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日蓮大聖人・池田大作

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全国最高協議会 さあ悩める友のもとへ!

2001.8.10 スピーチ(2000.11〜)(池田大作全集第92巻)

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1  「広布の道」は無上の「幸福の道」
 いちばん悩んでいる人のもとへ!
 いちばん苦しんでいる友のところへ!
 それが仏法者である。
 創価学会の魂は、折伏・弘教である。
 まずリーダー自身が、真剣に祈り、人間革命することだ。率先して行動を起こすことだ。また、折伏をしている人を全力で応援することだ。
 「広布の道」は、日蓮大聖人が歩まれた道である。無上の「幸福の道」である。楽しく、聡明に、心を合わせながら、着実に、広布の水かさを増してまいりたい。
2  幸福は「心」で決まる。生きる「哲学」の深さで決まる。
 強いことが、幸福である。弱さは不幸である。
 とくに女子部は、強い心の女性、芯の強い女性になってもらいたい。人生の先輩である婦人部の皆さまは、大きな心で、女子部を応援していただきたい。
 では、どうしたら、若い人が伸びるのか。
 頭から怒ってもいけない。ほめるだけでも、心に届かない場合がある。
 口で「ああしたほうがいい」とアドバイスするのも必要であるけれども、それ以上に大事なのは、広宣流布のために「一緒に戦う」ことだ。「一緒に行動する」ことだ。
 全員が人材である。今、よき人材を育てゆくことが、この百年の一切を決する。
 きょうは、各方面の婦人部の代表の皆さまも出席しておられる。
 わが「太陽の婦人部」ありての広宣流布の勝利であり、栄光である。私は、婦人部の全同志の皆さまの尊いご健闘に心から感謝し、賞讃申し上げたい。
3  高い精神性を社会で実現
 私は、世界の知性と対話を続けている。未来学者のヘンダーソン博士とは、対談集の発刊に向けて、「女性の世紀」「少年少女の世紀」を展望しながら、″生命の母″なる地球の未来をめぐり語りあっている。(=『地球対談輝く女性の世紀へ』として二〇〇三年一月、主婦の友社から発刊)
 その中で博士は、積極的に社会にかかわっていく私どもの生き方をたいへんに高く評価してくださっている。博士は語っておられる。
 「創価学会の牧口初代会長は教育者で、実践家であり、戸田第二代会長も、数学者であり、かつまた実業家でいらしたと、うかがいました。
 人間の精神性を開発し、その人の高貴な自我に耳を澄ませることは、必要不可欠なことであります。そして、それは、社会にかかわる行動によって補完されると、私は思っております。この点、SGIの方々の前向きな生き方は、とても素晴らしいと思います」と。
 仏法では、「一切世間の治生産業は皆実相と相違背せず」(「法華玄義」大正三十三巻)と説かれている。現実社会の政治・経済等は、皆、真実の仏法の道理に背くものではない。
 大聖人は、これを引かれ、「世間の治世の法を十分に心得ている人を智者というのである」(御書1466㌻、通解)と仰せである。
 学会は、そのとおりに現実社会に積極的にかかわり、平和と繁栄と幸福に貢献してきた。一切に勝利してきた。
 世界の知性の眼には、こうした行動の意義が、的確に映し出されている。
4  歴史は「一対一の対話」から――ヘンダーソン博士
 ヘンダーソン博士は、一九六〇年代、一人の主婦として、ニューヨークの大気汚染との戦いを開始された。
 私は、現在、進めている対談の中で、博士が、市民運動の波動を、いかにして、一波から万波ヘ広げていかれたか、つぶさに、うかがった。
 それは、まず、近所の広場で、子どもたちを遊ばせている母親たちに、「このへんの空気、悪いと思わない?」と話しかけながら、対話を重ね、小さなグループをつくることから始まった。
 歴史を変えゆく運動は、一対一の友情と信頼を結ぶことから出発する。
 こうして、「きれいな空気を守る市民の会」が結成された。
 さらに博士は、幼い娘さんが昼寝をしている合間に、ニューヨークの市長などに大気汚染への対応を促す手紙を書いた。
 最初は、そっけない返事しか返ってこない。しかし、へこたれない。
 彼女たちの小グループは、まず具体的に目標を定めた。
 「天気予報の時に、大気汚染予報も一緒に流すこと」を実現しよう、と。
 十人くらいで、手分けして、すべての主要なテレビ・ネットワーク局の責任者に手紙を書いた。
 さらに、ワシントンの連邦通信委員会の委員長、またニューヨーク州の知事などにも手紙を書き、味方になってもらい、さらにひと押し、もうひと押しと粘り続けた。
 また、ボランテイアで応援してもらおうと、広告代理店をまわった。目ぼしい会社をまわり尽くしたが、どこも相手にしてくれない。二十社ほどまわり、″もう一社、これでだめだったら、あきらめよう″という最後の一社で、ようやく協力を得ることができた。
 こうした執念の努力を、一つ、また一つと積み重ねた末に、ついに念願の「大気汚染指数」のテレビ放映が実現したのである。
 それは、すべてのテレビ局や、ほとんどのラジオ局、そして地元の新聞にも波及した。
 ニューヨーク以外の市でも、次々に「大気汚染指数」が報じられるようになっていった。
 そして、ニューヨークの市議会で、大気汚染に関する二つの法律が制定され、やがて、アメリカ連邦政府の″大気汚染を防止するための法案″へと結実していったのである。
 環境保護のための歴史的な闘争であり、画期的な勝利となった。
5  力を合わせれば必ず道は開ける
 ヘンダーソン博士は、こうした戦いのなかで、「あきらめずに行動を続けていけば、状況を変えていくことができるのだ」と実感したという。
 確かに、ふつうの市民が何かをやろうとすると、最初は「無理ではないか」とか、「壁は厚いだろうな」と感じる。
 しかし、一市民の力では不可能だと思えるようなことでも、″皆が力を合わせて取り組めば、必ず道は開けてくる″と博士は言うのである。
 博士は、一緒に運動を進めるためのパートナーを探し、連帯を広げる意義を力説しておられる。
 そして、マスコミの力なども、よい意味で、取り込んでいくことが重要であると語っている。
 要するに、正義の実現のためには、皆を味方にし、すべてを活用する「強さ」と「賢さ」を持つことである。
 博士は、ほほ笑みながら語っておられた。市民運動の活動家として、また地球市民として生きるためには、時に″鉄面皮″のような、ずうずうしいほどの強さが必要なのです、と。
 とともに、博士が強調されていたのは、哲学性、精神性である。
 博士は、「欠かすことのできない大事なポイントは、『市民運動には哲学が必要である』ということです。一人一人が高い精神性に根ざしていなければなりません。私は、池田会長が率いているSGIには、それがあると思います」と評価してくださっている。
 「女性の世紀」にあって、この深遠な哲学と高邁な精神性を掲げた、SGIの市民運動の主役こそ、わが婦人部であり、女子部である。
 仏法を持つ女性が、どれほど尊貴であるか。大聖人は「此の経を持つ女人は一切の女人に・すぎたるのみならず一切の男子に・こえたり」と明言しておられる。
 大聖人は、すでに七百年以上も前に、仏法の女性尊重の思想を高らかに宣言しておられた。
 どうか、誇りと自負に胸を張り、朗らかに前進していただきたい。
6  市民が声をあげ、市民が強くなり、市民が結合していくことが、民主主義の生命線である。
 戸田先生も、厳しく言われていた。
 「権威なんか恐れることはない。だれ人たりとも、恐れる必要はない。権威を恐れていては、民主主義が破壊される。それでは、犠牲になる民衆がかわいそうではないか。あくまでも主権在民である」
 とくに、婦人部のリーダーの皆さま方は、「創価の太陽」として、さまざまな使命の分野で戦う同志を大きく励まし、包容しながら、皆を生かし、皆を伸ばしていっていただきたい。
 創価学会の連帯は、ドクター部、白樺会、白樺グループ、そして学術部、教育部、国際部、文芸部等々、重層的な社会への広がりをもっている。さらに花の芸術部も光っている。社会部、専門部、地域部、団地部、農村部、離島部などの活躍も目覚ましい。
 こうした「仏法即社会」のスクラムを、幾重にも広げながら、二十一世紀の新たな広宣流布の拡大をいちだんと推し進めてまいりたい。
7  「生ける魂であれ、死せる魂となるな」――ゴーゴリ
 先日(七月二十七日)、私は、ウクライナのコステンコ駐日大使と忘れ得ぬ語らいの機会を得た。まことに立派な大使であられた。
 ウクライナは、この八月二十四日に、独立十周年の佳節を迎える。ちょうど、私の入信記念日と同じ日である。
 大使との深い友情を胸に刻みながら、ウクライナにゆかりの文豪の言葉を、紹介したい。
 戸田先生のもとで学んだ『隊長ブーリバ』の著者で、ウクライナ出身の文豪ゴーゴリの遺言。
 「生ける魂であれ、死せる魂となるな」(アンリ・トロワイヤ『ゴーゴリ伝』村上香住子訳、中央公論社。以下、引用は同じ)
 広宣流布という正義のなかの正義の大理想に戦う魂は、まさしく「生ける魂」である。
 「苦悩に堪え抜き、不幸な重荷を常に背負い続けてきた者が、とどのつまり最高の至福を手に入れるのです」
 いわんや、変毒為薬、転重軽受の妙法を持った人に恐れるものはない。
 さらにゴーゴリは言う。
 「騎慢で力強い人間が、不幸に陥ると気の弱いつまらぬ人間となり、一方弱者が、不幸の中にあって、巨人の如く大きく成長するという掟がある」
 ″貧乏人と病人の集まり″と言われた学会は、この「人間革命」の偉大な実証を無数に示してきた。
 ゴーゴリは「明快に笑うことができるのは、どこまでも善良な魂だけなのだ」とも言う。
 だからこそ、善良な魂と魂の集いである創価の世界は朗らかである。笑いが絶えない。
 ウクライナ出身の作家チェーホフの言葉。
 「無関心とは――それはたましいの麻痺だ、早くも訪れた死だ」(「退屈な話」湯浅芳子訳、『退屈な話・六号病室』所収、岩波文庫)
 多くの若人を、この″魂の死″から救い出していくのが、わが青年部の使命である。
8  大聖人は、女性の弟子・日厳尼に仰せである。
 「あなたの願いが叶うか叶わないかは、あなたの御信心によるのです。(叶わないのは)まったく日蓮のせいではありません。水が澄めば月はくっきりと映る。風が吹けば木の枝が揺れる。皆の心は水のようなものであり、信心が弱いのは水が濁っているようなものです。信心が潔いのは水が澄んでいるようなものです。木は道理のようなものであり、風が木を揺り動かすのは、経文を読み、仏道修行して、その道理を動かして(願いを叶えて)いくようなものであると心得ていきなさい」(御書1262㌻、通解)
 信心ほど、強い力はない。どうか、「信心即健康」「信心即生活」で、聡明に、模範の家庭をつくっていただきたい。
 そして、後継者である青年部、未来部を厳として励まし、鍛え、大いに育成してまいりたい。
 同志は、たがいに尊敬しあい、心を合わせ、歩調を合わせながら、わが方面、わが県の新たな「広宣流布の人材の大城」を盤石に築き上げゆくことを、ともどもに約しあいたい。
 (群馬多宝研修道場)

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