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日蓮大聖人・池田大作

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ブラジル・北パラナ大学「名誉博士号」授… 今、自分がいる場所で新しい波を

1998.11.30 スピーチ(1998.11〜)(池田大作全集第90巻)

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2  苦労を避けて、平々凡々とした安逸の中に、偉大な充実の前進は、絶対にありえない。荒れ狂う吹雪に立ち向かい、逆巻く怒涛に飛び込んで、生き生きと働き、生き生きと戦い、そして生き生きと生き抜くことこそ、この世における本当の人間の「使命の舞」であります。
 私の古くからの友人で、心から敬愛してやまぬウエノ議員。ならびにラフランキ総長、また、パラナ州最高裁のセーザル長官、さらに、クリチバ市議会のハラ議員はじめ、ご一行の先生方。貴大学は、ロンドリーナ市をはじめ、地元パラナ州の市民から「最も躍進する大学」と愛され、「未来に開かれた扉」と信頼されている、明るい希望の学府であります。
 その貴大学の「第一号の名誉博士」を、私は厳粛なる重責を自覚しつつ、拝受させていただきます。まことにありがとうございました。(拍手)
 (会合の席上、ブラジルの北パラナ大学から池田SGI〈創価学会インターナショナル〉会長に対する顕彰が行われた。ラフランキ総長ら同大学の代表、またパラナ州からウエノ連邦下院議員、パラナ州最高裁判所長のセーザル長官らが出席。池田会長には、大学として初の「名誉博士号」が授与された。これは、池田会長の模範的なリーダーシップならびにSGIによる人道的社会の発展に貢献する人材の育成をたたえてのものである)
3  殉教の先師である牧口先生ならびに戸田先生は、″甘い果実として、すぐにもてはやされ、それ限りで終わるよりは、苦い種子として、たとえ今は敬遠されても、遠大な未来に残っていくことが、創価教育学の使命である″と、悠然と達観しておりました。
 今や、両先生が蒔かれた″種″は、天を衝く大樹となりました。そして、はるか地球の反対側のブラジルにも、こうして壮麗なる友情の花を咲かせているのであります。諸先生方、本当に、ようこそ、お越しくださいました。(拍手)
4  貴大学は、「社会との一体化」、また「実践的な研究・教育」という崇高な理念を、一貫して掲げてこられました。
 総長ご自身、リハビリを専門とする医学者であられる。
 貴大学が、言語や聴力機能が不自由な人を診断し、治療する施設を、市民に無料で開放していることも有名であります。
 識字教育の普及のための、たゆみない尽力も、神々しい社会貢献の伝統となっておられます。そうした率先垂範の行動によって、総長に「最も活躍した市民」の顕彰が贈られていることも、私は、よく存じ上げております。(拍手)
 先日(十一月二十六日)、私が再会した中国の江沢民主席は、文豪・魯迅ゆかりの仙台を訪問されました。魯迅は、医学から出発し、精神の変革を目指しゆく文学運動へと、その使命を展開し、不朽の足跡を残しました。
 それと相通ずるように、医学を基調としながら、人間生命を開花させゆく教育の聖業を、雄大なスケールで断行しておられるのが、ラフランキ総長なのであります。(拍手)
5  ″人間学実践の博士″と育て
 本日、この会場に代表が集った「創価班」「牙城会」「白蓮グループ」の青年たちは、私が次の創価学会を託しゆく、中核中の中核であります。
 総長は以前、ブラジルSGIの北パラナ文化会館を訪問され、諸君のように役員として凛々しく任務につく青年たちを、心から激励してくださいました。
 さすが、一流の教育者は、陰の人の苦労を見逃しません。大学を出ていないメンバーも多くいました。総長は、慈父のごとく、「皆さんのような青年こそ、わが大学に入学していただきたい。奨学金制度も用意し、働きながら学べるようにして待っていますから」と呼びかけてくださったのであります。
 「創価班」も「牙城会」も「白蓮グループ」も、民衆奉仕の指導者を育成する「実践の大学校」であります。最高の生命哲学と人間学の博士へと育っていくべき諸君であります。
 だからこそ私は、きょうの名誉博士の栄誉を、ぜひとも諸君と一緒に、お受けしたかったのであります。(拍手)
6  皆さんをはじめ創価学会青年部が結集した「核廃絶の千三百万の署名」は先日(十月二十六日=現地時間)、国連に提出されました。これは、国連首脳からも「世界市民の運動の偉大な模範である」、また「目的観を喪失している世界の青年を揺り動かす大いなる啓発である」等と、絶賛されております。
 ともかく、諸君は誇りも高く、わが人生の道を、堂々と歩み抜いていただきたい。
 何も恐れずに、自分自身の信念に生ききっていく――そこにこそ、「一点の悔いもない人生」ができあがります。
7  今年(一九九八年)六月、パラナ州で「ブラジル日本移民九十年祭」が盛大に開催されました。ここにおられるウエノ先生が大きく推進された式典であります。
 私も光栄にも、ご招待をいただきましたが、どうしても日本を離れることができず、長男が名代として、出席させていただきました。
 記念の式典には、カルドーゾ大統領の臨席のもと、わがブラジルSGIの青年部が、祝賀の演技で三万の観衆から大喝采を博したのであります。
 私どもは、ここで、「日伯(日本とブラジル)の偉大な懸け橋」を結んでこられた、ウエノ先生をはじめ諸先生方に、再び、心からの感謝の拍手を送ろうではありませんか。(拍手)
 とともに、貴パラナ州は、本年十二月二十五日、開拓三百五十周年の佳節を、晴れ晴れと飾られます。先人の尊き労苦の汗をしのびながら、最大に祝賀申し上げるものであります。(拍手)
8  ブラジルには「開かれた心」が
 日系人の寛大なる受け入れに象徴されるように、貴国には「人種デモクラシー」の高貴なる気風があります。貴国の心は大きい。閉ざされた″嫉妬の社会″の日本は、謙虚に、また真摯に学んでいかねばならない。
 初代会長・牧口先生も、さまざまな民族や文化が融合し、共生しゆく貴国に、大きく注目していた一人であります。牧口先生は、人間の尊厳と平等を、厳として守り抜かれました。
 青年に対しても、牧口先生は、こう教えられました。遺言であります。
 「相手が強く、地位などを利用して迫ってきた場合など、正当の理由がなければ、頭を下げてはいけない。堂々と主義主張を貫きなさい。反対に、弱い立場にある人には、協力して助けてあげなさい」と。
 この点、第二代会長戸田先生も、よく言われておりました。
 「弱い者には怒るな。それは卑怯者のすることだ。世の中には、怒らなければならないことがたくさんある。金に目のくらんだ権力者や坊主どもを見よ! 青年は、そういう大悪に対して怒るのだ。そうすれば、つまらないことに腹など立たない」と。
 諸君も将来、学会の幹部になったときに、絶対に会員にいばってはならない。大事に大事に、大切に大切にして尽くしていかねばなりません。世間でいう強い人間というのは、往々にして、弱い者をいじめるものです。
 とくに日本は、その傾向があまりにも顕著である。そうではなく、いわゆる強い人間には強く、そして弱い立場の人を優しく助けてあげる――。それが初代、二代を受け継いだ私の哲学であります。人生観です。(拍手)
 また諸君は、だれよりも「親孝行」であっていただきたい。信心しているからこそ、最高に「良き息子」「良き娘」であっていただきたい。お父さん、お母さんに心から喜んでいただける日々の行動であっていただきたい。
9  「正義」なくして「国の繁栄」なし
 この十二月十日、「世界人権宣言」の採択五十周年を迎えます。
 その意義について、宣言の起草者の一人であられたブラジル文学アカデミーの故アタイデ総裁とも、私は縷々語り合いました。
 人権といっても、それは、「一人」の人間を大切にし、眼前の悪を糺していくことから始まる。
 牧口先生の箴言に、「何ごとも、その場その場で解決しなくてはいけない。手を打たずに放置してしまえば、必ず問題は大きくなる」とあります。
 要するに、今この時、自分がいるこの場所で、常に真剣勝負で「新しい波」をつくっていくことであります。
 ブラジルの大哲人ルイ・バルボーザは有名な言葉を残している。
 「『正義』――この言葉に、地球上における、私どもの『幸福』が包まれている。
 正義こそ、文明の精髄であり、社会の真髄であり、そして政治の総括である。国家が繁栄するかいなかは、正義を大事にするかいなかにかかっている」と。
 ゆえに、私どももまた、若き「正義」と「希望」と「勇気」の力をいよいよ結集し、糾合し、「二十一世紀の夜明け」まで、一歩も退かずに、押して押して押しきってまいりましょう! そして勝ちましょう!
 どこまで耐えられるか。頑張り通せるか。仏法も人生も、全部が「勝負」であります。
 諸君の青春をかけた、偉大なる挑戦であります。負けてはならない。
 執念――すさまじき「執念の闘争」があったからこそ、「創価の世紀」の百年の土台ができ上がってきたのであります。その土台を盤石にする戦いこそ、諸君の「今」の、また「生涯」の使命であります。
 終わりに、私どもと永遠なる友情で結ばれた北パラナ大学の万代のご発展、そしてパラナ州の栄光燦たるご興隆を、心からお祈り申し上げ、私の感謝のスピーチといたします。
 ムイト・オブリガード(大変ありがとうございました)。
 (創価国際友好会館)

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