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日蓮大聖人・池田大作

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「ガンジー・ミレニアム(千年紀)賞」授… 「新しき千年」へ、戦う平和主義の大行進

2000.9.15 スピーチ(1999.10〜)(池田大作全集第91巻)

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2  その日は、一九六九年(昭和四十四年)の八月十五日。奇(く)しくも敬愛するインドの二十二回目の「独立記念日」でありました。あの懐かしい「日大講堂」を、約二万人の若き英才たちが埋め尽くしたのであります。
 (東京・両国の日大講堂で開催された第二回高等部総会の席上、池田会長〈当時〉は西暦二〇〇〇年に″ふたたびの集い″を提案。人材グループ「二〇〇〇年会」の淵源となった)
 今回、短期間の掌握にもかかわらず、あの日、集った二万人のうち、一万二千の友と連携を取り合うことができたと、うかがっております。今後、この連帯は、さらに広がり深まることでしょう。
 皆、意気軒高であり、高等部時代の誓いのままに、社会のため、地域のため、そして広宣流布のために活躍しておられる。
3  「妙法の証明者」としての使命
 私は、本当にうれしい。この中から、創価学会の中枢のリーダーも、続々と誕生しました。副会長は十六人。県長、区長は三十八人。全国の婦人部長、そして方面・県の婦人部長は七十六人。さらに、壮年、婦人の県・区の幹部は百五十五人。
 社会の各分野では、たとえば弁護士は五人。会計士は五人。税理士は十四人。大学教授など学術者は十六人。医師は十二人。校長、教頭は二十人。教員は二百三十六人になります。そのほかの方々からも、よく報告をいただいております。
 広布と社会のありとあらゆる分野で、最も地道に、最も尊い健闘を続けておられる。山の頂から望むように、私には、皆さまの活躍の様子が、よくわかります。
 二〇〇〇年会には、深い意義がありました。まさに、新しい時代の先取りであったと言えます。「全員が二十一世紀の指導者に!」という構想は、今、見事に実現したと、私はここに宣言しておきたいのであります。(拍手)
 これで、二十一世紀の土台はできた。次の学会の土台は完璧にできあがったと申し上げたい。
 きょう、集まった代表の皆さん、また、全国各地で衛星中継に集われる皆さん方の誇り高きお名前を、永遠にアメリカ創価大学に残すことを提案させていただきたい。
 二十一世紀の広宣流布は一切、皆さん方に託す以外にない。全部、皆さん方にお願いする以外にないのであります。(拍手)
4  ドクター部の総会も、おめでとう! 遠いところ、よくお集まりくださった。深き信心の「哲学者の集い」に心から敬意を表したい。(拍手)
 私をはじめ、会員の方々が、いつも大変にお世話になり、ここに謹んで感謝申し上げます。
 私が小学生の時、母がよく、素朴な気持ちで、「皆から尊敬される仕事はね、お医者さまと、学校の先生と、それにお巡りさん」と話しておりました。一人の力あるドクターがいれば、何百人、何千人の人々を希望へと牽引していける。これは明快なる事実であります。
 ドクター部員一人は、一万人の希望に通ずる。そういう医師になっていただきたい。
 この一年、全国で、ドクター部の「健康セミナー」「仏法セミナー」に、内外合わせて三十万人もの方々が参加されました。「戦うドクター部、万歳!」と申し上げたい。(拍手)
 人を健康にするのだから、自分が健康にならないわけがない。みずみずしい生命力で、広布のために、人の何十倍も働いてこそ、心から尊敬される。人格光るドクター部の存在に、社会は大きな信頼を寄せるのであります。
 生命を貫くのは「一念三千」の法理であります。強き信心の一念で、「妙法の証明者」としての偉大な使命を果たしていただきたい。
 また本日は、韓国・済州大学の崔元喆チェウォンチョル教授も、出席してくださっております。このたび、崔教授は、創価大学で経済学の博士号を取得されました。心より、お喜び申し上げます。(拍手)
5  偉大なる「魂」をたしかに受け継げ
 ″偉大なる魂は、千年の後もなお、偉大なる光を放ち続けるであろう″
 これは、マハトマ・ガンジーの遺志を受け継いだ、ネルー首相の確信でありました。
 いかなる財宝も、いかなる権力も、すべては、やがて色褪せ、はかなく消え去ってしまうものであります。そのなかにあって、千年の歳月をも生き抜いて、赫々たる不滅の輝きを放つものは、いったい何か。
 それは、ただ一つ、偉大なる「思想の光」であり、「哲学の光」であります。
 その精神の光が、師匠から弟子へ、世代から世代へ、確かに受け継がれていく限り、人類の未来には、無限に明るい希望が輝きわたっていくのであります。
 きょう、ここに、はるかなノルウェーからお迎えしたグハ総裁こそ、ガンジーの″非暴力の炎″を、二千年紀から三千年紀へと燃え上がらせていくために、世界を舞台に戦い抜いておられる「平和の闘士」であります。
 総裁は、ノーベル賞の候補にも推薦された大経済学者でもあられます。マンデラ前大統領(南アフリカ)など各国首脳のもとで経済顧問を務め、世界の発展に多大な貢献を果たしてこられたご功績も不滅であります。
 心から尊敬申し上げるグハ総裁ご夫妻、ならびにラーセン副総裁。本日は、世界に名高い貴財団より、ガンジーの名を冠した最高に誉れある平和賞をたまわり、私は、あらためて厚く御礼申し上げます。(拍手)
6  思えば、マハトマ・ガンジーは、だれよりも青少年を愛し、信じた指導者でありました。
 インド独立の前夜、ガンジーは、「だれが新しい大統領にふさわしいか」と質問を受けました。
 それに対して、ガンジーは、″たくましい、そして水晶のように純粋な少女を、最下層の庶民のなかから選んで大統領にしたい″(山下幸雄『アフリカのガンジー』雄渾社)と答えたのであります。ここにも、ガンジーの偉さがあると私は思う。
 きょうの、この儀式には、わが未来部の代表四百人が参加しております。そして衛星中継には、全国千六百の会場に、約五十万人の未来部の皆さんが参加する予定です。本当にご苦労さま!(拍手)
 七十年前、わが創価学会の創立の年、ガンジーは、歴史的な「塩の行進」を行いました。
 本日より、私は、尊敬するグハ総裁とご一緒に、新世紀の若き人材群とともに、「平和」と「非暴力」の大行進を、さらに力強く開始していく決心であります。皆さん、やりましょう!(拍手)
 静かに、忍耐強く、聡明に、時には正義の怒りをもって、ありとあらゆる知恵をめぐらせて、断じて勝利してまいりたい。
7  強くあれ! 正義のために、人権のために
 総裁は、十代のときから、「われ、革命児なり」と心を定めて、不正に対して勇猛果敢に立ち向かっていかれた方であります。総裁は、外見は俳優さんのような優しい感じがしますが(笑い)、悪に対しては厳しい方です。心の中に″鋼のごとき強さ″を秘めておられる。
 人間、強くあらねばならない。そこに仏法の真価が光る。
 総裁は、正義のため、人権のために信念を貫いてこられた。ゆえに、何回も不当に投獄されたのであります。学会の三代の会長も、不当な弾圧によって投獄されました。迫害は、正義の闘争の証であります。
 また総裁は、陰湿な圧迫も受けてこられました。しかし、微動だにしない、真実の獅子であられます。本当の革命児です。
8  私は、三十一年前のあの日、二〇〇〇年会の友に訴えました。
 ――創価学会は、「世界民族主義」で進もう! そして「戦う平和主義」で進もう! と。
 この「戦う平和主義」とは、言い換えれば、まさに「非暴力の精神」であります。
 ガンジーが、釈尊の精神を現代に蘇生させた「非暴力」とは、単に自分自身が暴力を否定するだけではない。いかなる暴力にも負けない「勇気」であります。
 いかなる暴力をも打ち破っていく「生命の力」であり、「正義の連帯の力」であります。人間が、人間として、最も強くなっていくことなのであります。(拍手)
 ゆえに、未来部の皆さん方も、現代社会に渦巻いている「いじめ」や、さまざまな「暴力」に、絶対に屈服してはいけません。負けてはいけない。
 牧口常三郎先生は、よく青年を励まして、こう指導されました。「自分が間違っていなければ、頭を下げてはならない! 悪に対しては、断じて負けてはならない!」と。
 正しいことです。これでいきましょう! なんと悪口を言われても、胸を張り、頭を上げ、瞳をらんらんと輝かせながら、わが道を堂々と闊歩していく。これが創価の精神です。釈尊の心です。そしてガンジーの魂であります。
 師子王の強さ――これこそが学会精神なのであります。
 とくに、若き未来部の方々は、何かあったならば、自分一人で悩んでいてはいけない。
 自分で自分を抑えてしまっては、損です。何かあれば、二十一世紀使命会の信頼するお兄さんやお姉さん方に、何でも相談してもらいたい。皆、応援に行きます。皆、あなた方の味方です。
 大切な皆さんをいじめる人がいたら、断じて許さない。全力で守ります。守り抜きます。
 声は弾丸です。賢明に、大胆に、圧迫をはね返していけばいいんです。そして、大変な時のための題目であることを忘れないでください。
9  もっとも苦しんでいる友のもとに
 さて、一昨日(九月十三日)、グハ総裁一行のご出席もいただき、わが中部青年部主催の「非暴力の巨人 マハトマ・ガンディー」展が名古屋で開幕いたしました。
 このたびの中部をはじめ各地の豪雨の被害に、私は心からお見舞いを申し上げます。とともに、中部の同志の方々の献身的な救援活動に、深く敬意を表するものであります。
 最も苦しんでいる民衆のために、みずから足を運んでいく。これが尊き「ガンジーの精神」でありました。これが、真の仏法者の精神であります。学会も、この精神できたから勝った。
 反対に、学会のおかげで偉くなりながら、この最高に清らかな、実直な、まじめな民衆の世界を見くだす人間が出ることを、私は心配する。そんな傲慢は断じて許してはならない。自ら友のために行動するのが、仏法のリーダーなのであります。
10  さて、グハ総裁は、インドのカルカッタ(現コルカタ)のご出身であられます。カルカッタに近いある地方で、ヒンズー教とイスラム教の宗教間の深刻な衝突が打ち続いたことがありました。
 その時、ガンジーは、自ら現場に飛び込んで、四カ月ほどの間に、約五十もの農村を、一つ一つ、歩いて訪問した。そして、農民と膝づめの対話を何回も重ねていったのであります。
 当時、インドの別の地方では、五万五千人の国境警備軍が暴動によって壊滅していた。しかし、ガンジーが訪れたところでは、″たった一人の国境警備隊が(深刻な衝突が続いていた)ベンガルに平和をもたらした″と驚嘆されました。五万五千人の軍が達成できなかった平和を、たった一人で成し遂げた勝利である、と。
 「ガンジーの崇高な人生という書物のなかで、最も崇高な歴史の一章」と讃えられる、世界的に有名な史実であります。
 この闘争のさなか、ガンジーの弟子として、身に影の添うがごとく、″師弟一体″で奮闘した一人の女性のドクターがおりました。ナーヤル医師であります。(インド独立後には、下院議員、保健衛生大臣などを歴任)
 彼女は幼き日に、師匠ガンジーとの出会いを刻みました。その誇り、その感動を胸に、懸命に勉学を重ね、ついにガンジー夫妻の主治医となったのであります。
 師の健康を守り、師とともに難を受け、師とともに同志に奉仕しながら、忍耐強く、地道に、使命の道を歩み通していきました。その生涯は、世界の心ある医師と看護婦の胸に、燦然たる歴史として輝いております。
 きょう、お集まりの二〇〇〇年会、またドクター部の皆さまも、この二〇〇〇年という不思議なる節目を期して、もう一度、新しい決意で、私とともに、「人生の最も崇高な一章」と謳われゆくような悔いなき闘争の歴史を、堂々と残していただきたいのであります。(拍手)
11  「絶対に勝つ」との大確信で
 非暴力の平和運動が勝ち進んでいくためには、何が重要か。総裁は名著『ガンジーの非暴力』のなかで、ガンジーが示した四つのポイントを挙げておられます。
 第一に「闘争の目的に対して誠実であれ!」。
 第二に「敗北主義を排し、勝利に対する疑いを遠ざけよ!」。
 第三に「最後の勝利まで、闘争を貫け!」。
 第四に「たとえ迫害にあっても、意気軒高であれ!」。
 その通りであります。「勝つか負けるか」ではない。「絶対に勝つ!」「断じてやりきる!」。この精神を徹底するしか勝利はない。
 最後の最後まで「挑戦」であります。どんなに中傷され、非難されても、意気軒高に、何倍もの勢いで猛反撃していけばよい。この闘争心がなくなったら、おしまいである。
 どうか、にぎやかに、朗らかに、不屈の執念で、断固として戦い、勝利してまいりたい。(拍手)
 「開目抄」では、「心地観経」の文が引かれています。
 「未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」と。
 非常に深い意義が込められた一節であります。きょうのこの燃え立つ決意を「因」として、皆さんの力で、三十年後の西暦二〇三〇年――「創価学会創立百周年」を絢爛たる大勝利で飾っていただきたい。きょう、私は、これを未来部の皆さんに託したいのであります。(拍手)
 「平和」と「非暴力」の世紀を、わが創価学会が先頭に立って建設していきたい。歴史は、私たちがつくる以外にない。純粋な、無償の行動で、国のため、民のため、世界平和のために、働いているのが、創価学会であります。ここに広宣流布の姿があり、実相があります。
12  総裁の父君は、百歳を超すご長寿を全うされたと、うかがっております。どうか総裁も、ますますご健康で、長生きをしていただきたい。そして、ぜひ三十年後の創価の栄光の集いにも、お元気な総裁ご夫妻とご家族をお招きしたいと思うのであります。(拍手)
 終わりに、我ら同志の西暦二〇〇〇年を荘厳してくださった貴財団に重ねて感謝申し上げるとともに、世界のため、人類のために限りないご清栄を私は心からお祈り申し上げます。
 マハトマ・ガンジーの言葉を皆さんに贈り、私の御礼のスピーチとさせていただきます。
 すなわち、偉大なるマハトマいわく。
 「戦いの目標は、ただ一つしかない。それは勝利である」
 サンキュー・ベリーマッチ!
 (創価大学記念講堂)

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