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日蓮大聖人・池田大作

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兵庫最高協議会 ほめて人を伸ばす時代

2000.2.29 スピーチ(1999.10〜)(池田大作全集第91巻)

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1  人材を見つけよ、人材を育てよ
 きょうは、第一回の兵庫最高協議会、おめでとう!
 記念のスピーチを贈りたい。(拍手)
 一昨日は、本部幹部会、ならびにアルゼンチンの名門ノルデステ大学の「名誉博士」の学位授与式で本当にお世話になり、ありがとうございました。トーレス総長ご夫妻も、兵庫の皆さま方の温かな歓迎に、心から感謝しておられた。
 ここ兵庫は、大関西の中でもいちばん広大な地域である。(県の面積が八千四百平方キロで関西一)
 二十一世紀へ、兵庫が、いよいよ大事であり、重要である。
 「世界の兵庫」であり、「世界の神戸」である。
 きょうは、世界の哲人や、歴史的に著名な人物の理念を通しながら、指導者論を語り合いたい。
2  ここ兵庫こそ、新しい人間復興の「ルネサンスの天地」であると、私は注目し、期待している。
 そこで、まず「ルネサンスの巨人」レオナルド・ダ・ヴィンチの箴言を紹介したい。
 「過去の時代と世界の国々とを知ることは、心の飾にしてまた糧である」(『ダ・ヴィンチ随想録』、黒田正利訳、養徳社)
 指導者は常に勉強である。歴史を学び、世界の動きを鋭敏に呼吸していくことだ。そうした「知識」が「智慧を汲み出すポンプ」となるのである。
 同じくダ・ヴィンチの言葉に、「人と事を諮るには、自ら克く修むる者を選べ」(同前)とある。
 事を起こしていくには、「自分自身をコントロールできる人」を選べということである。
 人物を、どう見極めていくか。天才の眼は、さすがに鋭い。名聞名利の人間に振り回されてはならない。
 指導者は、まず真剣に祈り、人材を見つけ、人材を育てていくことである。
 さらにダ・ヴィンチは、「己の友を咎めるときは密かにせよ、これを讃むるは明らさまにせよ」(同前)とも教えている。
 指導者にとっても、人間教育者にとっても重大な要諦である。注意する時は、陰でそっと行い、ほめる時は皆の前で、大いに、ほめてさしあげることである。
 御書には「ほめられぬれば我が身の損ずるをも・かへりみず、そしられぬる時は又我が身のやぶるるをも・しらず」――ほめられれば、我が身を損なうこともかえりみず、非難されている時は、また我が身が破滅することも知らず――と人間の傾向を説かれている。
 これからの二十一世紀は、「ほめて人を伸ばす」時代である。
3  正義を愛せよ!
 また、いよいよ「心の時代」に入ってきた。上から号令をかけて済ませるのではなく、筋を通し、温かく励まして、皆に「私のことをわかってくれているな」と思われるリーダーでなければいけない。
 ダ・ヴィンチは、こうも警告している。
 「つねに恐れつつ進まぬ者は、数々の侮辱にあい、しばしば悔いることになる」(セルジュ・ブランリ『レオナルド・ダ・ヴィンチ』五十嵐見鳥訳、平凡社)と。
 指導者の根幹は「勇気」である。日蓮仏法は「進まざるは退転」と教えている。
4  さて今回、関西女子学生部の代表が、プラトンの全集を届けてくださった。
 私が青春時代から愛読してきたプラトンの一節に、「〈不正〉はお互いのあいだに不和と憎しみと戦いをつくり出し、〈正義〉は協調と友愛をつくり出す」(「国家」、藤沢令夫訳、『プラトン全集』11所収、岩波書店)とある。
 創価の哲学は、「最高の正義」である。ゆえに「最高の協調と友愛の世界」が創価学会である。どうか、兵庫の皆さまは、「異体同心」という永遠不滅の原点に立って、「世界の模範の団結」をお願いしたい。
 さらにプラトンの著作にこうある。
 「偉大な人物たらんとする者は、自分自身や自分に属するものをではなく、正しいことをこそ愛すべきなのだ」(「法律」森進一・池田美恵・加来彰俊訳、同全集13所収)
 指導者が自分中心であったり、一族主義になってしまえば、皆が不幸である。あくまでも「法」を中心にしていかねばならない。
5  悪知識を見抜け
 厳寒のロシアの地でも、SGIの同志は活躍している。
 ここで、ロシアの箴言を、いくつか紹介したい。
 「あなたに、自己の気高さについて語る人間に警戒せよ。そのような人間が、あなたの心に取り入らないよう、見張らなければならない」(クラチコフスキー、ロシアの学者)
 偽善や虚栄、見栄っ張りの人間に、だまされてはならないということである。
 御聖訓には、「悪知識というのは、甘く語らい、詐って媚び、言葉たくみに愚かな人の心を奪って、善き心を破る」(御書7㌻、通解)と厳しく仰せである。
 文豪トルストイは、「誤解は、大多数がそれを見抜いた時、誤解ではなくなる」と言っている。
 だからこそ、正義を叫ばねばならない。真実を語り抜かねばならない。
 さらに、トルストイは、信仰について、こう語っている。
 「あらゆる信仰のもつ意味は、死によってなくなることはないという意味を、人生に付与することである」
 また「信仰――それは、意思と良心の調和である」とも語っている。
 信仰をもった人間が、どれほど強いか。どれほど、崇高であるか。
 大震災にもひるまず、その偉大な力を世界に燦然と示されたのが、わが兵庫の同志である。
6  トルストイは、こう回想している。
 「私は人生においてたった二つの本当の不幸を知っている。それは、良心の呵責と、病である」
 晴れ晴れと、良心にのっとって、今世のわが使命を果たしていくことである。健康な時に、戦いきっておくことである。
 さらに、トルストイは、「自分をその人より優れているとも、偉大であるとも思わないこと。また、その人を自分より優れているとも、偉大であるとも思わないこと。そうした時、人と生きるのがたやすくなる」とも言っている。
 だれ人たりとも、人間は人間である。だれに対しても気どらず、また臆さず、ありのままの人間として、誠実を尽くしていけばよいのである。
 誠実で結ばれた「人間連帯の理想郷」こそ関西であり、兵庫である。ここに、関西の団結の強みがある。
 ロシアの文学者ベリンスキーは、「悩みを知らぬものは、幸福を知ることもない」と。
 仏法の「煩悩即菩提」の法理に通ずる。
 大きな悩みを乗り越え、勝ち越えてきた兵庫の友が、どこよりも大きな幸福に輝いていく時代である。
7  「人生に対して惰性になるのは臆病者」
 ノルデステ大学のトーレス総長ご夫妻と語りあった、ホセ・インヘニエロス博士(アルゼンチンの著名な思想家・医学者)の言葉を紹介したい。
 「人生に対して惰性になるのは臆病である」
 「意欲がなくなったとき、青春は終わりを告げる。最大の特権は、年をとっても意欲をたもつことである」
 意欲がある限り、人は若い。
 兵庫は生き生きと若々しく、永遠に青春の息吹でいきましょう!
 さらに、南米の解放者サン・マルチン将軍の洞察には、こうある。
 「すべての犯罪がそうであるように、中傷とは無知と歪んだ判断の仕業である」
 ゆえに、沈黙してはならない。沈黙しては敗北である。
 大聖人は、「にくまばにくめ」、「いまだこりず候」と仰せである。
 また、こうも御指南されている。
 「悪王の正法を破るに邪法の僧等が方人をなして智者を失はん時は師子王の如くなる心をもてる者必ず仏になるべし
 ――悪王が正法を破ろうとして、邪法の僧らが悪王に味方して、智者を滅ぼそうとする時には、師子王のような心をもつ者が必ず仏になれる――。
 さらに御書を拝したい。
 「一生空しく過して万歳悔ゆること勿れ
 ――一生空しく過して万年(永遠)の間、悔いることがあってはならない――。
 不滅の言葉である。
 また日興上人は、「遺誡置文」に、こう記されている。
 「未だ広宣流布せざる間は身命を捨て随力弘通を致す可き事
 ――いまだ広宣流布していない間は、身命を捨て、力の限り妙法を弘めるべきである――。
 この教えに、まったく違背しているのが日顕宗である。教えの通り実践してきたのが創価学会なのである。
8  結びに、戸田先生の遺言を申し上げ、私のスピーチとしたい。
 第一に「汝自身に生きよ」。
 そして「人生は強気でいけ」。
 最後に「追撃の手をゆるめるな」。
 お会いできなかった方々に、くれぐれも、よろしくお伝えください。
 (兵庫文化会館)

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