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日蓮大聖人・池田大作

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方面代表協議会 二十一世紀は「心の革命」から

1998.12.9 スピーチ(1998.11〜)(池田大作全集第90巻)

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1  「技術・経済」から「人間性」の時代へ
 はじめに、来日されていたインドのロケッシュ・チャンドラ博士が、ご帰国に際し、「ぜひ、お伝えください」と、メッセージを託してくださったので、ご紹介したい。
 (池田名誉会長は、チャンドラ博士が理事長を務める「インド文化国際アカデミー」の、初の「最高名誉会員」に就任した〈一九九八年十一月二十九日〉。また博士とは、『世界の哲学を語る』と題して対談を進めることになった〈=「大白蓮華」二〇〇〇年十月号から二〇〇一年十二月号まで連載〉)
 博士は、こう語っておられたという。
 「インドと日本は、何世紀にもわたって文化の交流をしてまいりました。今回、池田先生にお会いし、二十一世紀に向かって、両国が人間主義の交流をさらに広く、深く、展開していけることを確信いたしました」
 「日本はこれまで、テクノロジーや経済の面で、数々の発展・進歩を遂げてきました。創価学会がある限り、今後は、″人間性の進歩″の時代が開けると思います。日本は、政治的大国というより、経済と文化の大国です。新たな国際秩序の構築に向けて、『孤立した世界』ではなく、互いの文化の果実を『分かち合い、共有する世界』を創り出すために、日本が貢献することを念願します。その『分かち合い、共有する世界』とは、すなわち、池田先生が提唱される世界です」
 「池田先生と、これから始める対談を、心から楽しみにしております。先生との対談によって、新たな思想・哲学の潮流を興していきたいと決意しています」
 「釈尊は、インドの村・ヴァイシャーリーを去るときに、『この世は美しい。生きることは喜びだ』との言葉を残しました。釈尊が残した、人生の美しさ、生きることの喜びを、創価学会こそが、この世に現実のものとして展開し、人々に伝えてこられました。池田先生との対談は、『新しい智慧』を生み出し、世界を啓発しゆくことと思います」
 ――以上、インドの仏教学、東洋学の最高峰であられるロケッシュ・チャンドラ博士の所感を、ありのままにお伝えさせていただいた。私は皆さまの「代表」であり、私への期待は皆さまへの期待と同じであるからだ。
 (博士はまた、こう語っている。
 「池田先生は、地球的規模で活躍される、数少ない偉大なる指導者です。その意味で、池田先生は″日出ずる国・日本″で、他に類を見ない傑出した人物であります」
 「今回、私は、日本でじつに多くの仕事をすることができました。そのなかでも、池田先生との会見こそ、私にとって最大の実りとなりました。池田先生との会見によって、二十一世紀への正しい視点をもつことができました。人類の未来について、我々は語り合わねばならないと思います。本当にありがとうございました。池田先生、奥さまに、心からの感謝の気持ちをお伝えください」
 また、博士の夫人も、次のように語っていた。
 「今回、池田先生、奥さまにお会いできたことは、私の人生にとって、かけがえのない宝となりました。お二人のような『高潔な思想によって結ばれたご夫妻』に出会えたこと、本当に温かな歓迎をいただいたこと、どれをとっても、一生の思い出です。私の心の中で、生涯、大切にしてまいります」
 「創価大学の門をくぐるや否や、創価大学が、自然の懐に抱かれた素晴らしい大学だと実感しました。主人の栄誉は、私にとっても名誉でございます。〈来日中、博士に創価大学名誉博士号が贈られた〉民音でのひとときも、生涯、忘れられません。私に対する温かなお心遣いに、心の底から感謝申し上げます」)
2  フランスの大歴史家ミシュレ――民衆こそ歴史の主役!
 今年(一九九八年)は、フランスの大歴史家ミシュレ(一七九八年〜一八七四年)の生誕二百年にあたっている。この佳節を記念して、ミシュレの生涯を論じた本邦初の評伝が出版された。『ミシュレ伝 自然と歴史への愛』(藤原書店)である。
 このほど、著者である大野一道先生が、私に、その貴重な一書を贈ってくださり、さっそく感銘深く拝読させていただいた。大野先生は、聖教新聞(九八年十二月八日付)にも「民衆史家ミシュレ」について寄稿してくださった。
 ミシュレについては、私も、これまで何度か、スピーチしてきた。
 彼は、家が貧しく、十二歳まで、学校にも、ろくに行けなかった。
 その彼が、″民衆こそ歴史の主役なり!″という、まったく新しい革命的な歴史観を、堂々と打ち立て、十九世紀のフランス国民に最も愛された歴史家として輝いたのは、なぜか?
 それは、彼自身が、貧しい庶民の出であることに誇りをもち、民衆の一員であり続けたからである。
 彼は、語っている。
 「私はたった一つの闘うやり方、そして私として留まるやり方しか持っていません。それは変るのを拒否することです」(前掲『ミシュレ伝 自然と歴史への愛』)
 すなわち、社会的に偉くなると人間は変わってしまうが、私は断じて変わらない。民衆であることに誇りをもつ! 常に民衆として生き抜く!――と。この精神こそが彼の学問の根源をなした、というのが大野先生のミシュレ観である。
 自分自身の原点のままに、生き抜く。それが、人間としての正しき軌道なのである。
3  ″女性が世界を変える″
 ミシュレは、底辺の庶民の中に、「黄金の魂」を見いだしていた。
 今回、フランス転輪会の代表の方々も、研修で来日されたが、御義口伝には、「転輪聖王」のうち、金輪王の「金」とは、生老病死の「生」にあたると説かれている。(御書七三三ページ。銀は「死」、銅は「老」、鉄は「病」にあたると)
 ともあれ、「金」のように光っていく。人のために輝いていく。価値を生んでいく――それこそが、「生」の証である。
 ミシュレは、高らかに呼びかけた。
 「『感情の豊かさや心の善良さ』、『献身の能力や自己犠牲の力』、人間としての良きものすべてが民衆の中にはある」(同前)
 まさに、わが学会員の世界であると確信する。学会の勝利は、民衆の勝利である。皆さま方一人一人の偉大な勝利である。
 ミシュレは、最も純粋な民衆とは″女性″である、と見ていた。
 彼は、女性が変われば、民衆が変わり、世界が変わることを喝破したのである。
 まったく、その通りである。婦人部の皆さま、この一年も、本当にありがとう!
4  ミシュレは、「心の革命、道徳的かつ宗教的な変革」を志向していた。仏教についても、真摯に学んでいたという。
 彼いわく、「歴史は内部から、人間の心から出発する」(同前)と。
 明年も、いよいよ心に「勇気」と「希望」と「確信」を燃え上がらせて、私と一緒に、「民衆賛歌」の歴史を、生き生きと綴ってまいりましょう!
 (東京牧口記念会館)

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