慢な政治権力の弾圧にあっても、宗教の「破門」などの仕打ちにあっても、人間の魂の自由のために、断固として戦い、厳然と勝ちぬいてこられました。
 貴国を敬愛するナポレオンが、貴国の領土の拡張を提案したことも、有名な史実であります。
 ところが、誉れ高き貴国の先人たちは、その申し出を、きっぱりと断りました。
 他者の犠牲の上には、みずからの幸福や繁栄を築かない――貴国は、共和国としての、この尊厳を、毅然と選び取ってこられたのであります。
 さらに、″善良かつ強い″市民の集まりである貴国は、歴史を通じて、災難や圧政に苦しむ人々に大きく門戸を開き、一度たりとも拒絶せずに迎え入れ、あたたかく保護してこられたといいます。
 第二次世界大戦において、当時、人口一万五千人ほどの貴国が、なんと十万人以上もの避難者を受け入れ、少ない食糧を分かちあいながら、守りぬかれたことも、まことに名高い史実であります。
 この史実を読んで、滂沱の涙を流した学者もあったと聞いております。そうしたなかにあって、慈愛の医師たちの献身の活躍も光っておりました。
 きょうは、わが創価のドクター部の代表も出席されております。ドクター部の皆さん、いつも本当にありがとうございます。(拍手)
5  今、日本の社会には、陰湿ないじめや、凶悪な暴力などが渦巻いています。だんだん悪い国になってきました。
 しかし、そうした時代の濁りに、未来部の皆さんは、絶対に染まってはならない。負けてもならない。人がどうあれ、世間がどうあれ、まず自分自身が、強くまた強く、賢くまた賢く、朗らかにまた朗らかに生きぬいていくことであります。そして、悩んでいる友の味方になってあげることです。それが、「師子の心」をもった立派な人間の姿です。
 サンマリノ共和国の歴史のごとく、困っている人、苦しんでいる人に手を差しのべていく勇気と慈愛を持つことです。それが、人間としてもっとも尊いことです。そしてこれこそが、師子の集いである創価学会のお父さん、お母さんたちの精神であったのであります。
6  貴国が、なぜ千七百年もの間、自由と独立を貫いて、栄えることができたのか。
 この重要な問題を、今まで多くの歴史家が分析し、探究してきました。その理由の一端は、「さまざまな苦難や試練を、市民がともに分かちあい、耐えて耐えぬいてきたからである」と結論されているのであります。
 要するに、苦労しぬいたところが、もっとも偉大になる。苦労しぬいた人は、決して負けない。最後には栄えていく。青春も、人生も、この方程式は同じです。
 以前、私たちが開催した大ナポレオン展には、歴史の宝庫である貴国の博物館から、金色に輝く貴重な騎士の「兜」と「鎧」を出品していただきました。それはそれは、見事な光沢を放っておりました。今でも忘れません。
 仏法では「忍耐の鎧を着けよ!」と説いております。どうか皆さんは、気高き使命の青春にあって、徹して忍耐強く、徹して辛抱強く、真実と誠実と堅実の大道を歩み通していただきたい。
 そして、学びに学び、努力に努力を重ねて、汝自身を難攻不落の「正義の大城」に、「哲学の大城」に、そして「勝利の大城」に築き上げていただきたい。これが私の、強い強い念願であります。
 皆さん、きょうはこのことを約束しましょう!
 この未来部のなかから、必ずや、将来の学会の最高首脳も出ます。また社会のあらゆる分野の最高リーダーも陸続と育っていくと、私は断言しておきたい。
7  九月八日に刻んだ平和の歴史
 きょう九月八日は、地球民族主義を掲げられた戸田第二代会長が四十四年前、「原水爆禁止宣言」を、高らかに発表された日です。(一九五七年〈昭和三十二年〉、横浜の三ツ沢競技場で)
 とともに、弟子である私が、さまざまな妨害や非難のなか、世界の平和と安定を願って、「日中国交正常化」の提言を行ったのも三十三年前のこの日でありました。(一九六八年)
 さらにまた、その六年後のこの日、私は多くの反対を振り切って、「そこに人間がいるから、私は行く」と宣言し、中国に引き続いて、共産圏だった旧ソ連のモスクフに、第一歩を印しました。(一九七四年)
 九月八日は、学会にとって、まことに重要な歴史の日であります。
 そしてきょう、サンマリノ共和国から大切なお客さまをお迎えすることができ、また一つ、新たな歴史を刻むことができました。
 ともあれ、このようにして、一つまた一つと蒔いてきた人間主義の交流の種が、今、大きな大きな平和と文化と教育の結実を勝ち取ったと、私は申し残しておきたい。「種を蒔く」ことです。「行動」を起こすことです。
8  昨日、光栄にも、両執政ご一行は創価大学を訪問してくださいました。ロンフェルニーニ執政は、すばらしい講演をしてくださり、「地球村における連帯と共生」を高らかに呼びかけてくださったのであります。心から賛同し、感謝申し上げます。
 世界の模範の共和国の大指導者とご一緒に、私たちは「人間共和」の新たな地球社会の大建設に、ともどもに朗らかに、勇んで前進しゆくことを、ここに約束しあいたいと思うのであります。
 なお、未来部の皆さんは、将来、必ず偉くなって、お父さんやお母さんを、また、親がいらっしゃらない人は、自分がお世話になった人を、世界一のすばらしい平和の国、サンマリノ共和国ヘも連れていってあげていただきたい。皆さん、きょうは、このことも約束しましょう!(拍手)
9  結びに、イタリアの偉大なノーベル賞詩人カルドゥッチは、名スピーチ「永遠の自由」の中で、貴国をこう讃嘆しました。
 「君に栄光あれ! おお、有徳にして寛大な、信頼する、古の共和国よ!」
 この言葉のままに、私は貴国の永遠不滅の栄光を、心の底からお祈り申し上げます。
 そして、貴国と世界の青年の「勝利の太陽」が、二十一世紀の人類を、永遠の自由へ、永遠の平和へ、赫々と照らしゆくことを、祈りに祈って、私の心からの御礼のごあいさつとさせていただきます。
 グラッチェ(イタリア語で「ありがとう」)! グラッチェ!
 (創価国際友好会館)

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