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日蓮大聖人・池田大作

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方面代表協議会 二十一世紀は「心の革命」から

1998.12.9 スピーチ(1998.11〜)(池田大作全集第90巻)

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2  フランスの大歴史家ミシュレ――民衆こそ歴史の主役!
 今年(一九九八年)は、フランスの大歴史家ミシュレ(一七九八年〜一八七四年)の生誕二百年にあたっている。この佳節を記念して、ミシュレの生涯を論じた本邦初の評伝が出版された。『ミシュレ伝 自然と歴史への愛』(藤原書店)である。
 このほど、著者である大野一道先生が、私に、その貴重な一書を贈ってくださり、さっそく感銘深く拝読させていただいた。大野先生は、聖教新聞(九八年十二月八日付)にも「民衆史家ミシュレ」について寄稿してくださった。
 ミシュレについては、私も、これまで何度か、スピーチしてきた。
 彼は、家が貧しく、十二歳まで、学校にも、ろくに行けなかった。
 その彼が、″民衆こそ歴史の主役なり!″という、まったく新しい革命的な歴史観を、堂々と打ち立て、十九世紀のフランス国民に最も愛された歴史家として輝いたのは、なぜか?
 それは、彼自身が、貧しい庶民の出であることに誇りをもち、民衆の一員であり続けたからである。
 彼は、語っている。
 「私はたった一つの闘うやり方、そして私として留まるやり方しか持っていません。それは変るのを拒否することです」(前掲『ミシュレ伝 自然と歴史への愛』)
 すなわち、社会的に偉くなると人間は変わってしまうが、私は断じて変わらない。民衆であることに誇りをもつ! 常に民衆として生き抜く!――と。この精神こそが彼の学問の根源をなした、というのが大野先生のミシュレ観である。
 自分自身の原点のままに、生き抜く。それが、人間としての正しき軌道なのである。
3  ″女性が世界を変える″
 ミシュレは、底辺の庶民の中に、「黄金の魂」を見いだしていた。
 今回、フランス転輪会の代表の方々も、研修で来日されたが、御義口伝には、「転輪聖王」のうち、金輪王の「金」とは、生老病死の「生」にあたると説かれている。(御書七三三ページ。銀は「死」、銅は「老」、鉄は「病」にあたると)
 ともあれ、「金」のように光っていく。人のために輝いていく。価値を生んでいく――それこそが、「生」の証である。
 ミシュレは、高らかに呼びかけた。
 「『感情の豊かさや心の善良さ』、『献身の能力や自己犠牲の力』、人間としての良きものすべてが民衆の中にはある」(同前)
 まさに、わが学会員の世界であると確信する。学会の勝利は、民衆の勝利である。皆さま方一人一人の偉大な勝利である。
 ミシュレは、最も純粋な民衆とは″女性″である、と見ていた。
 彼は、女性が変われば、民衆が変わり、世界が変わることを喝破したのである。
 まったく、その通りである。婦人部の皆さま、この一年も、本当にありがとう!
4  ミシュレは、「心の革命、道徳的かつ宗教的な変革」を志向していた。仏教についても、真摯に学んでいたという。
 彼いわく、「歴史は内部から、人間の心から出発する」(同前)と。
 明年も、いよいよ心に「勇気」と「希望」と「確信」を燃え上がらせて、私と一緒に、「民衆賛歌」の歴史を、生き生きと綴ってまいりましょう!
 (東京牧口記念会館)

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