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カンピーナス市「名誉市民証」等授与式、… ″民衆を手段にする″悪に終止符を

1998.6.6 スピーチ(1998.3〜)(池田大作全集第89巻)

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2  民衆の問題を解決するために戦う
 初代会長・牧口先生は、生前、日本の国家からは、何一つ、顕彰を受けておりません。否、この世界的な大教育者に、国家主義の日本が報いたのは、牢獄の死でありました。
 侵略戦争に反対する「最も正しい賢者」「正義の人」が、国賊の汚名を着せられ、歴史の闇に、抹殺されようとしたのであります。
 獄死を前に、牧口先生は、取り調べの検事に対して、明快に因果の法則について論じておられます。
 ″人間社会には、正義の大善人が迫害されるという矛盾がある。しかし、永遠を貫く宇宙の因果の法則は絶対である。この道理を行動の規範としていけば、目先の世間の毀誉褒貶など、いささかも恐れる必要はない″
 牧口先生は、このように、悠然と言い切って、殉教されたのであります。
 そして、生誕百二十七周年の本日、地球の反対の、最も遠いブラジルから、牧口先生に、かくも意義深き顕彰が寄せられました。
 「創価の父」は、生死を超えて、厳然と勝利したのであります。(拍手)
 この師弟不二の栄冠を、私は、一千万の同志を代表し、牧口先生、戸田先生に、晴れ晴れとご報告申し上げるものであります。(拍手)
3  貴カンピーナス市は、二十一世紀をリードする学術と文化と経済の先進都市であり、日本の岐阜市とも交流を結んでおられる。
 「カンピーナス」という名前は「平原」を意味します。環境保全の取り組みにおいても世界的に有名であり、豊かな緑の都市を建設しておられる。市民の憩いの公園は、何と二千五百カ所。そこには、五百五十万本もの木々が植えられていると、うかがっております。
 その緑化計画を力強く推進してこられたのが、ここにおられるホッシーニ議員なのであります。(拍手)
 さらに、議員が「市民権の尊重」「人権の擁護」に関して、次から次へ、具体的な政策を立案され、実施されてきたことも、私たちは、よく存じあげております。また、令夫人は「血液学」の高名な医学博士であられる。夫妻して、貴き献身の歴史をつづってこられました。
 議員は、こう語っておられます。
 「すべてを実現することはできない。しかし、民衆の側に立ち、民衆の問題を解決するために戦うことはできる。これこそいちばん大事なことである」と。
 素晴らしい言葉です。牧口先生の哲学の精髄も、この一点を強調しておりました。
 要するに、「権力者が、民衆を自己の栄達の手段にしていく時代」に幕を閉じなければならない。そして「指導者が、民衆のために、自己をなげうって、貢献していく時代」を開かねばならない。牧口先生は、一生涯、この一点で戦いました。私も戦ってきました。皆さまも、戦ってください!。(拍手)
 正義の人が侮辱され、迫害されているのに、本気で立ち上がらない臆病者は、来世もまた″蛇ににらまれた蛙″のような、いつもおびえている生命になってしまう。勇気こそ仏法者の資格であります。
4  苦労が「人格」を鍛える
 ホッシーニ議員は、十四歳の時から、社会の荒波に飛び込み、働きながら、苦学を重ねてこられた。その足跡は、まことに崇高であります。
 じつは、牧口先生もまた十四歳で、北海道の警察署の給仕となっております。仕事の合間に研鑚を続ける勤勉な姿は「勉強給仕」と呼ばれ、敬愛されました。
 苦労しないことが、幸せなのではない。苦労の中でこそ、民衆に奉仕しゆく金剛の人格が鍛え上げられていくのであります。
 苦労しなかった人は信用できない。民衆のために、社会のために苦労した人こそ本物です。
 カンピーナス市は、私にとって、あまりにも懐かしい天地であります。一九六〇年十月、初めての世界旅で、私は美しき貴市を初訪問いたしました。
 二十四日間で、アメリカ、カナダ、そしてブラジルの三カ国・九都市を回る強行な日程のなか、私は体調を大きく崩してしまいました。しかし、周囲の反対を押し切り、断固として、貴国に向かったのであります。
 この折、わがカンピーナス市にも、SGIの「地区」が誕生しました。当時、約三十人の友であったと記憶しております。
 ブラジルSGIの友は、この三十八年間、さまざまな嵐にも、一歩も引かず、私とともに、前進してくださった。本日の栄誉をすべて、私は、カンピーナス市をはじめブラジルの同志とわかち合いたいのであります。(拍手)
 また、六月十日の「婦人部の日」にあたり、ここ第二東京をはじめ、全世界の婦人部の方々に、謹んで、この栄誉を捧げたいと思うのであります。(拍手)
5  先日、牧口先生の白金小学校の教え子で、八十歳を超えられた方が、貴重な思い出を語ってくださいました。
 牧口先生は、朝礼で、よく話をされた。
 「人生には、何回か、必ず試練の時がある。その時がいちばん大事である。そういう時にも、生きて、生きて、生き抜くのだ。弱気を出してはいけない。そうすれば、必ず人生の春が来る」と。
 いま、ブラジルSGIも、晴れやかに「栄光の春」を迎えました。本当にうれしい。
 この「人格の勝利」こそが、牧口先生と戸田先生を永遠の師と仰ぐ、私たちの誉れであります。
 そして、この「創価の大道」に、後継の青年が、いよいよ本格的に立ち上がってまいりました。二十一世紀へ、舞台は大きく変わっています!
6  勇敢な攻撃精神で前進
 ホッシーニ議員はサッカーの名選手であり、「ボランチ」という「守備と攻撃の両方の要」として活躍されたとうかがっております。
 「ボランチ」とは、ポルトガル語で「車のハンドル」を意味し、試合の流れを方向づけていく役割であります。つまり、守備の最前線で相手の攻撃を叩く。そして、守りから攻めへ、一気に反転攻勢していく攻撃の起点でもあります。
 いかなる戦いにあっても勝利の要諦は、時をのがさぬ積極果敢な攻撃精神であります。
 先ほど議員は、社会悪を責めて根絶しゆく人権闘争について語ってくださいました。
 わが青年部もまた、この正義の熱き血潮をたぎらせ、勇猛に攻撃に打って出ていただきたい。勉強も仕事も、広宣流布も、勇敢な攻撃精神で進め! と私は申し上げたい。受け身ではいけない。
7  最後に、貴市が生んだ革命詩人・アルメーダの詩の一節を引いて、謝辞とさせていただきます。
 「行こう!
 出発しよう!
 世界が我らを待っている!
 月のない夜を恐れるな!
 踏んだ小石に驚くな!
 『不可能』という幻影に騙されるな!」
 「進もう!
 私たちの友愛を掲げて!
 今こそ進もう!
 ためらいなく、人生の船出を!
 共に腕を組み、世界の果てまで!」
8  ムイト・オブリガード(ポルトガル語で、大変にありがとう)!
 (東京牧口記念会館)

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