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日蓮大聖人・池田大作

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モンゴル・カラコルム大学「名誉博士号」… 団結こそ歴史変革の力

2001.5.14 スピーチ(2000.11〜)(池田大作全集第92巻)

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2  ドイツの文豪ゲーテいわく。
 「最も重要な仕事で/きょうの偉大な日を栄えあらしめよう」(「エピメーテスの目覚め」小塩節訳、『ゲーテ全集』5所収、潮出版社)
 大事なのは「きょう何をしたか」です。きょうを勝つことです。
 また、ヒトラーと戦ったドイツの学生運動「白バラ」の中心者ハンス・ショルの言葉。
 「人間は精神と物質からできており、重要なのは前者である」(『白バラの声』山下公子訳、新曜社)
 学生たちは、精神において勝った。独裁者に勝った。先駆の歴史をつくったのです。
 さらにフランスの作家カミュ。
 「民主主義の努力目標となりうるのは、力による不正に対して、正義にもとづく力をぶつけることでしかない」(「創造と自由」安藤元雄・窪田般弥訳、『カミュ全集』7所収、新潮社)
 民主主義の発展のためには、正義の民衆の力が絶対に必要なのであります。(拍手)
3  教育で「艱難に勝る人間」をつくれ
 モンゴルの大草原には、勇敢なる民衆の人間学の真髄が、ダイヤのごとく光り輝いております。
 たとえば、「もし、あなたに勇気があれば、それは幸運である」と。
 また「勇気のあるものは、何でもできる」と。
 私の師である戸田第二代会長も、「慈悲に代わるものは勇気である。われらは勇気の力で人々を救うのだ!」と訴えておられました。
 同じくモンゴルの箴言には、こうあります。
 「苦労を味わった人は、幸福とは何かを知っている」
 「苦しみの中に幸せがある。お金の中に苦しみがある」と。
 そのとおりです。財産や名誉などでは、幸福は決まらない。真実の幸福は「何ものにも負けない心」の中にある。わが一念の中にある。あらゆる穀難に打ち勝っていく自分自身の生命の中にある。
 ゆえにモンゴルの賢人たちは、「富で己を飾るよりも、知恵で自身を荘厳せよ」と呼びかけてきました。その根本の源泉こそが人間教育であります。そしてまた、人間革命であります。
4  心より尊敬申し上げるバトソーリ総長、ならびにオヨンチメグ学長、そして諸先生方。
 悠遠なる都カラコルムの青空のごとく、大きく広やかな総長のご厚情と、母なる清流オルホン川のような学長の美しき真心につつまれながら、ただ今、私は、栄えある貴カラコルム大学の一員とさせていただきました。
 心から深く御礼申し上げます。まことに、まことに、ありがとうございました。(拍手)
 カラコルム大学の壮麗な白亜の学舎が立つカラコルムは、人類史上、「地球一体化」の第一の波の中心であったと謳われる、大草原のロマンの国際都市であります。その建設は十三世紀の前半です。ちょうど、日本では、神奈川を中心とした鎌倉時代にあたります。
 東西文明の壮大な交流の舞台となったカラコルムの天地については、インドの初代ネルー首相もたいへんに注目しておりました。ネルーは、独立運動で投獄された獄中から娘のインディラ・ガンジー(後に首相となる)にあてて、こうつづり残しております。
 すなわち、「宮廷(=カラコルムにあった)は、アジアや、ヨーロッパの種々さまざまな民族の展覧会場のような観があった」(『父が子に語る世界歴史』2、大山聰訳、みすず書房)と。
 さらにまた、多くの優れた学者や芸術家も、こぞって、ここに集結し、歓迎されながら、学芸の花を爛漫と咲かせていったというのであります。
 こうしたすばらしき歴史と伝統を受け継ぎながら、新たな「モンゴルの世紀」を創造しておられる知性の大宮殿こそ、わが敬愛するカラコルム大学なのであります。(拍手)
5  「民衆奉仕の大情熱」を尊敬
 ここにお迎えしたバトソーリ総長は、最先端の学問である人類学、遺伝学、生物学の権威であり、国家開発大臣や首相顧間を歴任された国家的指導者であられます。その総長が、国会議員に在職中、モンゴルの未来のために、私財をなげうって創立されたのが、カラコルム大学であります。
 人間をつくり、人間を育てる教育こそ、人類にとって、もっとも大事な究極の聖業であります。
 残念ながら、昨今の日本の多くの指導者は、名聞名利にとらわれて、民衆への奉仕の行動を忘れ、また人気や売名ばかりを追求して、未来の世代への重大な献身を忘れ去ってしまっている――これが国民の嘆きであり、怒りであります。
 要するに、何を残したか。民衆のために、どれほど身を削り、働いたか。人間の幸福のために政治があるのです。その一点を国民は厳しく見つめ、監視していかねばならないのです。
 ともあれ、民衆と教育への貢献を第一義としてこられた、総長ご夫妻の崇高な大情熱に、心ある指導者は真摯に学び、見習うべきであると、私は声を大にして訴えたいのであります!(拍手)
6  正しい指導者をつくるには、正しい人間をつくるしかない。東西の創価学園や創価大学においても、世界に通用する「正義の指導者」を育てていきたいと願っております。語学力の向上にも全力を注いでいます。
 先日、創価大学で協議会を行った折、創価大学のワールド・ランゲージ・センターのセンター長から、うれしい報告がありました。
 それは、創価大学の新入生に行う英語の世界共通の実カテスト(ITPテスト=TOEFLの模擬試験の一つ)で、今年は満点に相当する学生が例年の三倍にふえたというのです。しかも、その半分は東西の創価学園からの創大進学者でありました。皆、アメリカ創価大学の誕生が大きな触発となったようです。何ごとも大きな目標を持つことが大事であります。
 「最優秀の学生が続々と創価大学に来てくれて、本当に頼もしいです」と、センター長も喜んでおりました。(拍手)
 また今回、カラコルム大学の先生方が、関西校を訪問されたさい、一人の学園生(高校一年)が、見事なモンゴル語で、歓迎のスピーチを行いました。先生方も、たいへんに驚かれ、また喜んでくださったとうかがっております。
 これまでも、東西の両学園は、世界中から来学される最高峰の「知性の賓客」を迎えるさい、英語はもとより、スペイン語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、ロシア語、チェコ語、ブルガリア語、中国語(北京語、広東語)、韓国語、タイ語など、各国の言語で、スピーチし、歌を歌い、最大の敬意を伝えてきました。
 「世界市民」教育の貴重な実践であり、他に例を見ない、日本一の模範の姿であると高い評価が寄せられております。(拍手)
7  「すべての源は母、創造の源は団結」
 さて、「女性の世紀」を象徴して、貴大学にあっても、ロシア文学の大家であるオヨンチメグ学長を筆頭に、卓越した女性の先生方の活躍が、男性陣を圧倒しているとうかがっております。学生数の八割も、じつに女性であります。
 今回、同行された新進気鋭の画家であるサンテルマ講師も女性であり、貴大学の誉れの卒業生なのであります。(拍手)
 女性の特質である「柔らかさ」「ねばり強さ」は、争いを消したり、あらゆる団体・社会を、発展させゆく力であります。
 思えば、貴国の大英雄チンギス・ハーンの母も、若くして夫を殺され、「筆舌に尽くせぬ貧困」「信じがたい卑劣な裏切り」などのなかで、毅然とわが子らを育て上げられた偉大な女性であったと言われています。さらに、この母が身寄りのない多くの子どもたちを、わが子のごとく大切に守り、育んでいったという逸話もたいへんに有名であります。
 慈愛深き「母の力」「賢き女性の智慧」に勝るものは、この世に絶対にありません。
 私の大好きな貴国の至言にも、「すべての源は母である。創造の源は団結である」とあるとおりであります。
8  きょうは、私たち夫婦が、もっとも信頼し、大好きな「神奈川婦人部」の皆さまが、ここにお集まりくださいました(拍手)。私どもにとりましても、生涯、忘れ得ぬ五月二十七日の「神奈川婦人部の日」、本当におめでとう!(拍手)
 昭和五十四年(一九七九年)の五月二十七日、忘れもしない私の会長勇退の直後のことであります。宗門と結託しあった邪悪な策謀が渦巻いていた時でありました。私が動きが取れなかったなか、せめてもの思いで妻が神奈川区の地区の婦人部総会にお邪魔しました。
 そのお宅のお母さまは、八十五歳の今も、お元気とうかがい、本当にうれしい。私たちは夫婦でお題目を送り続けております。
 あの時、出席しておられた三十人の同志の方々が、皆、「学会の庭」で、「広宣流布の庭」で、はつらつと活躍しておられる様子は、よくうかがっております。きょうは、その代表として、お二人の方が、この会場にお越しくださいました。ありがとう!
 神奈川は何度もお邪魔して、懐かしい同志が多い。お帰りになられましたら、地域の皆さまに、くれぐれも、よろしくお伝えください。(拍手)
9  真の歓びは戦いの中に
 チンギス・ハーンは、アレキサンダー大王と並び称される世界の英雄であります。
 貴国の不滅の歴史書である『元朝秘史』には、友情と信義を重んじる大英雄チンギス・ハーンの心情がつづられております。
 チンギス・ハーンは同志と、こう約しあった。
 ――たとえわれら同志を嫉妬する蛇のような輩が、われらの仲を引き裂こうとして政策し、誹謗しようとも、われらは断固として語りあい、断固として信じあう――。
 何があっても団結して戦う。だからチンギス・ハーンは強かった。
 同志は、また盟友というものは、一生涯、苦楽を共にするものである。この人間と人間の強き深き信頼の結合こそが、歴史を動かし、歴史を変えていく「根源の力」であります。
 さらに、モンゴルの味わい深い格言には、「意志があれば絶望することはない。強さがあればひざまずくことはない」とあります。
 大切なのは「強さ」です。正義のため、未来のために、強くまた強く、戦っていくことです。前へ前へと行動していくことです。その人には、真実の喜びがあり、楽しみがある。
 精神闘争のない人生には、本当の喜びはありません。戦いに、つらいことが多いのは当然である。しかし、大変だからこそ、つらいことを乗り越えていける何倍もの喜びを勝ち取ることができる。これが仏法で説く「煩悩即菩提」の哲理であります。
10  尊敬するバトソーリ総長のお名前には、「堅固な土台」という甚深の意義があり、オヨンチメグ学長のお名前には「真珠の飾り」という美しい響きがこめられているとうかがいました。
 そのお名前のごとく、土台の盤石なる貴大学の城から、生命の「真珠」を光り輝かせゆく人材群が、さらに限りなく、天翔あまかていかれることを、私は心からお祈り申し上げます。(拍手)
 「友情こそ最高の学問である」。また「笑えば人は共に笑う。泣けば泣くのは一人だけ」――愉快な人の周りに人は集まる、という貴国の智慧の言葉であります。
 悲観や感傷に流されてはならない。それでは、自分で自分の人生を、不幸と幻滅の方向へ推し進めているようなものだ。
 前へ向かって生きるのです。いかなる時も、たくましく朗らかに前進していくことです。
 何があっても、へこたれず、名優のごとく笑いとばし、自分らしく生きていける「哲学」を持つことです。
 これこそ、リーダーの要件であります。
 私たちは、貴大学の先生方とご一緒に、友情の対話を、快活に誠実に、忍耐強く広げながら、社会を、世界を、平和へ、幸福へと、ともどもにリードしてまいりたい。
 そして「教育の世紀」「女性の世紀」「青年の世紀」「神奈川の世紀」、さらに「モンゴルの世紀」をば、栄光と希望と勝利で飾りゆくことを固く約束しあって、私の感謝のスピーチを終わります。
 バヤルララー(モンゴル語で「ありがとうございました」)!
 (創価国際友好会館)

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