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ボリビアのサンタクルス・デ・ラ・シエラ… 青年なら、大哲学を学べ!

1999.6.12 スピーチ(1998.11〜)(池田大作全集第90巻)

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1  教学は信心と人生の骨格に
 晴れがましい総会、おめでとう! 青年部も新出発、おめでとう!
 青年は全員が教学に本気で取り組んでいただきたい。七月二十五日には青年部教学試験三級が行われる。
 仏法は信行学である。ゆえに行学を絶やしてはならない。教学をやらないと信心と人生の「骨格」ができない。本当の強さ、深さも出てこない。自分が損をする。
 「行学たへなば仏法はあるべからず」である。教学と行動の両方があってこそ、まことの仏法である。
 教学をやった人は行動が違う。目が違う。顔つきが違う。
 若いときこそ、大哲学を学び、自身の人格をつくり、「あのような素晴らしい人生を」と皆の模範になる青春であっていただきたい。
2  ボリビアからの「知性の栄誉」に誇りと責任
 今年は、偉大なる「南米の心臓部」ボリビア共和国に、日本人が移住して百周年の佳節であります。先日、サンタクルス市で、バンセル大統領も出席され、記念の祭典が盛大に開催されました。
 光栄にも私は、大統領から、貴国に招聘をいただいておりますが、祭典で荘厳に国歌を演奏したのは、ボリビアSGIの音楽隊と鼓笛隊であったのであります。(拍手)
 ボリビア人と日系人の若人が、仲良く一体となって演奏しゆく姿は、大きな感動を呼びました。
 寛大なるボリビア社会に融合して活躍される日系人は、現在、約一万三千人。その中には、沖縄とともに、わが九州出身の方々が、多くおられます。
 今回、総長ご一行と同行している、ボリビアSGIの副理事長も、熱血漢の九州男児であります。(拍手)また、ボリビアの大地から、きょうの式典の成功を祈ってくださっている婦人部長たちも、「九州家族」の一員であります。
 そして、ボリビア青年部の中核である男子部長も、福岡の英知の学生部の出身なのであります。(拍手)
 九州、そして福岡の同志は、本当に、よくぞ健闘してこられた。私は、今回の「知性の栄誉」を、ぜひとも、大勝利の福岡の皆さま方と一緒に、受けさせていただきたいと、強く願ってきたのであります。(拍手)
3  心から尊敬申し上げる、サンタクルス大学の皆さま。じつに三十六時間も飛行機を乗り継ぎ、地球を半周して、本当に、ようこそ、お越しくださいました。厚く厚く、感謝申し上げます。(拍手)
 また、きょうは、創価大学が最初に教育交流を結ばせていただいた「香港中文大学」から、こう教授、また学生の代表の方々がご出席くださいました。
 さらに、この春から創価大学に留学しておられる各国の英才の皆さんも、駆け付けてくださっております。(拍手)
 デチャサール総長は高名な法学者。総長が愛読されている、フランスの作家サン・テグジュペリの作品に、こういう有名な一節があります。
 「人間であるということは、まさに『責任を持つ』ということだ」
 そして、人間であるということは「おのれの石を据えながら、世界の建設に奉仕していると感じることだ」(「人間の大地」山崎庸一郎訳、みすず書房)
 創立当初、貴大学は、校舎は「貸しビル」の校舎を利用され、百十九人の学生からの出発であったと、うかがっております。そして、荒れ地に、総長自らが、一つ一つ石を運び、心血を注ぎ、手づくりで、大キャンパスを建設してこられたのであります。
 重大な総長の責任を一手に引き受けられた時、じつに三十歳の若さでありました。
 三十歳といえば、私にとりましても、恩師・戸田先生を亡くし、「空中分解するだろう」と批判された創価学会を、実質的に担い立った年齢であります。
 そして本年、貴大学は、栄光の創立十五周年――。今や、王者アンデス山脈のごとく、名実ともに、ボリビアを代表する名門として、そびえ立っておられます。
 総長は、堂々と、勝ちに勝ちました。私たちは、若き「教育の大英雄」を、重ねて大喝采で賛嘆したいのであります。(拍手)
 この崇高な魂こもる貴大学の「第一号の名誉博士号」を、私は、最上の誇りと責任をもって、拝受させていただきます。
 (会合の席上、ボリビアのサンタクルス・デ・ラ・シエラ大学から池田SGI会長に対する顕彰が行われた。デチャサール総長が出席。池田会長に同大学の栄えある第一号の「名誉博士号」が授与された。この授与は世界平和の象徴的存在をたたえたものである)
4  温かい人間主義を自身の人格に
 貴大学の総長室は、校舎の一階にあると、うかがっています。
 あるとき、「総長室を静かな二階に移動してはどうか」という提案があった。しかし、総長は、きっぱりと断った。それでは、学生たちが総長室へ入りづらくなってしまうのではないかというのであります。そうやって総長は、いつも学生と対話を重ね、学生の声に、迅速かつ誠実に対応しながら、″張り合い″と″良き刺激″を、生き生きと与えておられるのであります。
 創価大学も、またすべての大学も、そうあってほしいと私は願う。
 私の人生のモットーも、まず「スピード」。そして「確実性」。これを心がけて戦ってきました。だから今日の創価学会がある。何事も、横着などしません。不確実な仕事はしません。こまやかに気を配り、心をくだいて、真心に応えていかなければ、冷たい″官僚主義″になってしまうからであります。
 一人、また一人に、大誠実を尽くして、心からねぎらい、励まし、たたえていってこそ、血の通った″人間主義″であります。これこそ勝利の根本です。これからの時代はこれしかありません。
 ボリビアは、「南米の解放者」ボリバルの名前を冠した共和国であられる。
 「忘恩は最大の犯罪」とは、ボリバルの峻厳なる戒めであります。
 総長は、学生時代の師匠の恩を、何よりも大切にしてこられた真の人格者であられる。最大の礼を踏んで、恩師を貴大学に迎えられた。美しき人間の道を歩んでおられる。
 また先般、総長は、その師匠との共著で、一冊の貴重な研究書を発刊されました。師弟一体で歴史を残しゆく無上の喜びと充実を、総長は誉れも高く、序文に書き記しておられる。感動で涙あふれるお姿です。
5  民衆運動こそ社会発展の力
 貴国の大地に脈打ってきた庶民の心は、人間の心は、あまりにも強く、神々しい。いかなる有名人よりも。とりわけ、女性の勇気には、目を見張るものがあります。
 たとえば、ある婦人は、独立闘争の途上で倒れた夫のあとを継ぎ、自ら戦闘部隊の指揮官となって、奮然と行動した。また、祖国を蹂躙する侵略者たちに、恐れなく立ち向かっていった、老いたる母たちもおりました。
 「命を賭けて戦う女性がいる国土が、どうして勝利しないわけがあろうか!」――このボリビア女性の心意気は、火の国・九州の婦人部に通ずると、私は思っております。
 今年は、創価の父・牧口先生の八女初訪問から六十周年。狂気の日本であった戦時中、軍部権力に捕らわれた牧口先生に対する起訴状があります。その中には、「福岡などで、何回も座談会や講演会を開き、折伏や指導に努めた」ことが、罪状の一つに挙げられているのであります。
 牧口先生は、命におよぶ大難を覚悟の上で、福岡の民衆の中に飛び込んでいかれた。膝詰めの対話で。きょうは福岡の友をお迎えし、牧口先生も、きっと喜んでおられるにちがいない。(拍手)
6  つい二日前、″人間の機関紙″である「聖教新聞」に、素晴らしい論文が掲載された。それは、アメリカ創価大学の「環太平洋平和・文化研究センター」のモンゴメリー所長の特別寄稿。世界的に著名な博士であり、私の大事な友人である。
 タイトルは、「現代と『信頼』」。その要点は、人々が確固たる「信頼」を結び合い、積極的に市民活動を推し進めていく――それこそが、社会を絶えず発展させていく力である。そのための最も効果的な方法は、「教育」である――等、鋭く論じておられる。
 「生命の尊厳の哲学」に基づいて、草の根の市民の「信頼」を広げているのが創価学会の民衆運動である。これが、どれほど「時代を先取り」しているか。
 ボリビアSGIの社会貢献も、絶大な信用を勝ち得てこられました。
7  貴国ボリビアには、世界でも希有な「持続可能な開発を計画する省庁」が設けられております。
 目先の利害に流されず、自然環境と人間の調和を図りながら、遠大な未来へ、永続的な繁栄を、いかに創造していくのか。これこそ、真の政治の課題である。「人類の課題」である。「末法万年」を志向する仏法とも響き合う、「永遠性」の思想を感じます。この創造の原動力となって、「教育の大道」を開拓しておられるのが貴大学なのであります。(拍手)
 総長は、その理念をば「教育とは、文明と平和の基盤であり、社会の中で人々が共生していくためにある」と明快に提唱しておられる。私も同感であります。
 幾重にも使命深き貴大学と呼吸を一致させて、私たちは「友情」と「信頼」の人材山脈を、足もとの地域から強化し、拡大していかねばならないと私は思う。そして人間主義の正義が必ず勝利する二十一世紀へ、完璧な土台を築き上げていきたいのであります。
8  栄光とは友への奉仕なり
 結びに、かの大英雄・ボリバルは語った。
 「『常に前へ! 一歩も退くな!』――これが、私の信念である。今日までの成功や偉業は、この信念があったればこそである」
 仏法は「前三後一」と説く。「前へ! また前へ」である。
 また、ボリバルいわく。
 「私にとって、栄光とは″いかによく奉仕するか″ということであり、″命令すること″にあるのではない。それは″敵を打ち破ること″であり、″勝利の栄光を、すべて私の同胞に与えること″にある」(ホセ・ルイス・サルセド=バスラルド『シモン・ボリーバル』小野一監訳、春秋社)と。
 最も偉大なことに奉仕している皆さまである。ともに勝利しましょう!(拍手)
 この真実の栄光へ向かって、ともどもに前進しゆくことを、固く誓い合い、私の謝辞としたい。
 大「福岡」、万歳!
 愛するサンタクルス大学よ、永遠不滅たれ!
 ムーチャス・グラシアス!(スペイン語で「大変にありがとうございました」)
 (東京牧口記念会館)

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