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日蓮大聖人・池田大作

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中部・北陸代表者協議会 「難攻不落の堅塁」を永遠に

2000.3.2 スピーチ(1999.10〜)(池田大作全集第91巻)

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2  いい人生を生きていただきたい。強い人生を生きていただきたい。そのために、精神を鍛錬することである。精神を向上させることである。その究極が信仰である。
 どんな困難も、「さあ、こい!」と悠然と受け止め、乗り越えていける。全部、自分を強くし、仏の軍勢を増しゆく力にしていける。楽しく、愉快に、永遠に「最高に幸福な人生」を味わっていくための仏法なのである。
 先月(二月)、中部を訪問され、「アジアと世界市民展――フィリピンの英雄 ホセ・リサール」を観賞された、名門・アンヘレス大学の学長ご夫妻、リサール協会のキアンバオ会長一行も、中部青年部の目覚ましい活躍を絶賛しておられた。
 愛知、三重、そして岐阜――「二十一世紀の人材の城」偉大なる中部は、いよいよ盤石なり! と私は心から、たたえたい。
 また、きょうは、北陸の代表の方々も、お見えになっている。
 どうか、中部と北陸は、全創価学会の「核」となり、「柱」となって、力強い団結とスクラムで進んでいただきたい。
3  学会は民衆の偉大な力を証明
 さて、中部広宣流布の城を仰ぐとき、今も、私の胸に絵のように描かれる麗しいエピソードがある。
 それは、七年前、桜が爛漫と咲き香る春のことであった。ここ中部文化会館に、アメリカの高名な学者が来訪された。アイダホ大学哲学科のニコラス・ガイヤ教授である。
 教授は、大学の講義で、私の著作(『私の仏教観』)を、長年にわたって教材に取り上げられるなど、SGIの理念を深く理解してくださっている方である。
 (二十年余りで三百人以上の学生に、池田SGI会長の著作を中心に、仏教の平和と平等の思想を講義)
 ガイヤ教授は「自分の目でSGIの真実を見たい」と、学会の会館の見学を希望された。風評に左右されない。自分の目できちんと確かめる――これが、一級の知性の姿勢である。
 教授が、中部文化会館に来られた際、ちょうど、地下の「五・三会館」で、愛知婦人部の「仲良合唱団」がコーラスの練習を行っていた。合唱団の皆さまは、教授に、コーラスをプレゼントした。
 のちに、ガイヤ教授は、この出会いの感動を語っておられる。
 「彼女たちの知性的で温かな瞳を、私は生涯、忘れないでしょう。人間的な温かさが、SGIにはあります」
 「それは、日本を訪れ、創価学会の施設を訪れたなかでも、最も忘れることのできない光景でした。中部婦人部のコーラスは、ひとえに心の自発的な発露であり、聴く者の心を豊かにさせるものでした」
4  「魂の中に幸福を創造する運動」
 さらに教授は、重要な指摘をしておられる。
 「中部の婦人たちが、みずからの心を、外に向かって明るく表現していたこと、それも、単に個人の表現にとどまらず、コーラスというグループの形で表現していたことに、素晴らしさを感じました。歓喜の表現を通して、この婦人たちが、『魂の中に幸福を創造する運動』に献身しているのだということが理解できました。
 こうした文化的、宗教的な活動への参加が、『社会的な存在としての自己』を表現する貴重な機会となっていることも知ることができました。
 私たちの個性は、グループの中に溶け込むことによって、自己表現を豊かに増大させることが可能になるのです。そして、『調和に満ちた全体』は、『部分がバラバラに存在して成り立つ全体』より、はるかに価値あるものなのです。
 そういうことも、中部婦人部のコーラスは、示唆してくれました」と。
5  皆さま方が日々、推進しておられる学会の運動が、どれほど深く重要な哲学的意義をもっているか。世界の一級の英知から見れば、まさに感嘆すべき「人間触発の価値創造の運動」なのである。
 いうなれば、二十一世紀の哲学の最先端を、ありのままの日常生活の中で、実践し、表現し、拡大しておられるのが、皆さま方なのである。
 どうか、ますます朗らかに、また、にぎやかに、人間と人間を結び合い、心と心を通わせながら、わが地域に、わが使命の舞台に、「喜びのハーモニー」を、「幸福の曲」を、そして「勝利の歌」を広げていっていただきたい。
6  ガイヤ教授は、創価学会について、こうも語っておられる。
 「日本の(無宗教の)精神風土のなかで、強い信念のもとに、社会に価値を創造していく『創価学会の革新的な運動』が誤解や迫害を受けるのは、ある意味で当然なのかもしれません。しかし、それは、日本の将来にとって不幸なことだと思います。ともあれ、創価学会の皆さん方は、迫害と堂々と戦うべきです。青年部が先頭に立ち、抗議行動を起こしていることは、大きく評価できます。政治の次元でも、法的な面でも、堂々と論戦すべきでしょう」
 「民衆一人一人の中に偉大な力があることを、創価学会の皆さんは立派に証明されました。今後とも、その民衆の力を、家庭に、社会に、さらに世界の平和にと反映させ、人間のための宗教運動のモデルをつくっていただきたい、と私は念願しております」と。
 創価の精神闘争を、世界の良心は、圧倒的に支持している。
7  高齢の迦葉尊者「後世に模範を示したい」
 縁も深い中部の多宝会の長者の皆さま方が、お元気で、福運に包まれておられるお姿は、私のこの上ない喜びである。
 多宝会の方々のご活躍をうかがう時、私は、釈尊の十大弟子の一人である迦葉尊者を思い起こす。釈尊は、多くの弟子たちに、仏道修行の模範として、「迦葉尊者に学べ」「迦葉尊者に続け」と語っていた。
 ある時、釈尊は、年配になった迦葉尊者をいたわって、修行をゆるやかにするよう勧める。愛弟子の体を思いやっての忠言であった。
 実際は、釈尊のほうが迦葉尊者よりも、年齢は少し上であったとされる。
 師匠というものは、まことにありがたいものだ。また、それほど、まじめに、厳格に、たゆみなく戦い続けてきたのが迦葉尊者であった。
 しかし、この時、師匠の慈愛に深く感謝しながらも、迦葉尊者は、年老いても一歩も引かず、さらに生き生きと、若々しく前進を続けゆく決心を披歴するのである。
 それは、なぜか?
 偉大なる弟子・迦葉尊者いわく、「第一には、仏法を行ずることが楽しいからです」。
 そして「第二には、後世の人々にも、私のごとく、仏道修行をまっとうしてほしいと願うからです」と。
 すなわち、戦うことを喜びとし、また、後に続く人々の道を開き、万年に続く後継の友の模範となりゆくことを喜びとしながら、人生の総仕上げを飾ってまいります!――そういう深き決意であったろう。
 これを聞いた釈尊は、それはそれは喜ばれたという。そして、「あなたこそ、後の世の人々の灯火である」と称賛されたというのである。
 まことに美しい師弟の交流である。
 この迦葉尊者のごとく、二十一世紀の広宣流布の「この道」にあって、模範となり手本となって、永遠に光り輝いていくのが、中部の皆さま方であられる。
 中部青年部が進める「アジアと世界市民展」は、第二回として、マハトマ・ガンジーに光を当てて、本年、開催されると、うかがっている。
 ガンジーの箴言に、こうある。
 「不断の活動が真の安息である。この絶えざる激しき活動の内に、不思議な安穏の真相がある」(『ガーンディ聖書』蒲穆訳、岩波書店)と。
 わが中部創価学会は、間断なき闘争を貫き、執念で戦い、執念で勝ちました。
 この崇高なる伝統を、青年部は、厳然と受け継いでいただきたい。
8  迫害は正義の証、経文のとおり
 ここで御書を拝したい。
 日蓮大聖人は、佐渡へ流罪される渦中で認められた「寺泊御書」で、こう言い放っておられる。
 「法華経の勧持品には『諸の無智の人々がいて、悪口罵詈をする』等とある。日蓮は、この経文の通りになっている。(大聖人を非難する人間に対し)汝らは、どうして、この経文の通りにならないのか。
 『また刀杖を加える者がいる』等とある。日蓮は、この経文を身で読んだのである。汝らは、どうして、この経文を身で読まないのか。
 また『常に大ぜいの人々のなかで、我ら(法華経の行者)を中傷しようとしている』等とも、『(権力者の)国王、大臣、(権威をもつ)バラモンや、社会的有力者に向かって(法華経の行者を誹謗する)』等とも、『悪口を言って、顔をしかめて誹謗し、(そのため法華経の行者は)しばしば所を追われるであろう』ともある。
 『しばしば』とは『たびたび』ということである。日蓮は、所を追われること数回、流罪は二度である」(御書953㌻、通解)
 これが大聖人の御心である。これが、三代にわたる学会の会長の精神である。そして、苦楽をともに、一緒に戦ってこられたのが、わが中部の同志である。この功徳は永遠に消えない。
9  また、熱原法難の真っただ中で、大聖人は日興上人に仰せである。
 「釈迦・多宝・十方の諸仏、梵天、帝釈等が、末法の第五の五百歳の法華経の行者を守護するとの御誓いが現れるのは、今、この時である。
 大智度論(インドの竜樹作)にいわく『よく毒を変じて薬と為す』、天台大師(中国)いわく『毒を変じて薬と為す』等と。
 『妙』の一字が嘘でないなら、必ず、すぐに賞罰がはっきりするであろう。
 伯耆房(日興上人)等は、深くこの旨を心得て、問注(弾圧に抗議する訴訟)を遂げなさい。
 平左衛門尉に対して、このように言いなさい。『文永(八年)に迫害した時(竜の口の法難)、聖人(日蓮大聖人)が言われたことをお忘れになったのか。そのための災いもまだ終わっていないのに、重ねて十羅刹女の罰を招き取ろうとするのか』と、最後に申しつけなさい」
 「あなた方は恐れてはならない。いよいよ強く進んでいくならば、必ず何らかの結果が現れるであろう」(御書1455㌻、通解)
 魔が競い起こらなければ、正法ではない。仏敵と戦わなければ、仏にはなれない。この御聖訓通りに、創価学会は、すべてを変毒為薬しながら、広宣流布を拡大してきた。
 仏法史上、未曽有の学会の大発展を、梵天・帝釈が祝福し喝采するごとく、世界がたたえていることは、ご承知の通りである。
10  偉大なる中部の総仕上げ
 結びに、きょう三月二日は、イギリスの作家ロレンスの命日である。ちょうど七十年前、学会創立の年の一九三〇年に逝去した。
 ロレンスは、生命の尊厳を脅かす″悪″と戦う心を、一編の詩に託している。
  「多くの悪い人間のなかにある悪の意志は
   悪の世界魂を作り出す、その狙いは
   世界を灰燼にしてしまうことだ」
  「人々は悪から離れなければならない、さもないと
   すべてのものは失われる。われわれは悪を防ぐために
   難攻不落の島を築かなければならない」
    (『D・H・ロレンス詩集』佐竹龍照訳、文化書房博文社)と。
11  わが中部は、永遠に、「世界広布の難攻不落の堅塁」を、断固として築きましょう! 一緒に人生を勝ち抜きましょう!
 そして、偉大なる中部の総仕上げを、悠々と成し遂げていっていただきたい。
 親愛なる皆さま方のご健康を祈ります。ご長寿を祈ります。大福運を祈ります。
 そして、「大中部の広宣流布に、君よ、光れや!」と申し上げ、私のスピーチといたします。
 (中部文化会館)

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