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日蓮大聖人・池田大作

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韓国・鬱陵郡「名誉郡民」証授与式、北海… 「ここが寂光土」の信念で勝て

1998.10.17 スピーチ(1998.3〜)(池田大作全集第89巻)

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2  鬱陵島の名所の一つに、「獅子の岩」と呼ばれる、ひときわ、たくましい巌が、嵐の海にも悠然と、そびえ立っております。なぜ「獅子の岩」と名づけられたか。一説として、次のような伝説が伝えられております。
 万年の昔、鬱陵島には、獅子をはじめ、さまざまな獣が住んでいた。そこに、あるとき、一人の白ひげの老人が現れて、獣たちに告げた。
 ″この島は、数日たたぬうちに、焼け野原になってしまうから、すぐに他の場所へ逃げよ!″と。
 火山の爆発の予言であった。またたく間に、動揺が広がった。ふだんは、いばっている虎をはじめ、狼(おおかみ)やイタチなど、多くの獣は臆してしまって、われ先に逃げようとした。
 しかし、獅子だけは、皆を避難させた後も、ただひとり、悠然と島に踏みとどまった。
 ″私は行かない! 逃げる必要はない。私ひとりで、わが故郷を守り抜いてみせる!″
 獅子の心は、誇り高かった。獅子の心は、満ち足りていた。そして獅子は、愛する島のために命をなげうった。その魂が堅固な巌となって、今なお鬱陵島を見守り続けている――そう伝説は物語っているのであります。
 この「獅子の心」を謳った美しい詩には、こうあります。
 皆が去るともわれ残る。われのみ残り島守る。
 故郷を棄てていずこへ行かむとするや。
 たとえ死し、死して化石となり果つも、
 われは島より離れまじ。
 億万年を生き抜かむ、億万年を守り抜く。
   (『鬱陵島の伝説・民謡』宇野秀弥訳。一部、現代表記に改めた)
 これこそ、幾多の苦難にも屈せず、素晴らしき鬱陵島を築き、守ってこられた、尊き先人たちの心でありましょう。
 そして、いま、獅子となりて鬱陵郡を守りゆかれる、鄭郡守の崇高無私なる信念であられると、私は拝察いたします。
3  韓日に民衆による新たな文化の交流を
 心から尊敬申し上げる鄭郡守ならびに令夫人。尊敬する李議長ならびに令夫人。そして、ご一行の皆さま方。私は、最大の誇りをもって、「名誉郡民」の称号を拝受いたします。まことに、ありがとうございます。(拍手)
 きょうは、美しきカリブ海からも、「ドミニカの英雄」が、お見えになっている。ドミニカ共和国SGIのキムラ名誉理事長と、タマテ支部参与のお二人です。ようこそ、いらっしゃいました。(拍手)
 わが創価学会もまた、「獅子の団体」であります。ゆえに、″うそつきのタヌキ″や、″ずる賢いキツネ″などは、一切、いられないのであります。(拍手)
 なかんずく、きょう、この″牧口先生の殿堂″に集合された北海道の大切な大切な、わが友は、三代にわたる会長と最も縁の深い同志であります。(拍手)
 当初、きょうの式典は、十五日の予定でした。しかし、私は、深刻な不況のなか、けなげに戦っておられる北海道の皆さま方と、この栄誉を分かち合いたいと思い、郡守にお願いして、本日に変更していただいたのです。(拍手)
 ただいまの郡守の含蓄深い哲学的なスピーチにもあったように、いよいよ大事なのは、「庶民が主体となり、民衆が中心となった、新たな文化の交流」であります。
 今回、喜ばしいことに、金大統領が来日され、歴史的な大成功を飾られました。その際、「二十一世紀への韓日のパートナーシップ」のために、民衆交流の重要性が改めて確認されました。
 その意味からも、郡守がこのように来日してくださり、両国の「地域」と「地域」の友好が、直接結ばれる意義は、まことに重大であると思うのであります。(拍手)
4  新世紀の幸福島・鬱陵島と北海道
 鄭郡守ご一行は、昨日(十六日)は、八丈島研修道場を訪問してくださいました。鬱陵島は、八丈島と、ほぼ同じ大きさであります。
 私は、この交流を、全国の二百五十の島々で、神々しく活躍されている離島の皆さま方とともに、喜び合いたいのであります。(拍手)
 ちなみに「鬱陵」という漢字は非常に難しい。その字が「木々が鬱蒼と生い茂る大きな丘」となっているように、豊かな緑に包まれた島であります。
 この点、わが北海道も、宇宙から「緑に輝いて見える島」と言われています。
 また鬱陵は、韓国一、雪が多い地域であり、冬の戦いは、北海道の方々と共通しております。
 さらに鬱陵は、「泥棒」「公害」「ヘビ」の三つが少なく、「イブキの木」「風」「美人」「水」「石」という五つが多いことで、「三無五多」として有名です。
 特に、「美人」が多いという点で、北海道と一致しているという人も多い(爆笑、大拍手)。
 なお、鬱陵島を代表する「イブキの木」は、ここ牧口記念庭園の戸田先生の胸像の脇にも、植えられています。
 そして、鬱陵島こそ、韓国の国民の多くが一度は訪れたいと願う「心の中に生きている島」と言われております。日本では、北海道もまた同じであると申し上げたい。(拍手)
 私が対談したトインビー博士も、北海道を「希望の島」と呼んでおられた。
 ともに「新世紀の幸福島」である鬱陵と北海道の友情を祝して、私たちは盛大な拍手を郡守ご一行に贈りましょう。(拍手)
5  郡守のモットーの一つは、「民衆に奉仕する誠実な政治」であります。何と素晴らしいお心か。
 そのモットーの通り、いつも、恵まれない方の家々を回り、励まし続けておられる。また、年配者の誕生日に自ら出向いて祝ってさしあげたり、老人ホームを訪ねて面倒を見ておられる真心の行動も、まことに有名であります。
 「大衆のなかに生き」「大衆のために働く」という、まことに模範の大指導者であられます。
6  じつは、日蓮仏法において、「島」は大きな位置を占めております。
 当時の権力は、偉大なる″正義の獅子″大聖人を妬み、憎み、抹殺しようとした。そして、遠島への流罪に処したのであります。
 そこは、鬱陵島と同じ海で結ばれた、佐渡でありました。その島を大舞台として、日蓮大聖人の生命哲学が、堂々と実験証明されていくのであります。
 きらびやかな宮殿のような場所でなく、風の吹きすさぶ流罪の地で、大聖人は仏法を行じ、証明されたのであります。
7  真実の仏法も政治も、こまやかな慈愛が命
 韓国が日本に伝えてくださった「法華経」には、「宇宙大の荘厳な宝塔」が説かれております。
 佐渡の島のある年配者(阿仏房)は「その巨大な宝塔は、いったい何を意味しているのでしょうか?」と大聖人に質問しました。
 それに対して、大聖人は、「あなたの生命それ自体が、最も尊い『宝塔』なのですよ」と答えておられる。
 この宇宙で、生命以上の宝はない。人間一人一人の中に、最高に尊貴な宝がある。何かで飾り立てるのでなく、慈愛をもって人に尽くす生命こそが、美しい。それこそ「無上の宝」であります。
 また、この生命に「無量の福徳」が納まっている。それを知れば、宝を外に求めて、卑しく貪る必要など、どこにもありません。
 また、佐渡の島に、事情があって、都から流されていた知識人(最蓮房)がおりました。
 華やかな都の暮らしから隔てられた、その知性派に、大聖人は、妙法を修行するその場が、そのまま「常寂光土」であるという深遠な哲学を示されております。
 「あそこのほうがいい」とか「あの人がうらやましい」というのではない。自分のいる所が、最高の宝処なんだ! そう決めた人は、何も恐れない。これがわかれば永遠の勝利者です。
 こう決めて、喜び勇んで――いい意味で、あきらめて(爆笑)、「わが使命の大地」に根を張り、生きがいと、満足と、信念をもって生きていってください。(拍手)
8  さらに、大聖人は、子どものいない老夫婦(国府入道夫妻)には、「どうか私を、わが子と思ってください」と温かく励ましておられます。これが本当の仏法者です。
 こまやかな慈愛、人間愛にこそ真の仏法がある。また真の政治の生命も、そこにあるのではないでしょうか。
 鄭郡守とご一緒に、郷土の発展のために尽くしておられるのが、韓国SGIのわが鬱陵支部の百五十人の皆さま方であります。本日は、理事長とともに支部長が代表として、ご出席くださいました。(拍手)
9  悪は責めなければ濡慈悲に
 韓国の箴言に、こうあります。「どんな村にも、無頼漢が一人はいる」と。
 全員が善人とは、ならない。では、そうした悪人には、どう対処していくか。
 同じく、韓国の英知の箴言には「狂犬には、棒こそが薬なり」と。
 すなわち、″狂犬のような人間は、徹底して懲らしめていく以外にない″という意味でありましょう。この毅然たる心に学びたい。
 大聖人も、島で毅然と戦う女性のリーダー(千日尼)に教えておられる。
10  「云つて罪のまぬがるべきを見ながら聞きながら置いていましめざる事・眼耳の二徳忽に破れて大無慈悲なり」――言って戒めれば罪をまぬかれるにもかかわらず(悪を見たり聞いたりして)放置して戒めなければ、目と耳の徳は、たちまちに失われて大無慈悲の振る舞いになってしまう――と。
 ゆえに叫ぶべき時に叫ばねばならない。
 御聖訓には「彼等は野干のほうるなり日蓮が一門は師子の吼るなり」――彼ら(法華経を弘める日蓮と門下を迫害する人々)は野干(狐の類)が吼えているようなものであり、日蓮の一門は師子の吼えるのと同じである――と。
 わが北海道創価学会は、永遠に、この心意気で進みましょう!(拍手)
11  十一月には、「北海道青年平和音楽祭」が行われる。おめでとう!(拍手)
 四千人の出演者。ほとんどが二十代と、うかがっています。素晴らしいことです。宝の一人一人を大事にしていただきたい。
 なお明日は、新潟で「青年平和音楽祭」、鳥取(常勝〈県〉)で青年部の音楽祭が予定されている。
 さらに、明日、北海道の北札幌の壮年部も元気に音楽祭を行う予定と、うかがっている。おめでとうございます!(拍手)
 韓国の諸先生方、本日は本当にありがとうございました。韓国万歳! 韓日友好万歳!
 (東京牧口記念会館)

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