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日蓮大聖人・池田大作

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米国・グアム大学「名誉人文学博士号」授… 万代にわたる「人材の流れ」をつくれ

2000.1.28 スピーチ(1999.10〜)(池田大作全集第91巻)

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1  青年は「さらに高く」「もっと高く」と
 この地球上で、人間が人間らしく生きていける、最も美しい心の世界は、グアムであります。(拍手)
 今、私たちの頭上には、グアム大学の鮮やかな緑の旗が、堂々と掲揚されております。そこには、ラテン語が一言、刻まれております。
 いったい何と記されているか。
 それは「さらに高く!」――「エクセルシア」という有名な言葉であります。
 「さらに高く!」――これこそ、古より人類の幾多の知性が、快活に胸に響かせながら、モットーとし、目標としてきたところであります。
 アメリカの大詩人・ロングフェローも、このラテン語を題名にした不滅の詩を残しております。
 ――一人の若人が、雪や氷にもひるまず、険難の峰に挑んでいく。安逸への誘惑も振り切り、暗闇や嵐にも臆さず、ただひたすら「さらに高く」「もっと高く」登り続ける。たとえ命を失おうとも、わが信念の旗は決して手放さない――。
 青春の魂の真髄を謳い上げた詩であります。
 七年前、私がハーバード大学で二度目の講演を行った時、記念として、アメリカの創友会――創価大学の同窓生が、この詩の貴重な直筆原稿を届けてくださいました。今、それはアメリカ創価大学の重宝となっております。
2  思えば、私の師匠である戸田第二代会長は、結論して言っておりました。
 「創価の使命とは何か。それは、全人類の人格を最高の価値へと高めゆく挑戦である」と。
 本日は、最も大切な賓客として、グアム大学の偉大な人格の先生方をお迎えすることができました。(拍手)
 貴大学の先生方、若き学生の皆さんとともどもに、私たちは″新たなる千年″の大山脈へ、「さらに高く!」「もっと高く!」、限りなき生命の向上の旅を、はつらつと開始していこうではありませんか。(拍手)
3  心より尊敬申し上げるシミズ評議会議長、ならびにネデドグ学長ご夫妻、そして諸先生方。グアムこそ、私たちにとりまして、「永遠の原点」の天地であります。敬愛するグアムからいただく顕彰は、何ものにも増して尊く、意義深い栄誉であります。
 私ども夫婦は、百四十八カ国・地域(=二〇〇二年七月現在、百八十三カ国・地域)に広がったSGI(創価学会インターナショナル)の全同志とともに、この栄誉を謹んで拝受させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 (会合の席上、米国のグアム大学から池田SGI会長に対する顕彰が行われた。シミズ評議会議長、ネデドグ学長ら一行がが出席。平和行動に徹した奉仕の人生をたたえSGI会長に「名誉学位記」が贈られた)
 きょうは、この会場(東京牧口記念会館)に、日蓮大聖人の法戦の国土・神奈川の同志、また牧口先生の故郷・信越の同志、そして戸田先生の故郷・北陸の代表が参加されております。遠いところ、また寒いところ、ありがとう! 記念の総会、まことにおめでとう!(拍手)
 さらにブラジルならびに韓国からの研修メンバーの皆さん、本当に、ようこそいらっしゃいました。私はうれしい。そして二十カ国の皆さま方、ようこそ!(拍手)
 青年僧侶の方々も、ご苦労さまです。
 また寒いなか、いつも広宣流布のために働いてくださる″無冠の友″(聖教新聞の配達員)の皆さん、ありがとう! 風邪をひかれませんように!(拍手)
 さらに中野兄弟会、プラトン十年会、創春会、そして農村部の皆さん。遠いところ、大変にご苦労さまです。(拍手)
4  創価の先師の勇気
 わがSGIは、一宗一派に閉ざされた、陰湿な寺院の伽藍で発足したのではありません。太平洋の大海原に洋々と開かれ、多様な文化の花が咲き薫る、グアムの″世界市民の広場″において、わがSGIは結成されたのであります。(拍手)
 とくにグアムは、太平洋戦争で日本軍に占領され、最も悲劇を刻んだ激戦地でありました。議長の大切な姉君、そして学長の最愛の父君、さらに兄君までも、戦争の痛ましい犠牲になられたことを、血涙したたる思いで、うかがいました。
 仏法者として、私は厳粛に追善させていただきました。
 八十年前、来日したアメリカの大思想家・デューイ。戸田先生、牧口先生も敬愛した哲学者・教育者であります。彼は鋭く洞察(どうさつ)しています。
 「この日本で、政治や社会状況を率直に批判し、反対意見を唱えるのは、世界中のどの国でそうするよりも、力と勇気がいる」と。
 そういう日本だから、正義の人が迫害される。それを変えるには、最高の哲学を広めるしかない。この悪国にあって、比類なき「力」と「勇気」を出して、日本の軍国主義、国家主義と対決し、平和と正義の獅子吼を貫きとおしたのが、牧口先生であり戸田先生であります。
 反対に、日本軍がグアムをはじめ太平洋の島々を侵略し占領した際に、即座に軍部を礼賛し、戦勝祈願の法要を行っていたのが、邪義の宗門だったのであります。当時から、宗門には大聖人の御精神など、まったくなかった。
5  「人を尊敬すれば、鏡に映るように、人から尊敬される」
 さて、グアムには、仏法の生命観と共鳴しあう素晴らしき「平和の英知」が光っています。先住民・チャモロ人の智慧の言葉には、こうあります。
 「人を尊敬すれば、鏡に映るように、人から尊敬される」
 日蓮仏法でも、こうした譬喩が説かれています。
 「鏡に向かって礼拝する時、その鏡に映る自分の姿もまた、自分を礼拝する」(御書769㌻、通解)――と。
 一人の庶民を、また一人の青年を、最高に尊貴な存在として尊敬し、大切にしていく。誠実に対話し、忍耐強く励ましていく。その真心の振る舞いは、やがて、深い信頼となり、また尊敬となって返ってくるのであります。
 とくに青年にお願いしたいのは、「両親を大切に!」ということであります。
 「母上、お手伝いいたしましょう!」「父上、肩をおもみしましょう!」――まずは口だけでもいいから(爆笑)、言ってさしあげてください!(「ハイ」と返事)
 親にとっては、そうした一言でも、どれほどの励みになり、安らぎとなることか。
6  また、グアムには、こういう「珠玉の名言」もあります。
 「だれかを傷つければ、今度は自分が傷つけられる。それが、しばらく後になっても、借りたものは、必ず返さねばならない」
 悪は必ず報いを受ける。これは、峻厳なる生命の因果律であり、法則であります。正義に嫉妬し、敵対した輩が、どんな無残な末路を迎えるか。皆さまも、よくご存じの通りであります。だからこそ、グアムの先人たちは戒めています。
 「どんなに知識があっても、人を敬う心がなければ、立派な人物とはいえない」
 簡潔な表現でありながら、まことに重大な指摘であります。
 これだけ科学や技術が発達している。これだけ知識や情報が増大している。にもかかわらず、それが地球社会の全体の幸福と平和に、そのままつながってこない。いったいどこに原因があるのか。
 それは、「何のため」という根本の一点を見失ってしまったからであります。ここにこそ人間の愚かさの根があり、狂いの因があるのであります。
7  グアムの英知は、こうした「傲慢な知識」の誤りを、厳しく正しております。世界中の指導者が、この心に立てば、平和は、必ず実現するにちがいありません。(拍手)
 「啓発し、発見し、奉仕する」――グアム大学は、まことに高邁な「人間教育」の理念を掲げておられます。この理念の実現へ、気高き模範を示しておられるのが、きょう、ここに出席されたシミズ議長であり、ネデドグ学長ご夫妻であります。(拍手)
 国を超え、民族を超え、この方々が、どれほど青年を慈しんでこられたことか。どれほど立派な「全体人間」を育ててこられたことか。
 私たちは、ここで満腔の敬意を表したいのであります。皆で、心からの拍手をもって賛嘆申し上げましょう!(拍手)
8  「女性の世紀」を聡明に開拓
 グアムの伝統社会では、女性の地位が高かった。賢く、たくましい母たちは、人間性豊かな民衆文化を厳として守り、伝えてきました。
 先ほど「名誉州民証」を授与してくださった、グアム準州立法院の元議員・ウォンパット女史も、わがSGI婦人部のリーダーとして「女性の世紀」を聡明に切り開いてこられました。(拍手)
 また先日、南米のベネズエラ共和国の、二人の婦人部の方から、丁重な、お手紙をいただきました。そこには、「国家の要職に就任しました」という、うれしい報告がつづられていました。
 お一人は、新しく設置された「護民官」という、人権を擁護する機関のトップです。これは大臣に相当する役職であります。
 もう一人は、「会計検査院」の副委員長です。これは、副大臣に当たる要職であります。
 この二人の女性は、婦人部員として、SGIの「人権尊重」「社会貢献」の哲学を誇りとし、原動力としながら、政治の分野で民衆に奉仕し、絶大な信用を勝ち取っておられます。ベネズエラの大いなる繁栄を、私たちは大いに期待し、祈念したいのであります。(拍手)
9  SGIは全人類の平和・文化・教育に貢献
 さらに、ブラジルでも先月(十二月七日)、日本の衆議院に当たる連邦下院議会で「SGIを慶祝する特別議会」が行われました。SGIへの喝采の声は今、大きな波となって、国中に広がっております。
 ご存じの通り、韓国でも、全国の津々浦々の「道」から「郡」から「市」から、光栄な顕彰を次々に受けております。(拍手)
 (=二〇〇二年七月現在、韓国の道・郡・市、また大学、各種の機関から、SGI会長に対して百二十二の顕彰が行われている)
 ブラジル、韓国はじめ世界の同志は、誤解や偏見にも耐えに耐え、祈りに祈って、平和と友情の種をまいてこられました。
 私は、この誉れの同志を、最大に称賛申し上げたいのであります。(拍手)
 残念なことに、冷戦後の現在、宗教の相違がからんで引き起こされる地域紛争は、まだまだ、あとを絶ちません。だからこそ私たちは、「SGI憲章」に掲げたように「教育と文化の交流」を一段と推進しながら、国際社会の相互理解と協調へ、大いに尽力してまいろうではありませんか!(拍手)
 (「SGI憲章」は、次のように謳っている。「SGIは生命尊厳の仏法を基調に、全人類の平和・文化・教育に貢献する」「SGIは仏法の寛容の精神を根本に、他の宗教を尊重して、人類の基本的問題について対話し、その解決のために協力していく」「SGIはそれぞれの文化の多様性を尊重し、文化交流を推進し、相互理解と協調の国際社会の構築を目指す」)
 今、世界の多くの識者が、「二十一世紀の世界市民の平和連帯のモデル」を、SGIに見いだしております。「もうSGIに期待するしかない」と注目し始めております。
 先日、懇談したアメリカのニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジのセソムズ学長も、こう深く念願しておられました。SGIは、人々を「融和」させていく方法と力をもっている。その力を世界に発信して、紛争の回避に生かしてほしい――と。
 その意味からも、私は、人生の総仕上げの事業である「人間教育」に、ますます総力をあげていく決心であります。
 「教育」がなければ、宗教は、どうしても独善に陥ってしまう。また盲信に流されてしまうからであります。
 待望のアメリカ創価大学のオレンジ郡キャンパスも、明年二〇〇一年の五月三日の開学に向け、順調に建設が進んでおります。(拍手)(=入学式は同年八月二十四日)
 モットーは「生命ルネサンスの哲学者たれ!」「平和連帯の世界市民たれ!」「地球文明のパイオニアたれ!」の三つに決定しました。
 教授陣も、全米また世界各国から集い、最優秀の陣容が整ってきております。
 「明確なる目的観に立って、人間教育の善の結合を世界に広げよ! そこに、人類の永遠の勝利の道がある」――これが牧口、戸田両会長の遺訓であり、遺言でありました。
10  本年は、戸田先生の生誕百周年。そして明年は、牧口先生の生誕百三十周年。
 今、この佳節に、第三代の私は、お二人の遠大な夢を、アメリカ創価大学として、確実に実現させていただいたのであります。ありがとう!(拍手)
 ともあれ、皆さま方のお子さん、お孫さん方のための大学であります。どうか、世界平和の逸材を、続々と入学させてください!
 また、グアム大学の諸先生方! 太平洋を挟んで隣り合わせの″弟″のアメリカ創価大学を、今後とも、何とぞ、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
11  「戦う人」に道は開ける
 さて、私が青春時代から好きなアメリカ民主主義の詩人ホイットマンの「大道の歌」に、忘れ得ぬ一節があります。
 「たといどんなものであれ、つねに成功の結実からはさらに偉大な闘争を必要とするような何ものかが生じてくる、これは物事の本質にそなわる真理なのだ。ぼくの呼びかけは闘争への呼びかけだ」(『草の葉』上、鍋島能弘・酒本雅之ほか訳、岩波文庫、一九九一年版)
 どんなに成功しても、″楽をしたい″とか″ゆっくりしたい″とか、安逸な時間などありえない。
 成功という結実から生まれるのは、「さらに偉大な闘争」への要求であり、すぐに再び大闘争へと立ち上がっていくべきである――そういう意味であります。
 「戦い」こそ「生命」の本質である。ならば、闘争また闘争を永遠にやりきっていける自分自身の生命でなければならない。その連続闘争の生命をつくり上げるのが仏法であります。
 「正義」は勝たねばならない。ゆえに戦い続けねばならない。戦い勝たなければ、「正義」はなくなってしまう。私の人生の体験を通しても、この通りであります。
 山も、高く登れば登るほど、道は狭く険しくなる。風は激しく襲いかかってくる。これに負けたら、頂上へは行けません。
 しかし、戦うかぎり、必ず道は開ける。戦うかぎり、必ず栄え続ける。戦うかぎり、絶対に行き詰まりはない。
 戦おう! 大聖人の仏法は「勝負」だから!
 グアムの箴言にも「問題があるならば、ただちに敢然と立ち向かえ! 手がつけられなくなるまで放置してはいけない」とある通りであります。
 二十一世紀の乱戦を勝ち抜いていく要諦は「迅速に」「勇敢に」「大胆に」徹底して攻勢に出ていくことであります。
 そのように戦ったところが勝つ。これが仏法です。これが歴史の法則です。
 「大道」といえば、『大道を歩む』(世界平和への対話・行動をつづったSGI会長の″人生記録″)の第二巻が、間もなく発刊されることを、ご報告させていただきたい(拍手)。(二〇〇〇年三月十六日、毎日新聞社)
12  使命の国土に「人材の流れ」を
 ところで、貴大学は海洋生物学、世界一のサンゴ研究で有名であります。地球の宝であるグアムのサンゴ礁は、世代から世代へと、じつに十万年にもわたって成長し続けてきたことも有名な話であります。
 広宣流布は″流れ″です。私たちは、それぞれの使命の国土にあって、一人が百人分、千人分の力を発揮しながら、正義と勇気の「人材の流れ」を、万代にわたって、断固として開き抜いていきたい。
 黄金の旭日に輝く、グアムの大海のごとく、明るく、また明るく、楽しく、また楽しく、全世界を希望で結びながら、二十一世紀も朗らかに、勝利の前進をお願いします!
 かけがえのない、わが生命の故郷であるグアム島に、永遠の平和がありますように。ご繁栄がありますように。そして、わが愛するグアム大学に、未来永遠のご興隆がありますようにと、心からお祈り申し上げ、私の御礼のスピーチとさせていただきます。
 サンキュー! 皆さん、お元気で!
 (東京牧口記念会館)

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